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mj23のブログ

映画、音楽、アート、建築、本、演劇、ワールドサッカーなど今まで出会って来たおもしろいことや最新のものにフォーカスして自分のことばで紹介して行きます

コンクリート打ち放し壁に落ちる一条の光。それは闘う男の顔を横切って光を当てている。プロボクサー出身で独学で建築ということで異色の経歴がクローズアップされがちであるが、安藤建築の凄さは均整のとれたプロポーションと細部へのこだわり、ミニマリストといってもいい、に尽きると思う。コシノ氏が言うように多分居住空間の快適性とは無縁であり、居住者に空間との格闘を要求し続ける、でもそれでも手に入れたい美学的で眩惑的な空間なのだろう。ユークリッド幾何学の建築への優雅な適応といってもいい。コルのように近代建築5原則を作ったわけではなく、プログラムやシステムとはおよそ無縁な建築家だろう。そちらは伊東豊雄やSANNAに任せて置けばいい。光の教会のモックアップは感動する。ギャラ間で体験した住吉の長屋に続く原寸とディテールに触れる瞬間だった。さて「挑戦」の矛先はどこに向けられているのか。いつまでも闘う建築家としてストイックにカーンやコルのように建築家という生き方を全うして欲しいと思うのは幸いにして同時代を生きた人間としての願いである。鉛筆

 

若手の人気実力とも兼ね備えた男女5人の俳優の群像劇。演劇とロックと留学と色々な事情で皆5年生での就活。一人を除いては初めての体験での本音をさらけ出しての悲喜こもごも。若い時に訪れるターニングポイントはいくつかあり、受験や部活などがそうだろうが、本人の「地の部分」の勝負になるのは就職が最初かもしれない。趣味を仕事にするかとか、両立していくかとか。家庭の事情とか。コネや性格など変えられないものや恋愛感情など。それは一時、精算の時期だ。twitterが効果的に使われていて140字あるいは1分間での自己アピールなど自分と向き合う時間が要求される。それは他人から見たら滑稽で人間観察的には喜劇なのかもしれない。すべてこれから訪れる未知なるものへの不安を前に素での自分のあわてふためきざまを他人に見せる、人生デビューの瞬間である。5人中2人しか内定が取れていない。メールでの不採用通知や内定通知。企業のOB訪問でのメアド交換で人間の本音が晒されたりと今の就活事情やブラック企業の評判など会社に入るのも大変な時代なのだなと考えてしまう。本当に求人倍率は向上しているのでしょうか?マイク

 

いじめや仲間はずれからくる中高生の自殺や過労による心の病にかかって自死の道を選ぶ若者は今でも後を絶たない。社会現象として常態化しているとさえも言える。ケータイやスマホの誕生により24時間連絡を取り合うことができ、寝ている時にも周りでどんなことが囁かれているかもわからない、ままならない世の中になってしまった。ほんの10年くらい前の原作だが今とは随分と空気感が違ってウェットな感じがする。地方を舞台としているからなのかもしれないが。現代の方がドライで重く巧妙な悪意が蔓延っているような気がする。土砂降りの雨と足元の靴や裸足や海辺のシーンが特徴的な作品だ。演劇と高校の先生との出会いが死を選ばなかったヒロインに与えられた使命であり、妻の心の病を直視しようとしなかった教師に安息の日々を与える役割を担うことになる。レイプされた女子高生は最終的に死を選ぶまで追い詰められるが教師も部員やOBたちも無力でありなんの力にもなっていない。教師も主人公もお互いを巧妙に利用し、他人が踏み込めない世界を密かに作ってしまっている。それは真夜中に突然かかってくる電話のように周到であり不吉でさえもある。人は人を救うことができるのか、困っている隣人がいたら手を差し伸べなくてはならないのか。人間の心理描写や音楽を省いて沈黙が画面を支配する。このヒロイン役は難しい役所だったと思う。陳腐な恋愛映画に落ちることなく、ギリギリのところで止まっているのは抑えた演出と映像の美しさのせいなのかもしれない。映画

 

 黒人女性に数学や物理の天才がいて実はNASAのエンジニアとして宇宙飛行士ジョン・グレンの地球周回軌道成功の立役者となったと言う実話を基にした作品である。当時は宇宙開発でソ連に一歩先を越されていたアメリカ。まさに宇宙開発の覇権争いが始まったところでJFKもキング牧師も生存していてマイルズ・デイビスがトランペットを吹いていた時代である。IBMの大型コンピューターがようやく誕生した頃である。白人とはトイレさえも区別され教会も図書館も別で大学進学も非常に難しかった。人種差別という現実を直視しながらも前向きにNASAで計算業務に打ち込む彼女たちの努力と何事にもメゲない明るさに勇気をもらい、喝采を贈らずにはいられない勇気をもらえる名作である。カチンコ

 

 レコーダーに会話の隠し撮りを行い自分でリミックスしてテープを作る。iPodに取り込みドライブ中に聞く。凄まじいカーアクションの連続と音楽の洪水。両親と乗っていた車での事故で耳鳴りが起こるようになるが音楽を聴くとそれが消えて代わりに特殊な能力が目を覚ます。不運なことから悪事に手を染めるが心優しい青年は足を洗おうと奮闘する。オリジナルが書けてこんな格好のいい音楽映画が撮れるエドガー・ライト監督の次回作が楽しみである。カチンコ