電子レンジ対応パウチは ボンカレーから
今ではかなりポピュラーになった
レトルトカレーの電子レンジ対応パウチですが、
実はいち早く電子レンジ対応を実現したのが
「ボンカレー」(2003年)だったんですよね!!
アイディアを実現する包材がなかったので
包材を開発するところから始めたというから凄いです!!
スパイシ~~♪♪♪
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(ボンカレーブランドストーリー 2017年3月14日)
周囲の反対を押し切って実現した「ボンカレー」の電子レンジ対応
レトルトカレーの中で、いち早く電子レンジ対応を実現した「ボンカレー」。実際に使ってみると本当に便利ですが、まだまだ少数派である現状を鑑みると、技術的な壁や難題があるのかもしれません。そこで、大塚食品で電子レンジ対応パウチを開発した芹沢一郎に、その経緯や開発途上の苦労を聞きました。
実はほとんど賛同者のないままの開発だった
——レトルトカレーの電子レンジ対応は、生活者にとってメリットが多く、先進的で役立つ取り組みだと思います。開発は、周囲から賛同や応援を受けての船出だったのでしょうか。
芹沢:「ボンカレーを電子レンジ対応させる」というアイデアを、関係各所に説明したとき、実はほとんどの人から反対されました。
一般のレトルトカレーに使う包材はアルミフィルムを使っていたので、そのままでは電子レンジには使えません。電子レンジで温めるときは、お皿に入れラップをかければできる、その常識が最初の高い壁でした。それに加えて新しい包材を開発しても安全性は担保できるのか、そこも不安視されました。反対するだけでなく、無謀だからやめた方がいいと説得する人までいました。
——それでも、開発を進めようと考えたのはなぜですか。
芹沢:家庭で温めて食べる食品が電子レンジに対応するというのは、時代の流れから必然だと考えていたからです。いつか当たり前になるはずだと思っていました。
1990年代に電子レンジで加熱して食べることができる商品「あ!あれたべよ」の開発に携わったことがあり、当時でも、家庭における電子レンジの普及率は95~98%と言われていました。それから20年経った今、電子レンジ対応していないというのはむしろ遅れています。だからこそ、「ボンカレー」も電子レンジ対応すべきだと考えたのです。
利用者の安全のために二重三重の対策
——開発は、やはり新しい包材を見つけるところから始まったのでしょうか。
そうですね。既に包材メーカーがリリースしている資材を調べたり、個別に問い合わせるなど、調査から始めました。その中で、中華丼の具などを入れる冷凍食品用のパウチを見つけ、それをレトルトに使えないかと考えたのです。
レトルト食品容器には食品衛生法上決められたシール強度(容器に封をした後剥がれない強さ)が必要です。電子レンジ対応レトルトパウチには、製造過程では圧力をかけレトルト殺菌でき、安全にお客様へ届けられ、食べるために電子レンジ加熱する際には内側から圧力で安全に通蒸し加熱できるという、背反した機能が兼ね備えていなければなりません。
残念ながら、先の包装の仕組みはそのままでレトルトカレーに使用できる基準に達していませんでした。もちろん、それであきらめることはなく、大塚食品とその包材メーカーとで、一緒に開発していくことになりました。
——やはりクリアすべき課題は、シール強度だったわけですか。
芹沢:一番の目標は、家庭で安全にレンジ利用できることです。シールは普通の状態で十分な強度があればいいということではなく、製造から家庭で調理するまでの間、さまざまな場面で負荷を受けても保たれる必要があります。何万食のうち1袋でも事故が出れば問題です。
そこで包材を改良した上で、何度も何度も実際の電子レンジによるテストを続けました。しかも、いつも同じ条件で行うのではなく、温度帯を変えて、輸送した後で、落下させてと、テストの条件も変えます。結果、誰からも納得してもらえるデータをそろえるのに1年以上かかりました。
さらに、次に問題となったのが容器包装の形状です。この新しい容器包装はAOP(Auto Open Pouch)といって、レンジ加熱して袋の中の圧力が高まると、フラップが自動的に開く構造になっています。ところが、このフラップがあるために製造ラインでカレーを充填する際、袋がうまく開かないケースが目立ちました。そこで、充填時にうまく開かせる工夫も必要になったのです。
——容器包装以外の部分にも、新しい工夫はあるのでしょうか。
芹沢:数多くありますが、例えば箱の形状も工夫の一つです。電子レンジ対応のレトルトカレーは、箱の上部を開けてパウチ自体は箱に収めたまま加熱するようにしています。このようにすることにより蒸気口からの蒸気がフラップにあたり電子レンジを汚すことなく、又、安全に取り扱うことができるわけです。
この箱の形状と温め方は、蒸気口からの蒸気吹き出し防止のためだけではありません。加熱の加減によって、中身が万一突沸(突発的に激しく沸騰すること)を起こした場合も、箱によって飛散を抑えられます。加えて、熱くなった袋を直接手で持ってやけどをする危険も避けられるのです。お客様がどのような扱いをしても事故にならないように、二重三重の対策を講じています。
生活者としての体験から「金の卵」を見出す
——話しを聞いてみると、電子レンジ対応はやはり難題が多かったことがわかりました。反対意見も多かったようですし、開発をやめたいと思ったことはないのでしょうか。
芹沢:むしろ、どうしても開発したいと思っていました。なぜなら一生活者としての実感として、「電子レンジ対応は金の卵だ」と考えていたからです。
あるとき自宅で、試験中だったAOPのカレーを食べたことがあります。
自分へは開発中のAOPのカレーを電子レンジで加熱、子どもには、自社の子供向けレトルトカレーを湯煎で温めて用意しました。この経験で「湯を沸かして」「レトルト食品を箱から取り出してお湯に入れ」「温まるのを待つ」という手順が、AOPに比べて非常に面倒くさい、一度これを使うと、もう古いタイプのアルミパウチに戻れないということを実感したのです。
また、湯煎と電子レンジ加熱とで、加熱に要するコストと環境負荷も調べてみたところ、どちらも電子レンジ加熱のほうが低いとわかったのです。これも消費者の背中を押す一つになると確信できました。
実際に商品化されたときは、店頭での立ち売りにも参加しています。開発担当者だからこそ伝えられることがあると思いましたし、お客様の声も直に聞きたかったからです。そのときの小売店や、買ってくださったお客様の反応に、達成した手応えを強く感じました。反対や問題にも数多く直面しましたが、知恵を使い、色々と試行錯誤し続ければ、きっとできないことはないのだと思います。
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※上記記事には2003年というワードが出てこないのでこちらの記事より重要箇所を抜粋してみます。
電子レンジで「チン」して完成! 発売35年目でたどり着く
賞味期限を延長させたことのほかに、技術革新でいえば電子レンジ利用ができるようになったことも見逃せない。発売から35年目に当たる2003年、商品のフタを開け、箱ごとレンジで2分間温めるだけで完成するレンジ対応パウチを採用した。
湯せん対応のパウチはアルミ箔を使用していたため、電子レンジに入れると火花が出てしまい、使えなかった。パウチが爆発しないように、箱に空気を逃がすための穴をつくった。
社団法人中央調査社によると、日本の一般家庭の電子レンジ保有率は90年に70%、2000年以降は90%以上に。そういった背景を考慮しても、湯せんから電子レンジ対応への移行は時代の要請だった。
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