「ブラックホーク・ダウン」 | 定年後の風景

定年後の風景

定年後や病気のこといろいろ書いてます

 

2001年米国作を栄えあるアマプラ100作目となります。たまたまいつものように流し探ししてると、少し前まで有料だったものが無料になっていたので、100作目に相応しく再観しておこうと思いました。吹き替え放送版は録画して、何十回と繰り返して観てます。現代戦映画では最高傑作に当たると思います。

 

あとで「アメリカンスナイパー」が出て来て肩を並べましたね。今回初めて原語オリジナル版を観ましたが、何十回と観ているテレビ放送版とは違って、カット部分が無いので印象がガラリと変わって違う作品かと思えるほどのものになっていて驚きました。

 

恐らくは20分ほどけはカットしてあって、テレビ放送版は殆どダイジェストマイルドになってました。それはそれで概要知るにはよいですが、一般家庭にそのまま放送されますから、残虐場面はきめ細かくカットされて、これが印象大きく変えてました。

 

まあよりテレビ版は一般向けの戦争映画に近づいてたですか。また省略場面も多く、不自然に飛んでる場面は原版では無くなって、全編極めて自然な流れで繋がり、ああ監督はこう言う風に作りたかったんだの意図がよく読み取れたのでした。

 

プライベートライアンはNHKBSの原語版なので大丈夫と思うのですが、確かめておく必要ありますね。まあノルマンディで腸出て泣き叫んだり、胴体千切れてる場面も地上波ではカットされてたようですからね。

 

今回作で言うと、これも下半身千切れたまま生きてたり、ロケット弾が不発のまま胴体貫通して生きてたり、指千切れたりや、内臓に手を突っ込んで切れた動脈を引き出して止血しようとするなどの、血だらけ場面が随所に出て来て驚きました。原本は知っておかないといけません。

 

おかげて作品は戦争アクション映画から、暗~い沈鬱硬質度が、いや増して殆ど違う作品になったのでした。折しも9.11が近いですが偶然でした。本作の題材は1993年の南アフリカソマリア内戦での米軍の作戦失敗を描き、奇しくもそれが2001年12月に公開されてたですね。

 

9.11の3ケ月後に公開してたのですがほんまだったですかね。まあ作戦は失敗だったものの米軍兵士達は勇猛果敢に戦う様を描いてるとは何と最早皮肉と言うか偶然の奇妙だったですね。

 

映画は米軍もソマリア民兵もどちらが正しいとは描いておらず、ただひたすら戦場と戦闘を描いており、それを観客に観せようとしているところがアメリカンスナイパーに似て優れています。そしてまた昨今のアフガン情勢見ても米軍はアフリカでも中東でも同じような戦いしてるのだなあと思わせるのでした。

 

何でまたこんな遠い所でと、あちこちの作品でも言われてますが、最近思うのは遠いから戦ってるのではないか、と言うことです。キューバでこれをやると下手すると航空機が米国本土攻撃に来ますからね。米国は絶対こんな所で戦争しないですね。本土では如何なる場合でも二次大戦でも米国内は普通に日常生活を送っていたのでした。

 

中東もアフリカも大西洋隔ててすぐそこなんですけど、決して本土が攻撃受けない所で米国は戦争続けてますね。思想政策もあるでしょうが軍需産業のためだけかと言われても仕方ないですよね。しかし太平洋戦の日本兵に似て、現地で戦う米国兵にとっては戦場ではそう言う話だでけはない、と言う事をこの映画は語っています。

 

当時もニュースに出るまでよく知らなかったですが、要はソマリアにけしからん軍事独裁政権がおって、国連が支給する飢餓国民への食糧を横取りしたりして酷いことしてるので、米国はじめ国連軍が制圧に出動してるのですが、アフガンに似て武器支給する国がおって、到底太刀打ち出来なくなってきます。

 

それで一旦見放して退却したのですが、するとやはり独裁政権のやることは目に余って、またぞろ国連軍が進軍した時の敵軍街での敵要人誘拐隠密作戦の失敗により、少人数の米国部隊が地元民兵の猛反撃を食らい、決死に生き延びる有様を描いてます。

 

映画の最後にこうして多くの米国兵士と地元民の命が失われつつ、結局は短期間でまた米国軍、国連軍を撤退することになったと流れ、今のアフガンとそっくりなのでした。この作戦の失敗は題名にあるように作戦戦闘に参加した大型戦闘へり、ブラックホーク2機の墜落に起因してます。

 

墜落して生き残った、あるいは殺された米兵が衣服脱がされ地元民兵に引き回される映像ニュースが流れ、米国民は怒り狂ったと思います。天下の米国に未だかつてこれほどの侮辱したことがありません。このニュース映像見てこんな所でこんな戦争してるんだと知ったのでした。

 

因みに映画の最後に米軍はデルタフォースとレンジャーの精鋭部隊で,相手は暴徒に近い民兵でしたから米兵死者19人、敵民兵は1000人以上の死者と出てます。米兵は高性能M4やFNミニミで撃って撃って撃ちまくり、その弾は全て命中し、ヘリからチェーンガンで殺しまくりの戦闘してたと思われます。

 

(以下ネタバレします)作戦は精鋭100名で大型ヘリとハンビーで分乗して、要人誘拐ビルに向かい、30分予定の作戦でした。昼間に航空支援なしで敢行したのが間違いのもとになります。しかし見てると敵はロケット砲RPGを多数保有して攻撃して来て、そもそも敵の装備見誤ってる感大きいです。

 

それでも敢行するものなのかはよく分りません。要人誘拐は成功しますが、2機のヘリが敵地の真っ只中で撃墜されて形勢逆転し、悲惨な防衛戦に突入して行きます。既に何千人もの地元民が墜落したヘリに暴徒となって群がって来てます。

 

生き残った乗員はそれでも迫りくる住民民兵を撃って撃って撃ちまくって最期まで戦って殺されて行きます。死ぬつもりで二人が降下して加勢します。そしてついにヘリは住民らの手に墜ち、米兵を裸にして凌辱蹂躙します。米軍も国連軍もその地域では侵略敵軍なのでした。

 

地上軍はようやく建物に籠って夜を迎え、ヘリの援護受けながら囲まれた敵と激しい戦闘を繰り広げ、基地で体制立て直した地上部隊が到着し、その隊長のトム・サイズモアがお迎えに来たが乗るか?と声を掛けて、これで以て全員皆殺しになるのを防げたのでした。

 

そして皆して米軍エリアのオリンピックスタジアムへ向かうのでした。乗れる人数には限りあるので乗れない兵士は走ってスタジアムに向かい、無事到着してコップに入った水を貰うのでした。怪我人、死者を収容し、戦える者は装備整えてまた戦場に向かいます。

 

この地域は米軍友好エリアで、敵視しない住民や子供がまたウジャウジャ居るのでした。このスタジアムに向かって走る場面が放送では大幅にカットされていて、これほど走って撤退していたことが今回初めて知りました。

 

夜明けになるとようやく米軍の作戦が知らされて、やっと国連軍の戦車などの重兵器が出動して行くのでした。CGを多用してるようですが殆ど分らず気になりません。あとで考えるとよく出来過ぎてる場面はCGなんでしょうけど、内容に引きこまれて全て本物のように見えるので構わないのです。

 

2時間25分の映画は序盤から最後まで切れ目なくこの戦闘のみを描き続け、これほどにシンプルに力強く戦闘だけを描いた作品は無かろうと思いました。