「白鯨」 | 定年後の風景

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1956年米国作をアマプラ400作目となります。確か小学生の時白黒テレビで見て痛く感動し、また心底恐怖した超名作でした。果たしてどんな作品だったか再観したくてたまらなかったものでした。すると記憶の中に残ってた通りのままで見事に甦りました。

 

特に今回は怖ろしくも不気味な特撮を、いつもの癖で、今までの知見を総動員して超分析的に見てしまいましたが、それはもう奇跡とも呼べる海洋特撮を、超総動員して、これはもう当時の米国しか作れんだろう特撮の技術を駆使してました。

 

それはもう奇跡的で当時の米国の映画技術を総動員した見事としか言いようが無い撮影してたことがより以上に明らかとなって驚嘆することとなりました。それこそもう数分ごとに実写と模型、光学合成、リアプロジェクションをめまぐるしく組み合わせて、あの映像を創り出してるのでした。

 

これはもう2001年に次ぐ見事な特撮映像だったでしょうか。まあしかしこれは、東宝特撮では規模技術とも既に追いついていたことは言えると思いました。それとまあ白鯨の傷だらけの質感はこれはもう不気味恐怖以外の何者でも無かったですね。

 

ジョーズの時代なら分りますが、あの時代あの巨体をどのように動かしていたんでしょうね。多分動力では無しに、操り模型即ち今で言うアニマトロクスを巧みに操作してると思われましたよ。これはジュラシックバークやジョーズと同じ撮影者が好む常套手段ですね。

 

しかし余りに巧み過ぎて、最早神業ですよねこれは。帆船なども大型の物を使って見事なものと思いましたよ。ことに大きな渦に巻き込まれて沈み行くシーンなどは、最早神業以外の何物でもない見事なもので、難しかったと思いますよ。

 

ああも上手く砕けながら帆船模型は沈んでくれないと思いましたよ。撮影は苦労したと思います。時々人形が乗ったボートが出て来て、東宝も可動する人形乗せてよく撮ってました。米国の捕鯨で盛んな港町を、一人の放浪青年のリチャード・ベースハートが船乗りを体験しようとしてます。

 

そして、グレゴリー・ペックのエイハブ船長の大型捕鯨帆船に乗り込みます。船長はかつて白鯨モビィ・ディックに遭遇して、腹と片足を食い千切られて生きており、いずれその内必ず仇を討つと白鯨の位置を追い求めていたのでした。そして遂に時は熟し、出現位置を突き止めます。

 

それで、鯨捕りの荒くれ船乗りどもを集めて港を出港して行くと言う有名な話となります。最初に潮吹きを発見した者にはこの金貨をやると、帆柱にスペイン金貨を打ち付けます。この中に何も知らない冒険者のベースハートが紛れ込んで全てを目撃することとなります。

 

既に港には全員呪いで死ぬと呟く不気味預言者が現れて、既に怪しげな不穏空気が流れてます。どうみても生きて帰れない呪われた予兆に満ちてる中を、荒くれ船乗りどもは金欲しさに、また鯨取りの心意気を示すために乗り出して行きます。

 

(以下ネタバレします)出港して暫くは船長は姿も現さず船室に籠って船員らは既にあの船長は恨みの余りにおかしいのではないかと疑ってますが、いやそれでも我らは鯨取りと船長の意気に従います。すると船長はようやく姿を現し、白鯨はどこそこに現れると予言して、一同に号令放ってその海域に全速で向かいます。

 

すると不気味凪に見舞われ、何日も漂流させられますが、やがて一転嵐となり、その中を沈没覚悟で無理クタ押し進むと、遂に傷だらけの巨体白鯨が皆の前に姿を現します。背には大きな銛が1本突き立っており、船長は、あの銛はワシが打込んだと叫びます。

 

鯨仕留めるにはボートに乗る必要があり、3隻のボートで白鯨に近づき、次々と長い銛を打込みます。銛は命中して巨大な血飛沫が上がります。船長はボートから白鯨の背に跳び移って、持って来た特性の巨大銛を、クソ死ねと何度も突き刺します。

 

すると、銛に付けた太い縄が白鯨に撒きつき、さらには船長をも巻き付けて、巨大白鯨は満身創痍になりながら海中深くに潜り込みます。あたりは不気味に一瞬静かになりますが、やがて鬼神となった白鯨は、海中深くから海面に躍り上がり、その胴にはエイハブ船長を巻き付けてました。

 

そこには溺死した船長の髭面の顔まで見えます。すると太い縄に撒きつかれたままの船長は、弾みで右腕を大きく上げて皆を手招きします。皆はそれを見て、呼んでるぞ、と心底身震います。すると次の瞬間、白鯨はボートにブチ当たって粉々に砕いて、人もろとも海中に投げ落とします。

 

さらに狂乱白鯨は、帆船本体にも体当たりして、留守を守ってた黒人少年副船長をも帆柱の下敷きにして殺し、ついにはバラバラに砕けた帆船本体は、大きな渦とともに深く海中に沈んで行ったのでした。結局生き残ったのは、放浪青年のベースハートだけでした。

 

船長に反対してたまとも副長も、最後は結局船長の気迫に洗脳されて、白鯨の犠牲となってたのでした。青年は同室だった先住民の占いで死を予言されて作った丈夫な防水棺桶に捕まって唯一生き残り、この物語を伝えたのでした。

 

そらもうあんた、これは鮫のメグどころの話ではありまへんで。渾身を込めた超名作には間違いないですわ。ジョン・ヒューストン快心の監督・製作作品でした。Wiki見ると、最初のTV放送は1968年でカラーのようでしたが、ほんまかなと思います。

 

もっと昔の記録に無い深夜時間帯に、白黒で初めて見た気がしますけどね。深夜時間帯は意外とカットが少なかった気がするのですよね。リメイク版が出ていて画像はほぼありませんでした。