母の過去 306 | 不思議なトントン日記

不思議なトントン日記

感動あり泣き笑いのブログにし皆さんが楽しみにしてもらえる事を目指します。
1話完結ではありません。根気よく読んでいただければ嬉しく思います。
時間のある方は初めから読んでいただければ、笑っていただけると思います。

306
 
風呂がまだ炊けていないのなら先に何を注文するのかと、
テレビを見ながら父に出前の話をしましたが、
風呂を出てから言うと気を悪くした父は
言ってくれません!
妹達は僕と同じカツ丼で充分ですが、
支払いは父か母ですから父には聞かないと
大変な事になる可能性もあります!
ここは忍の一字で空腹に耐えて
その空腹をテレビでごまかしている僕ですが、
可哀そうと思った父は風呂が炊けると
同じので良いと言ってくれました。
電話に飛びつきカツ丼を4人前と狸ソバを一人前を頼み
母には妹が雑炊を作ってやりました。
出前をまだかまだかと考えテレビを見ていると
大好きなテレビも頭に入りません!
テレビも育ち盛りの僕の食欲にはまったく勝てないのです。
僕の頭の中はカツを一口食べると
ツユにまじった白ごはんをほおばっている所を
想像しているのです。
もう1分が10分に感じるぐらい
出前が届くのが遅く玄関で少しでも物音がすると
見に行く始末です。
父が風呂から出るとタイミングよく出前が届きましたが、
まだ父は体を拭いている最中です。
僕達の為に頑張って働いて帰って来た父より先に
食べる訳には行きません!
でも目の前には大好きなカツ丼と狸そばが
僕に早く食べないと冷めて味が落ちると
何度も何度も言って来ます。
僕はそれを聞くと食べそうになるから
両耳に指を入れて聞こえないようにしますが、
その声は小さくなっただけで僕にはハッキリと聞こえるのです。
先ほどは1分が10分に感じましたが、
目の前にカツ丼があると、テレビも狸そばからあがる湯気も
スローモーションに見えるのです。
風呂場の脱衣所から父が先に食べろと言ってくれた
声を聞き僕はその声が見た事も話した事も
無い神様の声に聞こえたのです。
声をきいてからの記憶が無くなる程の勢いで食べたのです。

 

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