二人に一人が癌にかかる時代…
神奈川県議会「がん撲滅をめざす議員連盟 総会及び研修会」に出席しました。
研修会では「がん医療のこれからと県立がんセンターの役割」をテーマに、
地方独立行政法人神奈川県立病院機構理事である
古瀬純司 県立がんセンター総長より、ご講演がありました。
<新型コロナの影響>
コロナ禍はまだ収まっておらず、9波に苦戦している状況…
○コロナを経て、がん医療はどう変わってきたのか?→
今年度の稼働率は約86%、戻ってきたがコロナ前の91%以上に戻らない。
在院日数の減少(入院日数平均8.8日、コロナ前11.4日)する一方で、外来化学療法件数は増加、外来収益が入院収益を上回るようになってしまった。
コロナに対応しつつ、新時代に対応する。
○2020年前後からがん医療の変化が続いている
→
2015年、重粒子線治療稼働開始
2018年、外科手術「ロボット手術」導入
2019年、「がんゲノム医療拠点病院」に指定
2022年、「がん遺伝子パネル検査」開始、免疫チェックポイント阻害薬・ゲノムベース分子標的薬の適応承認等
がんの5年生存率は64.1%、10年前より10%以上改善している。
<2040年に向けてがんセンターの役割>
○2040年問題…働き盛りが減少する一方で、80歳以上の割合が増加、高齢化と労働者不足の負のスパイラル…癌よりも介護が問題になる時代…
がん患者数は右肩上がりで増加する一方、死亡数は横ばい。胃がん肝がんは減少。前立腺がん、膵臓がん(難治癌)等増加傾向。
前立腺がんは高齢者で増加傾向、放射線治療の需要は高まっていく。
○ロボットやAI医療の時代へ → ロボット手術やサービスロボット(受付・配送)、オンライン診断、画像診断、病理診断等
人が人に向き合う医療へ ← 人でなくても出来る仕事はロボットに。
<最新の治療法>
〇ホウ素中性子補足療法(BNCT) ホウ素はがん細胞を取り込みやすい特徴を持ち、 ホウ素だけの選択的照射が可能。
BNCTはホウ素が集積したがん細胞に効果がある。
〇分子標的薬
がん細胞だけに作用する抗がん剤
〇遺伝子に基づいた個別化医療の実現 → ゲノム解析による薬剤選択の最適化(クリニカルシークエンス)
〇がん免疫療法
特異的免疫療法
ワクチン療法
遺伝子改変T細胞移入法(CAR- T細胞)
ウィルス療法