年初の"東海道シリーズ"につづき・
又々新シリーズ、『バスでブラブラ』を立ち上げます^
鉄道旅とバイクの2本柱でやっている当別荘ですが、今後は"バスの旅"にも裾野を広げていこうと思っています。年1回程度upしていく予定です。宜しくお願いします
さて、記念すべき(?)第1回は~
名古屋へやってきました
車社会の街として知られる名古屋ですが、実は意外に公共交通も多彩で、第1回バスブラに最適なバス路線があるので、早速ご覧頂きます
その名、『名古屋ガイドウェイバス』といいます。
"ガイドウェイ"とは何なのか?ではスタートです^
JR中央線のほか、市営地下鉄名城線、名鉄瀬戸線とも接続するターミナル駅です
そんな大曽根駅に、これから乗るガイドウェイバスもきています。
地下鉄への入口には、↑カボチャの花壇が
ハロウィンの時に重宝しそうですw
駅前には↑通常のバスターミナルもありますが、大曾根駅にはもう一つ、『日本でここだけの様式のバスターミナル』があります↓
ガイドウェイバスの専用停留所、というか"駅"です
写真の通り、バスターミナルというより、モノレールか新交通の駅みたいな感じです
我が国初、専用軌道上にバスを走らせている、名古屋ガイドウェイバスの大曽根駅です
駅からは、↑モノレールか新交通システムかと思うような高架が伸びています。
しかし、↑の高架上を走るのは"バス"です
(※↑高架が伸びている方向に、名古屋ドームがあります)
ではエスカレーターで、"駅"の中へ・
乗場は2Fです
↑"改札口"状のものが設置されていますが、形だけで、使われていません。運賃は一般路線バスと同じく、車内精算です(※整理券方式)
薄暗い写真でわかりにくいですが、↑バスが入ってきています
バスの車輪幅で、"ガイドウェイ"(案内軌道)がつくられています
ここで、名古屋ガイドウェイバスの概要を簡単に^
守山区等、名古屋市北部の鉄道空白地帯の補完、道路渋滞による一般バスの機能回復を期し、2001年に開業しました。
ここ大曽根駅~JR中央線の高蔵寺駅を結ぶ路線です
路線全長約7kmのうち、専用軌道区間に9駅、一般道路区間に約20ヵ所の停留所があります。正式名称は『志段味(しだみ)線』、又、"ゆとりーとライン"の愛称でも親しまれています
バス車両は、路線バス車に、ガイドウェイ上を走るための案内車輪が付いた仕様の専用車を使用。途中の小幡緑地までが専用道、以遠は一般道路へ合流し、終点・高蔵寺駅へは路線バスとして運行します
この後、実際乗りながらご覧頂きます
このガイドウェイ軌道、以前は名鉄バスやJRバスも乗入れていたそうですが、2010現在は名古屋市等出資の3セク・名古屋ガイドウェイバス㈱が単独で運行しています(※運行は名古屋市交通局へ委託)
バック不要で、クルッと回転できるようになっています
↑駅名標や時刻表、いわゆる"バス停"のそれでは無く、鉄道の駅風のデザインです。それもそのはず、専用軌道(※ガイドウェイ)区間については、軌道法に基づく免許を受けています。走っているのはバスでも、法律上は鉄道という事です
名古屋市傍系の3セクなので、駅名標やバスの方向幕の文字デザインは、名古屋地下鉄と同じです
乗車が始まりました。↑かなりの人が乗り込みます
運行本数は日中、途中の中志段味までは10分ヘッド、路線終点の高蔵寺までは毎時1本です(※2010年現在)
発車しました!
