PRIDEから二人の男が去った。
一人は、グレイシーハンター桜庭和志。
もう一人は、世界のTK、高阪剛。
突然の移籍だった。
桜庭のグレイシー狩りと共にPRIDEは大きくなった。
全国区になり、世間に認められ、総合格闘技は市民権を得た。
その桜庭がPRIDEから移籍した。
こうなったら、夢の続きを見ようではないか。
そして桜庭がPRIDEでグレイシー狩りをしていた頃、UFCの六角形の金網の中で、世界に名をはせた日本人がいた。高阪剛である。
当事の勝利パターン、マウントポジション。
上になった者が有利、下になった者が不利。
そんな構図をひっくり返したTKシザース。
PRIDEに現れるのがもっと早ければ、いろいろものが変わっていたはず。
総合格闘技の賢者は、最後は壮絶なまでに散っていった。
高阪の意地が詰まった、凄い試合だった。
負けた高阪は、公約通り引退した。
去る者がいれば、戻る者もいる。
藤田和之が帰ってきた。
アントニオ猪木の呪縛から逃れた野獣は、再びPRIDEを主戦場に選んだ。
かつて藤田が参戦していた頃のPRIDEとは技術的にかなりの進歩がある。
日本人のパワーファイターは、止まっていた時計を再び動かす事が出来るのか…。
PRIDE無差別級GPは、更なる生き残りを賭けての闘いが始まった。