2010上海万博旅、第4回です
今作は、万博会場を一旦"中休み"して、上海から日帰りで行ける近郊の都市、杭州へのプチ旅をご覧頂きます
↑中国鉄路・上海南駅です
上海の鉄道ターミナルは従来、市内中心近くにある上海駅だけだったんですが、経済発展による運行本数/旅客数増加に対応するため増設、2006年にオープンした新しいターミナル駅です。
杭州行の列車は、ここから出ています
↑円形の駅舎、前作の"中国鉄路館"で見たような斬新なデザインの駅です
(※↑たまたま写り込んだゴミ収集車に万博キャラ"海宝くん"が)
まずは、↑大行列をしてキップを購入
電光板には列車の行先や時刻のほか、指定席の残席数も表示も表示されます。中国国鉄の列車は、一部の近距離便を除き全車指定席なので、指定が取れないと乗れません
中国鉄路では従前から、主要なターミナル駅では"列車毎に待合室"があり、時間が来ると一斉に改札する方式ですが、この最新式の駅も同じシステムです。
上海南駅では候車室(待合室)の代わりに、丸いターミナル内をピザを切るように扇型に仕切られた"待合スペース"があり、乗る列車ごとに決められた番号のスペースに入って待ちます。
改札が始まると、各々のスペース毎にある改札口が開き、ホームに入れるという段取りです
いよいよ、1階下にあるホームに降ります
僕が乗る↑"D5667次"という車次(※列車番号)が表示されています。
D5667次は、"中国版新幹線"の車両を使用しています
近年中国で急速に拡大している高速鉄道、『和諧号』に乗ります
いわば"中国版新幹線"ですが、世界各国から技術を導入し、様々な国の車両を模したタイプがあります。
↑の車両は、日本の新幹線をモデルにつくられたタイプです
ホント、日本の新幹線車両とそっくり。行先/号車表示機はJR東日本風です
なお、列車番号"D5667次"の"D"ですが、"動車組"という言葉に由来しています
では"動車組"とは何ぞや?という事ですが、早い話電車、"電車列車"です。
動車とは駆動装置付の車、それが"組"となって複数連結し運転する、という意です。日本でも電車列車には列車番号の末尾に"M"が付くのと同様です
中国国鉄の列車は従来、一部の近距離便を除き、2010現在も多くの列車が、"1両の機関車が多数の客車を引っ張る"方式です(※日本でいえば、ブルートレインや貨物列車の方式)
これまで中国で、電車列車といえば地下鉄くらいだったので、長距離列車に電車が採用されたのは同国では画期的な事です。
(※2010年時点)
ホント、↑東北新幹線の車両そっくりなんですが、中国では国内向けには"自国で開発した"と言ってるとかいないとか・
車内もやはり、日本新幹線そっくりです。2×3列でシートが並んでいます
中国鉄路は在来線も標準軌(1435mm)なので、高速鉄道も旧来の駅へ直接乗入れします(※将来的には専用駅を造る計画あり)
ホーム隣に停まる、↑旧来型の客車列車と同じ線路に新幹線車両が並ぶ光景、日本では見られないもので、大変面白い^
D5667次は定刻に発車、この時点では上海~杭州間の専用線はまだ完成しておらず、全区間在来線の線路を走行しました。
時速は160km/h位出ていたと思います
途中の車窓からは、日本新幹線そっくりの高架専用軌道の工事がすすんでいる様子も見えました。専用線完成の際には、時速300kmを出す予定との事で、大幅な増発も可能になり、かなり便利になるものと思われます
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杭州駅は昔ながらの駅の風情で(2010時点)、この駅に新幹線車両が入線する光景は、大げさに言えば"銀河鉄道から未来の列車が舞い降りてきた"ような感もw
杭州駅、改札外のコンコースは↑な感じです(※中央口)
エスカレーターを2階へ昇ると、上海南駅で前述した"列車ごとの待合室"が並んでいます。
街中へ出る前に、まずは上海戻りの指定券をゲットします
全車指定なので、この作業が面倒くさいんですが、2時間程度の路線なた日本新幹線と同様、自由席も設定してほしいと思います
(※そういうのはなぜか真似しないんだよなぁ・)
杭州市は、人口約800万(※2010時点)の大都市ですが、観光都市の一面もあり、観光用バス路線がいくつか設定されています
↑これから乗る、駅前発の"Y2線"には、↑チンチン電車型バスが使われていますw
(※予約不要、1回3元で一般路線バス同様自由に停留所で乗降出来ます)
↑木製のベンチシートが観光気分にさせてくれます^
このレトロなバスでこれから向かうのは、杭州きっての景勝地、西湖です
しかし前述の通り800万都市の杭州、発車直後から早速渋滞に巻き込まれます
↑バスは西湖沿いの道へ
"浄寺"バス停で下車します。
浄寺バス停からすぐのところに、『浄慈寺』&『霊峰塔』という、2つの名勝があります。
まずはここから攻めます
↑観光案内所でパンフレットをもらったんですが、この案内所の看板、一瞬"りそな銀行のATMコーナー"かと思いましたw
道路から西湖方面をみると、↑なにやら六角形の塔が・
↑は、『霊峰塔』といいます。
現在の塔は2代目との事なんですが、当初の塔は西暦977年、呉越国が建てたと伝わっています
↑なにかの遺構のような、煉瓦積がありましたが、
これは・
1924年に倒壊した、初代の塔の残骸だそうです(※原因不明)
