Kバレエ「白鳥の湖」を観ました。 | マサミのブログ Road to 42.195km

マサミのブログ Road to 42.195km

走る・観る・聴く・読む・歩く・食べる・楽しむブログ

先週、Bunkamuraオーチャードホールで開かれていた、Kバレエ公演「白鳥の湖」を観てきました。

 

 

プロモーション動画はこちら↓

 

 

バレエといえば、タイトルもビジュアルも、まず「白鳥の湖」を思い出す方が多いでしょうね。私もそうでしたし、今でもそれは変わりません。1895年の初演で、「バレエの中のバレエ」と位置付けられているそうです。あらすじを紹介する動画を新国立劇場バレエ団が公開していますので↓お借りしました。

 

 

ここでは↑「こどものためのバレエ劇場」なので、ハッピーエンドになっていますが、オリジナルは悲劇的な幕切れ。でも演出によっていろいろなバリエーションがあるそうです。さて、今回のKバレエではどんなエンディングだったのでしょう?

 

「白鳥の湖」の大きな見せ場は、第3幕で黒鳥のオディールが見せる「32回のフェッテ(グラン・フェッテ・アン・トゥルナール)」。「フェッテ」とは鞭を打つという意味で、振り上げた脚を鞭のようにしならせてその場で回転します。これを32回繰り返すのは至難の技で、「白鳥の湖」だけでなく、バレエ全体の中でも良く知られた名場面になっています。

その「32回のフェッテ」だけを集めた映像がYouTubeにあったので、ご覧ください。Kバレエのは出て来ないのが残念ですがニコニコ

 

 

 

同じ「32回のフェッテ」でも、7人のバレエダンサーによって少しずつ違いますよね。人によっては、一度に2回転(ダブル)したり3回転(トリプル)を挟む人もいますし、回転するスピードも違う。32回転が終わってポーズを取る瞬間に、足元がぐらつきかける人もいて、どんなに大変な技なのかが想像できます。

バレエファンは「ここが一番の見せ場!」ということを良く知っていますので、ここでは客席から最大・最長の拍手が贈られます。コロナでなければ「ブラボー!」の声がたくさん飛ぶ場面。なので、バレエに詳しくなくても「白鳥の湖」の話題が出たら「ああ、あの32回転の…」と言えば「おっ、知ってるね」と思われるはずですよ~。ふふふ。

 

 

 

 

で、Kバレエの「白鳥の湖」。私は3/24の初日を観ました。この日の主な配役は次の通り。

 

オデット/オディール 小林美奈

ジークフリード王子 山本雅也

ロットバルト 杉野慧

王妃 山田蘭

ベンノ(王子の友人) 関野海斗

家庭教師 伊坂文月

 

で、感想はと申しますと・・・

●素晴らしい! 私が今までに観たいろんなバレエ団の「白鳥の湖」や、今までに観たKバレエの舞台の中では最高に楽しめました。

●「白鳥の湖」では、同じダンサーがオデット/オディールを踊るので、その「踊り分け」に注目していましたが、小林美奈さんは、「可憐でつつましいオデット」と「挑みかかるような自信満々のオディール」を上手に区別していたように思いました。

●特にオデットを踊る時の小林美奈さんの「肩~腕~手~指先」の柔らかい動きには目を奪われました。骨も関節もなくて、すべてがシリコンラバーで出来ているのでは?と思えるほどのしなやかさ、柔軟さ。驚愕でした。

●冒頭、花畑で花を摘んでいるオデットが、ロットバルトの魔法で白鳥に変身させられてしまう場面での「早変わり」も見事。私は「あっ」と思わず声を出してしまいました。

●そして最大の見せ場の「32回のフェッテ」。私も注目していましたが、小林美奈さんは前半にトリプルやダブルを取り入れ、回転の軸も安定していて、素晴らしい「回りっぷり」を見せてくれました。この記事の上のほうに「32回転特集」の動画を載せましたが、実はKバレエの公演を観たあとで発見したものなんです。だから小林美奈さんの舞台を観た時の私は「トリプル」なんて初めて観たので、「えっ?いまトリプルで回ったよね?すげえ!信じられない!もしかして人類初?」などと妙に興奮してしまったのでした(笑) でも、上の画像と比べてもまったく遜色ない、むしろすべてを上回るほどの「32回転」だったと思います。フィギュアスケートで言ったら、女性が世界で初めて「5回転ルッツ」を跳んだ!みたいな?

