「ムスリム観光客おもてなし研修会〜神奈川県×慶應義塾大学〜」に出席しました。
近年訪日外国人観光客が増加しているなかで、
ムスリム(イスラーム教徒)が多いマレーシアやインドネシアからの観光客も増えています。
ムスリム観光客は、日々の礼拝や特定の飲食(お酒や豚肉等)が食べられないなど、
信仰上の理由から特別な配慮が必要です。
神奈川県と慶應義塾大学SFC研究所イスラーム研究ラボでは、
協働で県内観光事業者に向けた「ムスリム観光客おもてなし研修会」を開催しています。
今回の講師は慶應義塾大学総合政策学部の野中葉専任講師、
イスラームの戸田圭祐・兼定愛非常勤講師の三名。
〈イスラームの基礎〉
イスラーム教徒=ムスリム
イスラームという言葉「すべてを神の意志に委ね、頼り、従うこと」
●「寛容」の宗教→18億人には18億通りこイスラーム実践
「本当にアッラーは、(何ものをも)かれに配することを赦されない。
それ以外のことに就ては、御心に敵う者を赦される」
●信仰の原則はシンプル
来世で楽園へ入るためにアッラーの教えを守る(聖典『クルアーン(コーラン)』)
日本の倫理観との類似点も多い→親孝行、平等、話し合い、穏やか、努力、忍耐、謙虚、清潔、思慮分別、約束を守る、陰口や詮索を避ける、自らも他者も害さない…
=ムスリムに親日家が多い理由の一つ
●現世での行為規範を整理したイスラーム法
飲食の規定
①許容(ハラール)が基本→農産物、海産物は基本すべてOK
②禁止(ハラーム)は例外→
酒・豚肉・流血・死肉、アッラー以外の名を唱えて屠畜された肉
※調理に使用するアルコールは人によって判断が分かれる。
③肉はクルアーンだけでなくハディースに示された方法も重視(誰がほふったか等)
〈ハラールビジネスの現状〉
ムスリムへのおもてなしはハードルが高い?
→ ムスリムが食べられるものはたくさん存在する。
しかし、それがどれなのか、外国人ムスリムが判断できないことが問題。
宿泊についてはムスリムを受け入れるための必須の対応項目は存在しない。
●ムスリム旅行者、旅行関係者の声
※ムスリム団体旅行はノーポーク対応でも可!(厳しい基準(ハラール認証)で、食事を用意したのに、逆に普通の日本食を要求されたことも)
中東・東南アジアの現地旅行会社がムスリム旅行で最も重要視しているのは、
「Wi-Fi環境」次に「ハラールを考慮した料理があること」。
「ムスリムはハラール認証の有無にとらわれることなく個々人の判断で商品やサービスの選択を行うべきである。日本国内では、たとえば原材料表示やピクドクラム等による情報提供があれば、判断を行うことが十分可能であるため、ハラール認証は原則として不要であると言える」
(在日ムスリム『第2回全国ムスリムミーティング共同声明』より)
→ 現在各地で発行しているムスリム向けガイドブックは、認証取得のレストランではなく、ムスリム対応できるお店を掲載
結論→ 原則ハラール認証は必要ない。ノーポーク対応で十分と考えるムスリム観光客がほとんど(マレーシアの認証基準は高い)。
ムスリム観光客一人ひとりのニーズに合ったおもてなしが求められる。
観光庁では「ムスリムおもてなしガイドブック」を作成→
「情報提供型おもてなし」の紹介
〈ムスリム観光客の動向〉
●東南アジア訪日外国人の急増
2017年 マレーシア 43万9500人(前年比11.5%)
シンガポール 40万4100人(11.7%)
インドネシア 35万2200人(30.0%)
男女とも20〜39歳が中心。女性は20代が多い。
12月、次いで3〜4月が人気。1〜2週間の滞在日数が半数以上。
●訪日インドネシア人都道府県別訪問率
東京 87.6%、大阪 61.3%、千葉 49.4%、京都 41.7%、山梨 12.1%、静岡 9.7%、神奈川 9.0%、兵庫 7.4%、北海道 6.1%
●民間事業者の取り組み事例
横浜市「株式会社小野ファーム」
東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて…
2016年にハラルアイス販売