『室町時代のオススメ本 4本』
『逃げ上手の若君』アニメ化おめでとう!!
歴史モノな上、室町の南北朝だからアニメ化は無理なんじゃないかなー……なんて、勝手に思ってました。思考昭和か!?
令和になったなー。
どこまでアニメ化してくれるのだろうか?“中先代の乱”突入直前あたりかな?とりあえず、喋って動いてカラーな直義さんが楽しみで楽しみで……
これを機に皆さん室町……南北朝時代に興味持ってくれると嬉しいなーと思ってます。
―――と言う訳で、
私が勝手にオススメする室町時代に関する本4選です。
室町時代と言っても……
南北朝時代
室町時代
戦国時代
……と3つに分けられるのが基本ですが、その3つ全部含めて…足利将軍家時代を全て室町時代と呼ぶときもあります。
今回は南北朝だけ!……と限定したかったけど、南北朝はそこまで読んで無いのと、読み始めたとき私はその基本すらわかってなくて全部ひっくるめて室町時代と思っていたのと、足利将軍家が好きなので、今回紹介する本はどの時代とか関係なく室町感覚の関係本です。
1、『描かれた戦国の京都 洛中洛外図屏風を読む』(小島道裕)
室町時代に描かれた”洛中洛外図”について書かれている本。
絵が好き、視覚から入りたい、豪華絢爛なものが好き……な人にオススメ。
“洛中洛外図”とは読んで字のごとし、京都の町中を描いた絵。
今とほぼ変わらない名所が描かれていて、室町時代からマジで変わらんのだなーと実物の屏風を見ても感動します。
京都の人が先の大戦という“応仁の乱”の後に出て来た絵画のパターン。江戸時代まで多くのこの京都名所絵が描かれてきたので、結構残っています………が、室町時代の物は現存するのは4つしかない(うちの一つは江戸時代の模写)、初期洛中洛外図を語る上で欠かせない、時代背景……この頃の…各時代の幕府所在地……鎌倉、江戸と違い足利幕府は京都内とは言え将軍ごとと言っていいほど色んな場所に幕府が置かれてました――についても言及しています……他の本では“花の御所”以外は幕府がどこにあったのか?とかはあまり書かれていない。(「足利直義」で直義がで政治を行ったため“殿”と呼ばれていたとかはありますけど)
他の本とは違う視点で室町を見れてなかなか興味深い一冊。
ただし、一番有名な『洛中洛外図屏風 上杉本』については『洛中洛外図屏風の謎』(黒田日出男)を読んでね☆……的な感じなので、こっちも一緒にオススメしておきます。
2、『怪異の政治社会学』(高谷知佳)
妖怪、怪異、不思議……都市伝説がお好きな人にオススメしておく本。
怪異で政治??と思うかもしれませんが、室町と怪異というものは切ってもきれない存在でした。
なんと言っても『太平記』が、怨霊天狗等の魑魅魍魎がわんさと出てくる話ですから、それなのに当時はそれは権威ある歴史書と位置づけられていたようなのです。
人々が怪異を恐れ、そしてそれを政治または自分の地位を高めるために利用した人間のしたたかな戦略。
怨霊、祟りがある信じられていた時代でも、それでもそれを……人の恐怖につけこんで利用しようとしていた人は昔からいたんだなー、さすがだ……と思わせる。
そんな一冊。
以前にも語りましたが、”強訴”について、詳しくわかりやすく説明しています。
室町関連本読むと結構”強訴”という単語が出てきますが、ほとんどは説明がなく、あっても簡単に書かれているだけです。
漢字を見れば大体の意味は感じることが出来る(強く訴える)とは思いますが……しかし、意味合いは特殊なのでこの本で詳しく知っておいた方がいい。
しかし、その第一章がクセ者で……これしっかり読もうとするとイヤになってくるので(少なくとも自分はそうでした)、のっけの第一章で挫折しそうになります。二章からは面白いのに……
あっムリ☆と思ったら強訴の説明だけ読んで、二章へジャンプしたほうが吉。
私はほぼ飛ばし読みした。
個人的に『神になった日本人』という本の“鎌足神社”の項にて、本来はハッキリしなかった御神体を“室町時代に起こった事件”のため祀られていた神を決めたさせたとあって、どんな事件があったのかは書かれて無かったのですが……フッとこの本の第一章を思い浮かんだので、確認したところ神社名が合致したときはガッツポーズでしたね。点と点が線で結ばれた感じ。
3、『大飢饉、室町社会を襲う』(清水克行)
難しく、読むのを躊躇しそうなタイトルですが、オススメする理由はズバリ「面白く読みやすいから」の一言につきます。
