いきなりバスに乗り遅れたおじさん役でヒッチコックが登場する。
いつもどこで登場するのかこれもヒッチコック劇場の楽しみである。
「北北西に進路を取れ」(1959/アメリカ/アルフレッド・ヒッチコック)
出典:https://a-hitchcock.com/north_by_northwest/
人違い、世の中にこんな事もあるのかも知れない。
これがドラマの出発点であった。
ただの広告会社経営バツ2の男が突然ある組織に監禁される。
いきなり事件が勃発するのでのっけからドラマに引き込まれてしまう。
面白いのが主人公が間違われた人物はCIAかFBIか忘れたけど彼らが仕立てた架空の人物であった。
間違われた主人公が探せど探せどその人物はある都市から都市へ、いつも移動して姿を表さない。
それはそうである架空の人物だから、そのことが分かるのはエンディング近くになってからの話でそれまでいつ登場するのかな?と思っていた、これこそミステリーの醍醐味である。
今やSNSやネットで架空の人物を装う人が出てくるのも一般的になりつつあるので、
この物語はむしろ現代に置き換えても十分魅力的に思う。
しかし架空に何で興味があるのかというと映画「惑星ソラリス」の原作者スタニスワフ・レフの「完全なる真空」って本がある。こちらは架空の本の書評集と言う設定である。(難解で少しずつしか読んでないけど)
それとアルフレート・クビーン著の「裏面」という本がある。
こちらは架空の国や都市の話であるが奇怪な世界の物語である。
それらの影響なのか「架空」の話には興味が湧く。
閑話休題、途中で電車での逃亡シーンがある。
手に汗握る追手との攻防、何となく映画「ジュリア」のベルリン行きの電車のシーンを思い出した。
最後は赤帽(ポーター)に化けて無事脱出!
因みに映画「ジュリア」でも帽子がキーになる。
とは言えこの映画で私が一番針が触れたのはラストに出てくるあの別荘!
建築にたづさわる人間なら反応しないわけには行けない!
キャンチティレバー(片持ち梁)で崖から突き出たモダンなデザインかと思えばブリック積みの壁、その少しアンバランスさが独特な建築でカッコイイ!
しかもセットらしい。
建築家を使わないとあそこまでデザインできない。
誰が設計したんやろう?
真っ先に頭に浮かんだのがブルース・ガフ?
なぜならよーく見るとワイヤーのポールからで吊っている。
出典:「BRUCE GOFFと建築」毛利武信 編・著 建築プラニングセンター発行
吊るのは彼の得意技!しかも彼は結構崖地の建築計画している。
その次にフランクロイド・ライト、落水荘?ってイメージが多いけどライトの場合、
突き出た水平の床の下に斜めに方杖(ケーリー・グラントがよじ登った斜めの梁)は決して彼は打たない。
彼のキャンティレバー(片持ち梁)は水平線が命!↓
(フランクロイド・ライト:落水荘)
ただし落水荘の突き出た床実際見たけど水平が経年劣化で垂れてクーリープ(垂れる)してたけど・・・
イメージは水平なのである。
ともあれあの別荘は良い建築である。
最後のシーンでサウスダコタ州ってアメリカのどこだか知らんけどラシュモア山の有名な歴代大統領4人の彫像の崖で主人公が片手一本で落ちそうな女性を掴まえる落ちそうなシーンからパンが変わり電車の寝台に彼女を持ち上げるシーンになったところで助かった事が分かる。
見事な展開に胸を撫で下ろしてホッとした所で見事なエンディング!素晴らしい。