21年を通年で取り上げたテーマのひとつ「迂回(うかい)運転」です。迂回運転の詳細が掲載された時刻表から、その事実を残していきました。
【再掲】ここで取り上げる、迂回(うかい、う回)列車について クリックで展開
迂回(うかい) 本来の経路を通らず、特定の場所を避けて目的に向かうこと。迂回も細分化できまして、
- 突発的に実施されるもの
- 計画的に実施されるもの
があるかと思いますが、時刻表で追うことができるもの「計画的なう回」を取り上げてゆこうかと思います。
11回目は、首都圏と北陸地方を結んでいた急行能登号が上越線・長岡経由で運転されていた件について。
急行能登号が長岡経由で運転された件
急行能登号ですが、晩年は上越線経由で毎日運転されていたので、この記事が「?」となる方がいるかもしれませんね。北陸新幹線の長野開業までは信越本線経由の急行列車だった、という事実が大前提の記事となります。
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1997年10月1日に高崎〜長野間で先行開業した北陸新幹線ですが、その関連工事のため、深夜に信越本線を通過する急行能登号の一部日程でう回運転が実施されました。
JTB時刻表 1996年 7月号より
さて、う回の概要です。
概 要 急行能登号の迂回運転
対象列車 急行能登号(上野発、福井(金沢)発の両方向)
う回期間 1994年5月(10日?)〜1997年2月(25日?)
上記期間の指定日(火曜日)
う回区間 高崎〜直江津間
う回による経由線 上越線(高崎〜宮内)、信越本線(長岡〜直江津)
う回による運賃計算の特例 あり(高崎〜直江津の運賃・料金は、信越本線長野経由で計算)
う回区間の代行運転 なし
備 考:北陸新幹線開業工事にともなうう回運
う回開始から終了までの期間は、3年弱と長いのですが、期間中の指定された火曜日(始発日ベース)のみ、かつ大型連休等の繁忙期は火曜日であってもう回運転は中止という、変則的な対応でした。
ちなみに迂回運転期間が長期にわたったこともあり、途中数度のダイヤ改正がありました。この期間中で急行能登号関連の顕著な変更は、1994年12月3日のダイヤ改正での運転区間変更でしょう。従来の上野〜金沢間から、さら西に運転区間を延長し、福井を終点とするようになります。ダイヤ改正以前から臨時で足を伸ばしていたことはありましたが、定期化されたことがポイントです。
う回を確認できる時刻表紙面 ★タイトルクリックで時刻表が展開
う回の履歴(3) 福井発 信越本線上りの紙面
福井発については、直江津では、う回経由の能登号も同時刻に発車。
以降のダイヤですが、上野発とは異なり、終点の上野まで「う回列車ダイヤ」で運行されます。
JTB時刻表 1996年 7月号より
前述の通り、1997年10月1日に北陸新幹線高崎〜長野間(通称長野新幹線)開業によって、信越本線軽井沢〜横川間廃止、そして、急行能登号は通常ルートとして上越線経由で運行されるようになります。
今回は以上です。
過去に紹介したう回列車の数々については、こちらからご覧になれます。
参考資料:JTB時刻表、JR時刻表 1994年〜1997年の所蔵する時刻表
参考サイト: 能登(列車)(Wikipedia)
本文内画像:Sui-setz, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で





