vol.125 都心から1時間、今なお現役『昭和の気動車』 千葉・久留里線に乗る | 旅ブログ Wo’s別荘

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  首都圏のJRには数少ない『非電化・単線』のローカル線ですが、都内から快速で1時間の千葉県に、今も残っています。

しかも、国鉄型のディーゼルカーが走っているとの事で、先日乗ってまいりました。早速スタートします^DASH!


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↑やってきました、JR内房線・木更津駅です電車
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外から見ると↑ふつ~の郊外駅ですが、この駅からは、全国でも数少なくなってきた、終点が駅が他の鉄道と繋がってない『盲腸線』が分岐しています。

久留里(くるり)線です星
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改札口には『内房線・久留里線開業100周年』の横断幕クラッカー

1912(大正元)年開業、内房線と久留里線は、同じ年に開通しているんですクリップ

改札を入り、早速ホームへカメ

 

階段を降りていくと~
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おぉ~、この色は・ひらめき電球
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懐かしい“国鉄色”のDCです虹

ここ久留里線には、今や全国的にも絶滅危惧種となった、昭和30~40年代製造の『キハ30型気動車』が残っています。
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半世紀近く全国の国鉄線で走ってきた古豪のDCですが、今年(2012)いっぱいで、この久留里線からも引退する事になり、鉄ちゃんが連日沢山訪れていますカメラ
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このキハ30型は、国鉄DCとしては初の『通勤用車両』として設計されました。

製造当時の昭和30年代、日本は高度成長期、国鉄の乗客は激増を続けました。国鉄は都市近郊の路線を電化し、通勤電車の導入をすすめましたが、しかし増え続ける旅客需要に対して電化や電車製造が追いつかず、そこで国鉄は、SL列車から電車への"つなぎ"的存在として登場させたのが、この"ディーゼル通勤車両"です。
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通勤用として設計されているので、↑車内は現在の通勤電車と同じロングシートです椅子
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そして、キハ30型で外見上最大の特徴は、↑『外吊り式の両開きドア』ヒツジ

 

外国の鉄道車両にはよく見られますが、日本の鉄道のドアは、大半が開扉時は車体中の"戸袋"へ収納されるタイプが主流です。

でもこのキハ30系は、車体強度や製造費用等の関係で、戸袋をつくらず、ドアが車体外側に開く方式を採用しました。

又、通勤車と同じ両開きドアをディーゼルカーで初採用したのもこの形式ですクリップ
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そして、さらにマニアックネタですがw、外開きドアの内側の窓枠には、↑『手をださぬよう』の注意書があります注意

窓から手を出すと危ないのはどの窓からでも同じですが、キハ30の場合は前述の通りドアの戸袋が無いので、特にドア裏の窓にはこうやって注意喚起していました。『ださぬよう』という文言が昭和っぽいです^パー
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キハ30とペアを組む、ちょっと今風(?)の塗色wの↑の車両は、キハ38ですねこへび

このキハ38は、キハ30系を種車に、国鉄工場で車体更新(改造)された車です。7両製造され、当初は八高線で使われてましたが、晩年は全車久留里線に集められました。この車もキハ30と同時に引退する予定になっています汗
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キハ38の車体に貼られていた、↑"久留里線シンボルマーク"(?)

中央のいるタヌキは、木更津の名刹・証城寺の狸囃子からと思われますクマ


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見た目にも懐かしく、のんびりした気持ちになるツートンの国鉄色ですが、これ"復刻塗装"したそうです星

国鉄末期には、サーモンピンク一色に塗られていました。しかし3年前から当初の国鉄色に再び塗り直され、引退の花道に花を添えています。JR東の粋な計らいです^合格

 

そろそろ発車時間ですDASH!
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久留里線は木更津駅を出ると、一旦都内方向へ走り出します。

その後すぐに内房線と別れて右にカーブ、房総半島の奥へと入っていきますてんとうむし
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この日は日曜だったので、国鉄型ラストランを乗りに来た鉄ちゃんと地元の人が入り交じり、車内はほぼ満員ですあせる
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列車は、途中駅に停まりつつ、ゆっくりと終点・上総亀山駅を目指しますかたつむり
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途中唯一、離合可能な主要駅、線名にもなっている久留里駅に入ります電車
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典型的なローカル線駅舎の佇まい、↑久留里駅ですクローバー

同駅で途中下車します。
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ここで、久留里線の歴史を簡単に纏めますクリップ

 

元々久留里線は、千葉県営の鉄道として、1912(大正元)年に木更津~久留里間で開業したのが始まりです。

 

その後国有化され、1936(昭和11)年に現在の終点・上総亀山まで延伸。戦後国鉄~そしてJR東に引き継がれ、現在に至ります。距離は約32km、木更津~上総亀山駅間、全14駅ありますヒツジ

 

なお、県営鉄道として開通した当初は、軌間762mmのナローゲージだったそうです。国有化してから改軌し、現JRと同じ軌間(1067mm)となったとの事ですウサギ


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久留里駅からすぐの↑道路には、”城”がてっぺんに乗っているアーケードが跨いでいます。駅から2km程山に入った所にある、室町時代に築かれた山城・久留里城をかたどっていますお月見
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久留里は『名水の里』でもあります宇宙人

