今作では、鉄道駅から徒歩で訪ねる事が出来る、"全国一駅近の山岳修験場"、山形・立石寺を訪ねたいと思います
スタートは、杜の都・仙台から
仙台駅から西へ延びる、隣県・山形県とを結ぶ、JR仙山線
日本初、交流電化の試験(※その後営業運転)をした路線としても知られます
仙山線の交流電化試験が成功した事から、北陸/東北/九州/北海道は交流で電化していく事が決まり、新幹線も交流電化で造られました
仙山線、途中の愛子(あやし)駅を境に、性格を大きく異にします。
愛子から仙台側は近郊通勤路線ですが、愛子駅以遠、山形側になるとガラッと風景変わり、峠越えのローカル線になります
国鉄時代は都市間連絡路線として急行"仙山"が走っていましたが、現在は普通列車中心の運行です
仙台駅を出ると、東北線と分岐し、住宅が立ち並ぶ丘をどんどん登っていきます
そして、愛子駅を過ぎると~
山形への県境に近づき、雪山の風景に一変します
仙台から近距離で雄大な峠越えが味わえるのが、仙山線の魅力です
仙台から快速で約1時間、立石寺の最寄り駅、↑山寺駅に到着します。景色がこれだけ激変するわりには短時間で着きます
同駅は山形市に所在しています。
駅のホームからはもう、↑山並の中に点在する、山寺の各堂宇が見えています
↑山寺駅舎です
まさに山あいのローカル駅
雪化粧も似合っています
着いたのはお昼過ぎでしたが、全然溶けずに残っている↑つららが鋭く尖っています
駅前には、ひなびた旅館が並んでいます
早速、山寺へ歩きます
駅前を流れる、立谷川。
↑の巨石は"対面石"といいます
ハート型にも見えますw
立谷川を渡り、立石寺への参道となっている道を歩きます
駅から7-8分程で、立石寺への入口となる、石段があります
そして・
石段を上がった先に、早速正面にそびえているのが、立石寺 根本中堂です(※国重文)
西暦860年創建(※諸説あり)と伝えられる古刹です
"山寺"の名で親しまれる、立石寺です(※天台宗)
雪化粧した、根本中堂の横には・
ここも境内です。神仏習合が同寺にもみられます。
↑日枝神社といい、同寺の守り神だそうです。
八百万の神を祀る、古代日本の姿が残っています
日枝神社の前にあった↑"亀の甲石"
この石の各部分に、健康運、金運等、"願い事の効く部分"が区分けされていて、自身の願意の部分の上にお賽銭を置きます^
その傍らには↑芭蕉の句碑。
"閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声"
この有名な句は、ここ山寺で詠まれたものです
そして、芭蕉の横にもう一人の旅装束の人物像。
芭蕉の門下、旅のパートナーだった↑曽良の像です。
曽良が、芭蕉と同行する事でどういう役割を果たしたのか、芭蕉とはホントはどういう関係にあったのか、さらに言えば"奥の細道"の旅の本当の目的は何だったのか?全てが、未だ謎のままです
日枝神社からさらにすすむと、↑山門があります。
ここからが有料エリアです
(※逆に言えば、根本中堂の拝観のみなら無料)
有料エリアに入ると、山の中腹にむかって延々と石段です
↑看板の通り、この石段は"一段一段登るたび、煩悩が消滅する"といわれています。忘れてはいけないのが"ここは修験場"という事。修行として、これから雪山の石段を登ります
雪景色の石段、滑りやすいので注意しながら登っていきます
坂の途中、そこかしこにお堂が点在します
↑は"姥堂"、この中に"脱衣婆"がおられます。
修行者はここで俗世の衣装を剥ぎ取られ、天上の世界へ旅立ったといいます。
途中の岩には、↑摩崖仏が彫られています。
↑は"せみ塚"
前出の、芭蕉の句にも関係しています。
険しい山肌に、様々なお堂が点在します。
荘厳かつダイナミックな光景です
今も僧が居住している堂宇もあり、かつて鎌倉幕府の祈願寺として栄華を誇っていた頃の名残をとどめています。
そして、この宿坊で出会ったのが~
↑飼われているワンちゃん
雪の中遊んでました。やっぱり犬って寒さに強いのかな?^
愛想も良くてかわいい
犬を撫でてからふと振り返ると、↑雄大な雪景色
ゴールの奥の院が近づいてきました
↑のお堂の中には、高さ1m程の小さな三重塔が納められています(※国重文)
かなり上のほうまで登ってきました
かなりの段数の石段を登りましたが、不思議と疲労感も寒さもなく、爽やかな気分です
ついに見えてきました。
↑ゴールの『奥の院』です
残念ながら冬季は閉じられているので、外から参拝します
つららが日光を浴びて、↑少しづつ溶けています
奥の院近くに、↑なんと郵便ポストが
毎日石段を登って取集に来てるんでしょうか^
奥の院近くのお堂に鎮座する↑おびんずるさま。全国のお寺でみられますが、自分の体の気になる場所を撫でると、病気快癒にご利益があるとの事です
切り立った岩の頂きに立つ、↑納経堂。
はるか眼下に霞む街並、実際の眺めは、写真以上に絶景でした
雪の山寺
さながら、"一人ゆく年くる年"(?)という感じでしたw^
帰りの電車が雪けむりをあげながら入ってきます
繰り返しですが、"JR駅から数分で行ける山岳修験場"って全国でもここ位ではないでしょうか
"気軽に行ける"といったら山寺に怒られるかもですが、人生の節目に一人静かに訪ね、自らの煩悩を振り返り、祈りの時を過ごすにはいいお寺だと思います
(※2022.4 2024.2 文一部修正)