「オットーという男」 | 定年後の風景

定年後の風景

定年後や病気のこといろいろ書いてます

 

2022年米国作をアマプラ384作目となります。トム・ハンクスが出てる家庭ドラマで、まあ題名から予想される偏屈で口うるさい愛想が悪い孤独な爺さんの話です。若い時に奥さんのお腹の赤ちゃんをバス事故で無くし、奥さんは車椅子で半年前まで老年になるまで仲よく暮らしてました。

 

しかし、ついにその奥さんも亡くし、毎日墓参りに行って話すのと、町内をパトロールするのが日課です。文句言ったり隣近所に注意するのに忙しいですが、その割には生きててもしょうがないので、今日明日にも自殺を実行してますが中々死ねません。

 

自殺してるのに色々近所に文句言うのに忙しくて自殺もさせてもらえない生活に矛盾があり、それがコメディになってます。トムハンクスがすっかり老人になって演じてますが、まだ60代で若いです。かなりメイクしてると思いましたよ。

 

吹替え版しか無くて日本語で見ましたよ。吹替しかないもの多いです。前2作を吹替えで見たので慣れました。実は本は作何度も見始めましたが、吹替えだったので慣れないとひつこくて見れなかったのです。声優さんの演技を聞かないといけないので、字幕がよいのです。

 

土地があっても低所得はあんな長屋アパートに住んでるのは初めて知りました。また向いに越してきた人懐こい若夫婦の奥さんに、簡単に公道で運転教えたり、誰にでも簡単に自分の車やったりよく映画に出て来ますが、米国は簡単ですな。欧州もそうなんでしょうか。

 

米国映画では、行きずりで中古車屋で車買ってそのまま乗っててびっくりしますなあ。車検証無いんでしょうか。原作小説があり、2015年のスウエーデン映画のリメイクでした。

 

(以下ネタバレします)トムの朝のパトロールと、住民への注意から日常が始まって帰ってくると、早速天井にドリルで穴開けて、首吊りの縄を取り付けてます。電気は解約して真っ暗で、電話も水道も止めて、その手続きに大わらわしてます。たぶんケーブルTVも点きません。

 

それでやおら意を決して椅子に乗って首に縄掛けて椅子を蹴ると、ちゃんと輪は首に掛かり、白目向いてもがきますが、暫くジタバタしてると、やっぱり天井の留め金が抜けて、床にしこたま落ちます。生き残れましたが、自殺には失敗しました。

 

床には排泄物や何かで床が汚れるので、新聞紙敷いてました。律儀です。そうしてると、何やら向いに騒がしい若いメキシコ夫婦が越して来て、縦列駐車出来ないと夫婦でわあわあ揉めてます。こっちは自殺しようとしてるのに、駐車を見て欲しいと、騒がしい奴っちゃと、玄関に来た奥さんの相手します。

 

駐車くらい勝手にやれやと、トムはしかめっ面しますが、それを放っとけない性分でもあるので道に出て「駐車も出来んのかい」と文句言いながら縦列駐車したげます。ついでに今度運転教えたるから練習せいと思わず親切心が出ます。これで運転教えるまで自殺出来なくなりました。

 

奥さんが来たので、慌てて床に落ちた首吊り用の輪を隠してました。「首吊りしてたの?」と聞かれるからです。そうしてこうして一事が万事こんな調子で、アパートの私道を通る配達車や無断駐車する奴を一々注意したり、誰も通行したあとの大きな扉を閉めないと、ブツブツ言って閉めてます。

 

そんなことしてるので中々自殺出来ないのでした。まあ普通はいざ自殺する人間は、極度の鬱になってこうは動かないもので、そこにコメディを仕掛けてます。自殺する日は決めてたのでしょうか。越して来た向いは、幼子供が二人居て、奥さんはさらに妊娠中で賑やかな若夫婦家族でした。

 

そして、お礼と挨拶にと食事に招待されたり、梯子貸してと言われたりして、一段落すると、今度は車庫で排ガスを引込んで自殺試みてると、今度は奥さんが旦那が梯子から落ちて入院したので病院へ連れて行ってくれと車庫のシャッターをガタガタと叩きます。

 

いい心持ちでCO中毒で奥さんとの思い出に浸った死にかけてるのに、それを叩き起こされて病院に連れて行き、また自殺に失敗しました。そして今度は鉄道のプラットホームに行き、意を決して近づく列車に飛び込もうとしてると、なんと隣に立ってた老人が、眩暈で線路に転落します。

 

それで、自殺どころでは無くなり、思わずトムは必死で線路に飛び降りて助け上げて、皆に喝采を浴びます。近づく列車に身構えましたが、思わず助け上げられて、また自殺に失敗しました。その後捨て猫を頼むと近所から預かって嫌々一緒に寝たりしてます。

 

新聞取って無いのにチラシだけ投げ入れよるバイト青年に、要らんでと文句言うと、青年はトムの先生してた奥さんに教わって、世話になったと言い、家に呼んだりして、仲よくなり、自転車を修理してあげて、欲しがってた車を上げます。

 

向いの奥さんには運転を教えてあげて、こうして偏屈トムもようやく近所と打ち解けて行きます。そして旧知のお隣さんの旦那さんが、認知で高齢になり、不動産屋に追い出されそうになるところを、駅で老人を助けた動画を見たSNSレボーター女性が押しかけて来ます。

 

そして「これライブ中継してるで」と不動産屋を追い返し、近所から喝采受けて、これで晴れてトムは近所に打ち解けた、とそう言う話でした。しかしトムは最期は悪化した心臓病で遺書を書いたあと、間もなく自宅のベッドに倒れて静かに亡くなってのが向いの奥さんに発見されます。

 

それで遺書に書いてた希望通り葬式して、皆に送られる場面で映画は終わってました。自殺せずに済み、世の勤めを果たし、皆に惜しまれて逝ったんでしょうか。フォレストガンプの実生活版のようでした。

 

題名で内容が知れて、そのまんまの内容でしたが、トムハンクスの演技で何とか見せたでしょうか。脚本演出はよく出来てて、見て損は無いですよ。あ、あと1回今度は散弾銃を喉元に当てて装填してると例の新聞青年が父親と喧嘩して家出したとドアを叩いて、また自殺に失敗してました。

 

もう装填してたので、思わず暴発させてしまって、青年には何でもないと言ってたのが細かかったです。要はトムには自殺させずに、人助けする運命にあったのでした。