なので、この著者の本ならなんでもいいかもしれませんが、いかせんこの本しか読んたことがないのでこの本をオススメさせていただきます。
こんな難しそうなタイトルと内容なのに面白く読めるなんて凄いな!と衝撃を受けました。
説明不要の磯田先生の『武士の家計簿』あれも読んだ時衝撃を受けました。
あのような難しい、数字だらけの内容をなんでどうやってこんなに面白く書けるのか?内容をしっかりと理解出来たわけではないけど、とにかく面白かった。
『武士の家計簿』読んで面白かった。と思う人はぜひともこの本も読んで欲しいと思ってます。
タイトルで難しそう、興味ない――と、敬遠されそうですけど、マジでもったいない。
この作者の他の本も読んでみたいな、と思わせてくれる一冊。
4、『中世の古文書入門』(小島道裕)
室町時代の本を読もうかなーと考えている初心者には、まず最初に読んでほしい本。
よく見たら“1“の『描かれた戦国の京都』と同じ作者ですやん。
『中世の古文書入門中』で、すでに書いたと思いますけど、室町時代にハマって本を大量に読む前になんでこの本に出会わなかったのかなーー?と悔しくなった本。
室町時代は、残っている手紙、日記、書類等々を読んで状況証拠を揃えて……多分こうであろうと歴史学者が紐解いていく時代。
――なので、室町関連本を読もうとすると、大体色んな人の手紙や書状が紹介されています。直義さんなんてなおさらです。
文字が読めなくてもここさえ押さえておけばOKというのを優しく教えくれるのがこの本です。
最初の頃は「室町幕府」をなぜ“室町”幕府と呼ぶのかすら知らないドシロートでしたが、今では「右手はそえるだけ」――とまでは行きませんが、「ボールは置いてくる」の庶民シュートレベルまで行けたのではないだろうか?と自惚れております。
しかし、ここまで書きましたがこの紹介した本を読むよりもまず『逃げ上手の若君』を読んでくれ!!と強く願っています。
アニメでもいい、見てください。
5、『逃げ上手の若君』(松井優征)
現在1〜16巻まで発売中!
コレの何がいいかと言うと、キャラが特徴ありすぎてビジュアル的にわかりやすい。
初心者が放り出したくなる最初の難問――似たような名前の人が多すぎて文字で追うには誰が誰だか区別がつかない問題!がある程度解決します。視覚で理解するってマジ大事。
本当に親子で“高師直”“高師泰”と区別がつきにくい名前を持っている。この時代の特性上仕方ないとはいえ………ね。
将軍家も足利義詮、義光、義持、義政……――と続くし、足利尊氏自体も最初は“高氏”と漢字が違うしで……なんとまぁややこしい。
その後の時代でも、名字を見て……ああ、アレの子孫ね。――とヴィジュアルを思い浮かべるだけでも違うと思います。
私も、一度目読んだときはスルーしてたのに、次に読んだ時、えっ?“諏訪氏”ってあの“諏訪”!?マジであの“諏訪”の子孫だ……なんでそんなところに???と、ある本で驚いて、なんでそうなったんだ?おもしれぇーとなりました。
そういったところから興味が湧いてくる。
個人的に……将軍家の名前一字““義””が最後まで続くんてすけど、最初が初代征夷大将軍尊氏じゃなく!弟の直義の方の名前からだと言うのに一人で勝手に悶てます。
コミックス巻末に監修本郷先生による、歴史コラムかあってそれもまたいい。マンガだけじゃなくここも読んでくれ。
しかし――
――「逃げ若」から室町入ったので、北条時行関連の本ありませんか?
と言われても……答えられません。
磯田先生も「北条時行はマニアック」と偉人たちの選択で言ってましたし、ウチのオヤジも同じ事を言ってました。
北条時行はマニアックです。なので本を探そうとしてもまず無い。
中先代の乱も他の本の中で1、2ページぐらいで紹介されているだけです。
直義さんの伝記ぐらいかな?ある程度詳しく書かれているの……お兄ちゃん尊氏は中先代の乱は鼻にもかけない程度(みんな!足利直義の伝記を読もう!)
しかし、近年ようやく出ました!ズバリ「中先代の乱」!……しかしまだ読んで無いのでなんとも言えません。
まぁ南北朝あたりがマニアックだからとも言えますけど、ようやく最近になって「応仁の乱」や「観応の擾乱」が出てくれて、戦国以外の室町時代に注目が集まるようになって来たかなー??
『逃げ上手の若君』の勢いに乗って室町ブームが来てほしいなーと思ってます。
まずは、アニメでの直義さんの出来が良いものであります様に……🙏