母の過去 304 | 不思議なトントン日記

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感動あり泣き笑いのブログにし皆さんが楽しみにしてもらえる事を目指します。
1話完結ではありません。根気よく読んでいただければ嬉しく思います。
時間のある方は初めから読んでいただければ、笑っていただけると思います。

304
 
水銀のレトロな体温計で熱をはかり
微熱があった日はめずらしく営業所に顔を出して
直ぐに帰って来たのです。
M銀行の事もお客様の社長のお見舞いも
無事に済みましたから、、
ピーンとはった緊張の糸が緩み安心して一度に
疲れが出たのでしょう。
営業所からおとなしく帰って来た母ですが、
カバンの中には信じられない物が入っていたのです。
車を買い変える悪魔の計画は家族の猛反対で
諦めたのですが、
浪費家の血が計画していた
悪魔の計画はそれだけではなかったのです。
なんと布団に入ると何冊あるのか?
パッと見ただけでは解らない数の旅行のパンフレットが
枕元にあるのです。
学校から帰った僕が微熱があるのにニコニコして
パンフレットを見ている母に
又どこかに行くのか聞くと
母は自分へのごほおびと僕を見ないで
目はパンフレットを見たまま答えたのです。
同じ営業所で一番に仲の良いYさんと
ヨーロッパ旅行に行ったのは
ついこの間だと思うのですが、
母はまた行くかどうか解らない?
じっと寝てるのが暇だから貰って来ただけと言うのですが、
そんな嘘に騙される僕ではありません!
母の体は布団の中ですが、
心は世界の何処かに飛んで行っています。
パンフレットを見てはため息をつき
ため息のついでに今日は熱があるから
何か出前でも取ってと これもパンフレットから
目をはなさずに言うのです。
これを聞いた僕は、
もう何処かに行く事はYさんと話が
出来上がっていると100%思ったのです。
100%どころではなく1000%でしょう。
M銀行の事を気にしながらも
Yさんとは密かに第二の悪魔の計画を誰にも気づかれずに
水面下で進めていたのです。
パンフレットは近くの旅行代理店から貰って来たのではなく!
営業所の机の引き出しの中に入りきらないぐらいある、
ほんの一部を持って帰って来たのでしょう!
その証拠に赤ペンでトコロドコロにしるしがあるのです。
一枚のパンフレットだけではなく
家に持って帰って来たパンフレット全てに
落書きのようなしるしがしてあるのです。
旅行代理店に行き今日に貰ったパンフレットなら
この様に沢山のしるしが出来るはずがありません!
営業所の机の中で出番を待っていた
パンフレットに間違いがないのは見れば直ぐに解ります。
 
 

 

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