千駄ヶ谷緑苑ハウスのリファイニング建築
これらを見る限りはそう感じてしまうのが普通でしょう。
実は昭和45年築(1970年)の物件で、築年数は43年も経過した物件なのです。
先日お客様と内見してきたこの物件、
躯体は40年以上前のものと言えど、率直に言えば住みたい!思った物件だった。
その物件は 「千駄ヶ谷緑苑ハウス」
建物は、道路を挟んだすぐ北側には新宿御苑があり、屋上からは新宿のビル群や神宮外苑花火が眺められる好立地にある。リファイニング建築という手法によって再生され、分譲マンションとして3月に完成した。
では、このリファイニング建築とは?
旧耐震基準の耐震性能を補強工事し、内外装や設備を設備の一新。建築の長寿命化を図る建物の再生手法である。
既存のエレベーターは、当初2階から7階までであったそうだが、1階にも新たにエレベーターホールを設けたそうで、この手法の凄さに驚いた。
工事中写真の一部
では、購入するための住宅ローンはというと、新築同等の長期の融資を受ける事が可能でもある。
第三者調査機関に委託して残存寿命を推定し、改修後から50年と評価されたそうで、法定耐用年数によらず、長期間での融資返済が可能となっている。
都内を中心に築年数が40年以上を経過した物件は年々増える一方で、あちこちの物件で立て替えの議論も持ち上がってきている。
立て替えという選択肢に加え、このリファイニング建築という選択肢も今後は増えてくるのではないだろうか。
裸電球のある部屋の記憶
まだ子供だった頃、実家の父の部屋は
裸電球が一つあるだけの薄暗い部屋だったことを覚えている。
上部にある四角いスイッチをくるっと回すと、オレンジ色の灯りがつき、
真下にあった畳が照らされるのだが、部屋の四隅は薄暗かった記憶が懐かしい。
先日、新宿区の物件を内見し、お客様もとても気に入られて、昨日、無事に契約を
頂いた物件がある。
真南を向いたその物件は、ドアを開けた瞬間から、明るい日差しが差し込む。
加えて、リノベーションもされているので、抜群に印象が良い物件であった。
そこに細かな説明はいらないほど素晴らしい。
そして、この物件。僕にとって最も印象深かったことがある。
それは裸電球が設置されていたこと。
後方にある新宿の高層ビル群とのコントラストが、田園風景が広がる茨城の実家とは大違いである。
けれど、そんな違いは僕の懐かしい記憶が蘇ってくる抵抗にはならなかった。
あれころから20年以上が経ち、時代は昭和から平成に変わった。
その間、裸電球なんて見ることもなかったけれど、飛び込んできたこの裸電球の姿は忘れてはいない。
懐かしい記憶が蘇ってくるのも当然の流れだ。
子供だった頃の父の部屋は、センスない家具が並び、古びた畳の和室で薄暗い。
居心地が決して良いわけではなかった。
その環境の不満や記憶が、いま僕がしている不動産の仕事の源泉になっている。
居心地の良い空間を求めて、お客様へ物件を紹介し続けている。
それにしても、リノベーションされていたこの部屋に、
どうして裸電球が取り付けられていたのだろうか。
その真相のほどはわからない。
いや・・・わからなくてよいのだ。こうしてまた、この懐かしい電球を見ることが出来て、ご契約も頂けた。
その事実だけで僕の気持ちは彩られたのだから・・・。