新交通の軌道のような、高架ガイドウェイをすべり出します
そして・
"ガイドウェイバス"といえば↑が見たかったんです
『運転士さんがハンドルを持っていない』
前述のように専用軌道区間は案内車輪が出ているので、舵取りは必要ありません。アクセルとブレーキだけ足で操作しています
10分間隔なので、けっこう頻繁に対向車とスライドします
名古屋郊外ならではという感じの、ゆったりと建物が並ぶ住宅街を縫って進みます
高架からの見晴らしは、予想以上にワイドでした^
途中駅は↑な感じです。
(※待避線等がある停留所は無かったです)
各カーブには鉄道同様、曲線半径に応じて制限速度が設定されていて、運転士さんは「制限○キロ~!」とか指差確認しながら喚呼していました、これも鉄道並み
ちなみに直線部分でも時速60km程度で、専用軌道といってもそんなにスピード出す訳ではありません^
ガイドウェイの写真、繰り返しですが"新交通システムの軌道とほぼ同じ"に見えます
まぁ基をただせば、東京のゆりかもめや神戸ポートライナー等の新交通も、タイヤで走る車両を両脇からガイドレールで誘導しているので、ここのバスガイドウェイと基本的には同じです(※集電システムは別として)
なお、この名古屋ガイドウェイバスの高架軌道、将来的には新交通への転換も可能なように設計されているそうです
前述の通り、専用軌道(ガイドウェイ)があるのは路線のうち約半分で、大曽根から約6.5kmの小幡緑地停留所までです。
そこから先は、終点高蔵寺駅まで一般道を走ります。
↑は、専用軌道の終端部です
高架はここで地上まで下がり、バーで仕切られた向こう側は一般道路です
バスは、↑バーの手前で一旦停止し、ここで専用軌道に接続させていた補助タイヤを収納して、一般バスに変身します
その光景を↑外から見たところです
バスの左側にあるビル、名古屋ガイドウェイバスの本社です
ガイドウェイ終端部を、↑前から見たところです。
この、専用軌道と一般道との境界部は"モードインターチェンジ"といいます。境界部には広く敷地がとってあり、名古屋市バスが一般バスの折り返しにも利用しています。
なお、ガイドウェイバスの本社は、1Fを保育園に貸しています
↑ガイドウェイバスが外界に出てきました^
↑交差点から一般道へ入ります。
ここからは勿論、信号もあり、全くの路線バスです
バスの背後にみえる小高い丘には、この路線随一の名刹があるとの事なので、途中下車して訪ねます
一般道に入ってから最初の停留所、↑竜泉寺口で一旦降ります
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龍泉寺です(※天台宗)
入口から坂を上がると、山門と本堂が見えてきます
仁王さんの横には、国重文との表示。
↑の仁王門と、地蔵菩薩立像が国重文指定です
同寺の創建は延暦年間(西暦800年前後)と伝わります。
最澄が熱田神宮で龍神のお告げをうけてこの地を訪れ、経を唱えたところ池から馬頭観音が出現し、一夜にして造立したという秘話も残っています
空海も、熱田神宮から熱田のご神剣八剣のうち三剣をこの龍泉寺に納めたとも伝わり、熱田神宮との関係が大変深いんだそうです。"熱田神宮の奥の院"とも呼ばれています。
そのため、"神仏習合"が同寺にもみられます。
例えば・
本堂にあった↑参拝の心得には、『拝礼し拍手を打ってお参り下さい』とあります。お寺ですよ、ここ・
又、↑の解説板には"兵火により全焼した"との記述もありましたが、当地は名古屋市内を望む丘の上という地勢的な面もあって織田信長や豊臣秀吉が戦陣を張った歴史もあり、尾張という場所柄、さまざまな史実が秘められているようです。
とはいえお寺なので、↑鐘楼もあります
"希望の音"と銘打たれています。
そしてこの鐘、1回10円で"いつでも誰でも"撞けます
(※2010現在)
お寺の電話ボックス、↑昭和の香りがする看板が・
その電話ボックスですが、お手製(?)の木製ながら、中に入っているのは最新型機^、表示も英語ですw
建立の伝説、そして数々の歴史を秘めた、龍泉寺でした
丘から道に下りると、先程モードチェンジした↑小幡緑地駅が見えています。背後にはビルか商業施設らしき大きな建物が建設中。まだまだ発展の余地を感じる、名古屋市郊外です
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ガイドウェイバスに戻ります
しばらく待つと、毎時1本のみの高蔵寺行きが入ってきました
大半の便は、途中の車庫がある中志段味止なので、終点まで走り通す便はレアです(※乗りに行く場合は要事前確認)
昼間の便も、車内はそこそこ混み合っていました
高齢のかたが多かったですが、専用軌道の定時性が好評のようで、仕事/用務で利用していると思しき人もかなり見受けました
広々とした、郊外の風景が車窓につづきます
窓ごしなので↑写真不鮮明ですが、中志段味折返し場です
それにしても"志段味"(しだみ)という地名、珍しい独特の響きです、由来を調べてみたくなります
中志段味を過ぎると、住宅も少なくなり、田園風景になってきます
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そして~
終点、高蔵寺駅に到着しました
同駅は春日井市になります。JR中央本線&愛知環状鉄道の接続駅です
高蔵寺駅バス停に↑"乗り場永久移動"という、ネタ性ありの張り紙w
↑高蔵寺駅から、中央線電車で名古屋駅に戻ります。
今作、ここでゴールです
バスブラ第1回は、日本初・そして2010現在も日本唯一の"ガイドウェイバス"をご覧頂きました。なかなか興味深い乗り物でした。
鉄道の定時性、そしてバスが持つ細やかな運行やフレキシブルな路線設定の両方を採り入れた、一般路線併用型のガイドウェイバスです。
ただ、難をいえば、車両は一般バスと同じなので乗車定員は鉄道より少なく、需要に応じて複数車両を連結するといった事も出来ません。今作ご覧のように、昼間なのにけっこう混み合っていました。
専用道の小幡緑地~大曽根間、将来的には新交通転換もありかな?とは思いましたが、費用面で厳しいのは目に見えてますので、当面は増発等で対処するしかないとは思います。出来れば、中志段味までは連接車を導入するのも良いかもです
ともあれ、名古屋の足の選択肢として、末永く定着してほしいと思います
(※2022.4 2024.2 文一部修正)