こまごまネットなど(9)宇宙映画の矛盾点(2) | 定年後の風景

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続く次作は「ファースト・マン」です。あ、これはゼログラビティの監督が、満を持して作った宇宙2作目で、アポロ11号の初月着陸を描いた、例の作品ですね。なんでこれを今頃、ニールアームストロングの自伝なん?と大いに疑問が湧いた作品でもありました。

 

作りたかったんですかねえ。結果は不評でしたね。よく出来ていたんですけど。動画ではアームストロングのX-15の記録飛行のことを、かなり細かく指摘してますね。X-15とはNASAの超音速飛行実験機で、ジェットエンジンで離陸し、高空でロケットエンジンに切り替えます。

 

それでマッハ飛行に挑みます。それを映画で、ガタガタ猛烈に振動して、轟騒音がしながら、上昇するほど明るくなるのが、全部変だと言ってます。機内は静かで、振動は無く、しかも高度1万5千mでは、ぼちぼち暗くなって来ます。空気が薄くなり散乱が減ってくるからです。

 

3万mほどまでは、ジェット機で上昇出来ますが、最早そこは星空が見える半宇宙の感じと成ります。こうして見てると、この監督はかなり宇宙科学に関心が少なく、迷い少なく作ってるようですね。このことは、ゼログラビティで既に如実に現れてて、もう宇宙映画は作らない方がよいと思いました。

 

ま、見てると面白いんですけど、皮肉にも正確に描いた驚きの方が、もっと面白いんですよね。また機首が、空気との摩擦で赤熱してますが、あれも空気が薄く起こらないと言ってます。実際濃い空気中でマッハ3とか出すと、翼のエッジ部分が高熱になって、その耐熱性が一番の問題にはなってくるんですけどね。

 

さて解説者が、最も強く指摘してたのは、飛行士達の表情が深刻で、暗すぎると言ってます。宇宙飛行や、ましてや初の月着陸は、もっと楽しくて、血湧き肉躍るものだった筈だと、興味深いことを言ってて、この辺も監督の思い込みで、リアルさが実際には欠けてたのですね。


次は「ドリーム」で何の映画でしたっけ。マーキュリー計画の話のようです。ケビン・コスナーが出てます。ここでは飛行原理の計算式の話が出て来て、解説者もこの通りやってたと言ってます。


次は「アド・アストラ」で、問題多く物議かもした映画だった記憶です。月面で月面車が走りながら、敵味方で銃の撃ち合いしてて、宇宙での火薬銃の発射について、やたら詳しく説明してます。基本的には、火薬の中に酸化剤が入ってて、固形燃料ロケットと同じで、宇宙でも真空中でも、撃てると言ってます。

 

確かに水中でも発射してる動画がありますから、これは事実と思います。火薬の成分はよく知りません。月で銃を撃つと、重力が少ないために、なかなか落ちずに、周回軌道を回るかも知れません。これは一回りして、自分に当たるかも知れんと言うことですが、計算はしていません。

 

またこの月面車は古く、走行音もしないと言ってて、その通りです。真空中で音が出る映画は多くて、全く無音なのは2001年だけかも知れません。


次にいよいよ「2001年宇宙の旅」が登場します。あと5分ほどしか無いですし、ラストを飾るでしょうか。史上最高の宇宙映画と認めています。う~ん冒頭さすがに、中々興味深いこと言っていて、軌道上の宇宙船から見た地球の大きさや、曲面が全く実際と同じだったと感動して、奥さんに話していたことでした。

 

まあクラークが噛んでましたから、そうそう食い違うことは無いと思いましたが、ステーション5の窓から見える地球は、小さすぎる指摘はありましたね。キューブリックは正確さ知りつつ、割とそれ無視して美的に変えますから、これも実際とは変えた可能性が大きいと思っています。

 

ベルクロ吸着靴は今も多用されてると言ってました。本作は美しく芸術的で科学的でもあり、最高作だと言ってますね。


しかし作品はまだあり、「ウオーリー」は子供向け作品で、知らないかも知れません。小型ロボットが出て来る、CGアニメでした。このロボットが、消化器を噴射して宇宙を動き回るシーンが面白いと言ってます。米国初の宇宙遊泳をしたホワイトも、移動するためにハンドノズルを持っていたからです。

 

過酸化水素を噴射してたと思います。動くのは宇宙船の近傍だけで、酸素供給のホース付けてましたけどね。電気配線と一緒に。ジェミニの大きなハッチから出てました。この方式は割と後まで使われてたと思います。宇宙服に推進機能が付いて、ホースレスで宇宙遊泳したのは、スペースシャトルからだったと思います。


だんだん小品になって来ます。「サンシャイン2057」で題名も覚えていません。太陽を再燃させる話のようで、太陽に近づいて行くと、太陽面を水星が通過する宇宙の脅威を、宇宙船から肉眼で見ていて、ものの数分で通過したようですが、これは早すぎて、これには数ケ月かかると言ってます。

 

うむむむ、太陽の巨大さは、いくら科学本の絵図を見ても認識しにくいんですよね。この辺で既に人間のイメージを超えてる訳ですわ。巨大さと言うのはイメージしにくいです。ひょっとすると地球上にあるものを超える大きさのものは、認識出来ない気もしますね。一生懸命想像するんですけどね。

 

天体の大きさは全て認識出来ない気がしますよ。当然、太陽系も銀河も宇宙も。しかも太陽が明る過ぎて、水星は小さ過ぎて、実際は水星は見えないと言ってますね。しかし、これを見る乗組員の驚嘆と感動の表現は良かったと言ってて、その通りでした。

 

感動は大事です。そして解説者の最後の締めくくりの言葉は、大事なのはこの畏敬の念だと言ってます。結局この感情の面が最後に残るのですね。これは多くの飛行士が語っていることです。してみると、この宇宙開発と言うのは、この感動を味わいたくてやっているのかも知れません。

 

また同時に、人類自身を感じ知るために、ホモサピエンスとして、自然な欲求でやってるのかも知れないと思うのでした。ひょっとして現実的で合理的な目的など無くて、やむに止まれぬ衝動で宇宙へ出て行ってるなんて、まあ凄いと思います。

 

それと同時に、これも進化の過程の一つと見ることは、かのクラークですらそう言ってました。10代20代でクラークを学び、そして50年近く経って、またそれを改めて感じ知るとは、思いも寄らなかったですね。