北原白秋「爪紅」北原白秋の第2詩集、「思ひ出」の中で、僕が一番好きな詩は、次の短い作品である。 爪紅 北原白秋 いさかひしたるその日より 爪紅(つまぐれ)の花咲きにけり、 TINKA ONGOの指さきに さびしと夏のにじむべく。 原注 Tinka Ongo 小さき令嬢(柳川語) 底本は、岩波文庫「白秋抒情詩抄」、昭和40年第32刷。