現在の塔は、その後復元されたもので、↑の煉瓦は"元の塔の土台部分を保存している"との事です。
次に、エレベーターで塔の上部に昇ってみます(※ここも大行列)
↑展望部に登ってきました
EV階より、階段でさらに1層上に登れるようになっていて、そこにも天井一面に、金色に輝く仏様がおられました
天竺伝来という、仏舎利も置かれていました。
展望スペースに出ると、↑西湖が見えました
しかしこの日はあいにくの雨。しかし、しっとりと雨に煙る西湖の風景もまた良し^
中国屈指の名勝として名高い西湖、日本の国立公園に相当する『国家AAAAA級景区』だそうで、しかも世界遺産申請中だそうです。(※2022追記 2011年に世界遺産認定されました)
日本・福岡にある大濠公園の池は、この西湖をモデルにつくられたと言われています。
湖と反対側に目を移すと、この後訪問する↑浄慈寺が、眼下に見えています
(※あいにくの雨模様で写りがわるいですが、実際には写真よりハッキリと見渡せました)
先程の霊峰塔の混雑がウソのような、すぐ近くなのになぜか閑散とした境内。上海万博でもそうでしたが、中国の人ってイベント性がない場所は、どうも人気がいま一つのようです
ハスの花を模した、↑かわいいローソク
不思議なことに、雨の中消えずに灯っていました(謎)
石段の片隅に、↑これまたかわいい顔の竜が^
↑本堂を拝観します。
ご本尊のほか、両脇にも仏像が沢山鎮座していました。
概ね、日本の寺院と似た雰囲気に感じました
本堂の隣にもう一つお堂があり、そこには↑な、満面の笑みをたたえた仏像が^
訪れる人全てを幸せにしようと、笑い掛けているようです
お寺でこういう仏像を見ていると、仏教が中国大陸から伝わってきた事を実感します。
再びバスに乗り、雨の中ですがせっかく来たので、西湖の周囲を1周して駅に戻ることにします
車窓から、↑天の橋立に似た形状の松並木の帯が、湖面につづいているのが見えます
しかし中国国内からの観光客は、逞しくも大雨の中湖畔に出て過ごしています。ある意味凄いパワーです
カップルが多く見受けられたので、愛ある2人ならどこにいても幸せなんでしょうw
実はこの日、中国内陸部各地では、豪雨で大きな被害が出ている地域もあったとの事です。杭州市は、その豪雨をもたらした前線の延長上に位置していて、さらに雨足が強くなってきました
雨の西湖をあとに、駅へ戻ります
列車の時間まで少しあったので、エキナカで食事します
"杭州エキナカ"には、中国式ファーストフード店が数軒入っており、その中の一軒で夕食にしました
↑牛肉を甘辛く炒めた料理の定食で、まぁまぁの味^
このような"中国FF"チェーン店は万博会場でも沢山みかけましたが、驚いたのは日本と同じ味の"茶碗蒸し"がついていること
メニューにも"茶碗蒸"と日本と同じ漢字が。果たして発祥の地はどちらなんでしょうか?
ここに限らず、中国のファーストフード店全般で感じた事ですが、万博会場を含めて、中国のファーストフード店で共通しているのが"食べた後、食器を自分で下げない"事
日本のFF店なら、食後は食器やごみを自身で返却口に下げに行くのが当たり前ですが、中国のFF店では返却口が見当たらない事が多いです。
中国での"セルフサービス"の意味は、"カウンターで注文して席まで自分で運ぶ『まで』"、という事がわかりました
店側もはじめからその前提で、客席に片付け専用の係員を配置しています。『用済みのものは、もう知った事でない』とは中国人ならではの合理的発想ともいえますが、我々日本人の感覚・"立つ鳥跡を濁さず"からすれば違和感も覚える光景でした。まぁ国が違えば文化も違うので仕方ないですが・
でもぶっちゃけ率直に言えば「食べたもん位自分で下げぇ!」と言いたいですw
万博会場では、たまに厨房口まで下げている人も見掛けましたが、たいてい日本人でした
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上海南駅で前述の通り、中国鉄路は『列車ごとに指定された待合室へ入って待つ』のがルールです。
↑案内板で、自分の乗る列車の候車(待合)室番号を探します
けっこう大人数が待っています。これだけ多くの人が一つの列車に乗れるんだろうか・w
上海戻りの新幹線に乗り込みました
夜だったので撮ったのは↑の1枚だけですが、日本型車両ではなく、ヨーロッパ型デザインの車両でした(※どこの国由来かは不明です)
従来、在来線の客車急行では約4時間かかっていたという杭州~上海間ですが、線路共用の暫定開通とはいえ、高速鉄道型車両の導入で、所要時間は約半分に短縮されました
繰り返しになりますが、高速鉄道網の建設を急いでいる中国、在来特急列車は動車組(※高速鉄道型)への置換えをすすめていて、あと10年も経てば、中国中に高速鉄道網が広がっていると思います。
広大な国土を結ぶため、北京~上海/広州間等では、日本には無い"夜行寝台新幹線"も運行されています
次回訪中した時には、中国の鉄道事情は大きく変わっているに違いありません
なかなか楽しめた"中国版新幹線"、そして杭州の街でございました
今作ここまでです!
次作から再び、万博会場へ戻ります。
次作と次々作・第5~6回で万博見学を仕上げたいと思っています。日本館にも入ります。お楽しみに^
(※2022.4 2024.2 文一部修正)