街のあちこちに↑井戸が見受けられ、湧水を飲める所もあります。日本名水百選にも選ばれているとの事ですカエル
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久留里駅、前述の通り同線唯一の途中主要駅ですが、唯一の有人駅でもあり、窓口や券売機も設置されていますペンギン

↑開業100年を記念して、昔の写真のコーナーもありました。

そこに貼ってあった中には、興味深い戦前の写真が・カメラ
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↑は戦時中に撮影された、久留里線の駅(※昭和13年、小櫃駅とありました)

出征兵士を盛大に見送る人々がホームにあふれています。武運長久を祈る大きな幟が確認できます。

↑写真のガソリンカーに乗って戦地に発ったこの兵士は、再び久留里線に乗って無事故郷に帰ることが出来たのでしょうか・

悲惨な戦争の歴史、ややもすれば忘れがちな、日本の暗黒時代を記録している貴重な写真です。
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そんな歴史も秘めた久留里線ですが、今では閑散とした、のどかなローカル線です。国鉄末期の廃止線候補からも何とか外れ、今では千葉県唯一のJR非電化路線です宝石ブルー

(※2024追記:終端部の久留里~上総亀山間が存廃論議の対象となっています)あせる
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緑の山あいの風景に似合う、↑国鉄色ツートンカラークローバー


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久留里駅では、↑キハ30系同志の離合風景が見られます。

国鉄時代にタイムスリップしたような、素晴らしい光景ですキラキラ
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静かな山里の駅が、一日数回賑やかになるひと時です女の子
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日中等には久留里駅止めの便もあります。その便に使われる↑キハ30が留め置かれていました左右矢印
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一見、味気ない通勤型のロングシートですが、都内の電車のようなギスギスした雰囲気ではなく、どこかのんびりとした空気感を感じますチューリップ黄
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車内には、国鉄末期、経費節減のため朱色一色に塗装された頃のキハ30の写真が吊ってありましたカメラ
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まさに、一本の鉄路に歴史ありです星

 

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久留里駅から再びDCに乗り、終点の上総亀山駅へ向かいます。山をかき分け、エンジン音を響かせてキハ30は走りますDASH!

 

そして~
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終点・上総亀山駅に到着しましたフラッグ
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木更津から約1時間、房総半島のど真ん中に着きましたブタネコ
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僕の乗った便にたまたま、"気動車三昧の旅"という団体さんが乗り合わせていて、↑駅員さんが歓迎の横断幕を持って出迎えていました。鉄ちゃんのみならず、引退寸前のディーゼルカーは大人気となっていました^パー


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↑上総亀山駅です。

先ほど途中下車した久留里駅より、若干小さめな駅舎^家
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先ほどの団体さん、↑折返し時間を利用して撮影大会wカメラ
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キハ30の赤&クリーム色のツートンカラーが、背後の青空とよく合いますアート
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昭和の高度成長期、輸送力増強が急務だった当時の国鉄が、前述の通り日本初の"本格的通勤型DC"として製造されたキハ30、いま房総の山里で、静かに引退の時をむかえます流れ星
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そして、僕のすきな↑"鉄路の終端部"

 

木更津起点から32.2kmの上総亀山駅。戦前にはここからさらに、外房線の大原まで延伸も計画されていたようですが、実現することはありませんでした汗

大原駅からは『木原線』が内陸へ向かって延ばされ、上総中野駅まで開通しましたが、上総中野駅で内房側から延びている小湊鉄道と接続し、”房総半島横断鉄道”は一応の実現をみたため、久留里線の延伸計画は立消えとなりました流れ星

 

"千葉県で盲腸線はここだけ"と前述しましたが、関東全域見渡しても、単線非電化(ディーゼル)として残っているJRの盲腸線は、同線以外には栃木・烏山線のみだと思いますクリップ

 

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上総亀山駅近くに、一つ名所があるのでチラッと見に行きますメモ

駅からの道路を歩くと、↑の交差点が近くにあります。

その先には・
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↑大きな”湖”が!
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亀山ダム(※ダム湖)です。

秋には紅葉が美しいとの事ですもみじ

鉄ちゃんに行って上総亀山駅で折待ち時間がある時は、駅でボーっとせずw、ここまで歩いてみる事を奨めます^走る人

 

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時間となりました、上総亀山駅へ戻ってきましたヒヨコ
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私事ですが、僕はこのキハ30、小さい頃郷里のローカル線でよく乗っていた思い出があります。

国鉄民営化の前に廃止されてしまった高砂線でよく使われていました。高砂線は久留里線と同じく盲腸線でした(1984年廃止)。もし今存続していれば、久留里線と同じく100周年を迎えていたはずです。いろんな思い出が頭の中に甦ります汗


おつかれさまでした、日本の高度成長を支えてきた古豪DCキラキラ


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↑木更津駅に戻ってきましたコスモス

久留里線の便が到着する毎に、鉄ちゃんの人だかりが出来ていましたカメラ
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そして、木更津駅ホームはずれに見える↑車庫には、来年からデビューするJR東の新車DCが停っていました。まもなく試運転が始まるものと思われます。

 

さらば、思い出の中へ旅立つ、昭和の気動車よ・流れ星

 

 

 

 

 

 

(※2022.7 2024.4 文一部修正)