●ジークフリート役の山本雅也さんは、今回の公演で4人いるジーグフリード役の中ではビジュアル的に最も私の好み合格。「このステージ上でいちばん注目を集めるのは俺!」という自信と気品にあふれたステージを見せてくれました。

●私はバレエやオペラ、コンサートなどでの「照明と映像による演出」にとても興味があって、何か観に行く時は、そこにいつも注目するんです。今回は(今回が初めてではないかもしれませんが)、プロジェクション・マッピングの技術を駆使して、舞台の「床」にも様々な画像を投影し、森の中や湖という舞台を演出しているのが美しく、印象に残りました。

●まったくの余談ですが、他のバレエ団の公演や、オペラの舞台と比べると、Kバレエは観客の「女子率」がものすごく高いことにあらためて気がつきました。女性と男性の比率は99:1ぐらいかな?(大げさですがほっこり) 宝塚歌劇団の公演でも、もう少し男性がいたと思います。まさに独特の雰囲気だったですねぇ。

●Kバレエの「白鳥の湖」は、どんなエンディングだったかは、ひ・み・つ!(笑) ともかく、素晴らしいものに触れることが出来て、良い時間を過ごせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<Kバレエの「白鳥の湖」を観ながら、心に浮かんできたこと>

変な考えかも知れませんが、私は、地球が滅びても別に構わないと思っています。というか、地球より先に人類が滅びる日が、いつかきっと来ると思っているんです。もしかしたら、このコロナを制圧できなくて滅びてしまうかもしれない。だとしたら、まさに今、我々は「世界の終わり」を観ていることになるわけで・・・。

でもKバレエの「白鳥の湖」を観ていたら、こんなに素晴らしいものを生み出し、継承し、新たな解釈で人々を魅了し続ける人間の創造力、そして芸術の力って、凄いなと思いました。これを簡単に滅びさせたら、やっぱりちょっと勿体ないなと感じた次第です。だから、コロナには打ち勝ってもらいたい。

 

もう一つ私の心に浮かんだのは、ロットバルトはなぜ悪魔になってしまったのか?なぜオデットをはじめ大勢の女性を白鳥の姿に変えてしまったんだろう?ということ。バレエではそこにまったく触れられていません。私はこんなふうに思いました。

「ロットバルトは、きっと子供の頃にいじめられたんだろうな。小学校や中学校でひどいイジメを受けて、友だちもいなくて寂しい時間を過ごす中で『いつかきっと世の中に復讐してやる!』と思ったに違いない。そして魔法使いの学校に入って必死に勉強して優秀な魔法使いになったけれどダークサイドに落ちてしまい、若い女性を次々に誘拐しては白鳥の姿に変え、自分のアパートの部屋に並べた鳥かごに入れて眺めることで満足するような、歪んだ青年になってしまったんだろう・・・」

突拍子もない想像なのは分かっていますけれど、ロットバルトを主役にした、現代風の物語があってもいいような気がしました。まぁ、もしかしたら、とっくにそんな映画が作られているかもしれませんが(笑) あ、でも、いまこれを書いていて気がついたんですけど、黒鳥のオディールはロットバルトの娘なんですよね。だからロットバルトは結婚していた、というか、少なくともロットバルトの子供を産む女性はいたわけで。そうかぁ。うーむ。物語を練り直さないといけないなぁ(笑)(笑)