European Rail Timetable のNewsLetter (ヨーロッパ鉄道時刻表、以下ERTと略)THE FRIDAY FLYER 19.Dec.2025 の日本語訳です。文章は読みやすいように情報を補足しております。
原文は、ERTのブログで紹介されていますので、こちらもご参考ください。
【ポーランド】レギオジェットのポーランド国内線運行計画見直しへ
- チェコの民間鉄道事業者レギオジェット社は、12月の新ダイヤ導入直前にポーランドでの拡張計画を見直し、当初予定していた運行本数を削減した。この変更は、ダイヤ改正の3日前にあたる12月11日木曜日に発表された。
- 12月14日日曜日から、レギオジェット社はワルシャワ〜クラクフ間の運行を当初の6往復から3往復に減便した。グディニャ〜クラクフ間では、当初予定されていた3往復のうち1往復のみが運行される。合計で1,080本の列車がダイヤから削除され、クリスマス前の繁忙期における提供座席数が大幅に減少する結果となった。国有事業者PKPインターシティは、この決定の時期と規模を批判し、すでに切符を購入していた利用者に不安を与えたと指摘している。(中略)
- 同社は1月中旬から、クラクフ、ワルシャワ、トリシティ間の列車本数を増加させる予定で、これは人員体制の改善を見込んでのものである。レギオジェット社は9月にポーランドでの運行を開始しており、すでにワルシャワ〜クラクフ間で33,000人以上の乗客を輸送している。2026年新ダイヤからは、ワルシャワ〜プラハ間の国際列車も新たに導入し、中央ヨーロッパでのプレゼンス拡大を図る。
PetrS., CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
◆ 筆者メモ
- この計画変更は、現実的な運行上の判断と説明しているようです。このブログでも何度か取り上げておりますが、ポーランド国内線への参入はまだ試験段階で、特に運転士不足が影響しているようです。ニュース内にもあるように、この「混乱」は一時的だとみれば、利用者は静観が必要な時期だと考えます。
【ドイツ/フランス】続報:パリ〜ベルリン間の夜行列車「再開」について
- ヨーロピアンスリーパー社は、2025年3月26日からパリ〜ブリュッセル〜ベルリン間を結ぶ新たな夜行旅客列車を導入する。これは同社の国際夜行列車網の大幅な拡張となる。この新サービスは週3回運行され、既存のブリュッセル〜ベルリン間の夜行列車(隔日運行)を補完する形となる。両列車を合わせることで、ブリュッセル〜ベルリン間には週6回の夜行接続が実現し、旅行者にとって運行頻度と柔軟性が大きく向上する。
- 新路線の運行日について、パリ発は火曜・木曜・土曜の17:45で観光・ビジネスの双方に適した早めの夕刻出発である。その後ブリュッセル着21:45で、ベルギー国内および国際列車との乗り継ぎにも便利な時刻となっている。その後ドイツ国内を夜行で走行し、翌朝9:59にベルリンへ到着予定。
- パリ行は、ベルリン発月曜・水曜・金曜の18:31、ブリュッセル着翌朝7:06、パリ着10:00予定。これらの時刻設定は、3都市間を夜行で効率的に移動できるよう、車両運用の最適化も考慮されている。
- このパリ〜ブリュッセル〜ベルリン間の新サービス導入により、ヨーロピアンスリーパー社は成長を続ける国際夜行鉄道市場において、その地位をさらに強化する。
Bvcmz248.5, CC0, via Wikimedia Commons
◆ 筆者メモ
- 11月14日付ERTのニュースメールで速報が出て、今回は続報の位置づけです。整理しておきたいのが、ブリュッセル~ベルリン間の既存列車とのルート棲み分けです。既存列車はアントウェルペン、アムステルダム経由でベルリンに向かいますが、新路線は異なり、具体的な時刻等は未発表ながらアーヘン、ケルン、ドルトムント、ハノーファー経由になるのではないかとみています。
- この列車を使ったブリュッセル~ベルリン間の夜間移動について、ルート不問であればもぼ毎日運転されるので、スケジュール策定時に柔軟性が高まります。パリ発着のヨーロピアンスリーパーが運転されない日のパリ~ブリュッセル間の移動についても高速新線経由のタリスではなく、在来線経由のローコストOuigo(ウィゴー)を利用することで、リーズナブルに移動したい旅行者にメリットがでてきますね。
【国際列車】レオ・エクスプレス、ドイツ〜チェコ〜ポーランド〜ウクライナ国境間の列車運行を2026年6月に開始
- オープンアクセス運営会社のレオ・エクスプレス社は、ドイツとチェコを東ポーランドのウクライナ国境付近と結ぶ新たな欧州横断鉄道路線を開設すると発表した。この新路線は、2026年6月25日から毎日1往復で運行を開始し、すでにチケットは10ユーロから販売中。
- 列車はフランクフルト空港〜プシェミシル間を運行し、フランクフルト、エアフルト、ライプツィヒ、ドレスデン、プラハ、オストラヴァ、クラクフなど主要都市に停車する。総距離は1,300kmを超え、欧州で現在計画されている直通列車の中でも最長級に位置づけられる。
- 232列車はプシェミシル発13:31、フランクフルト空港着翌朝7:53で、復路の235列車はフランクフルト空港発8:27、プシェミシル着翌2:23。
- 車内ではWi-Fi、電源コンセント、空調、リフレッシュメントの提供がある。現在、座席指定なしでチケットを販売中だが、座席予約とビジネスクラスのオプションは翌年1月から導入される予定。早期に予約した乗客は、座席予約機能が有効になり次第、座席を選択可能となる。
- 工事の影響による運行変更もある。月曜はプシェミシル方面行きがフランクフルト空港を4時間遅れで発車する。また、火曜と水曜はフランクフルト空港〜ボフミーン間のみ、水曜と木曜はボフミーン〜フランクフルト空港間のみの運行となる。時刻表は暫定的で変更の可能性がある。なお、ポーランド国内のみの乗車は現在できない。
◆ 筆者メモ
- 以前より、レオ・エクスプレス社からは中欧地区からドイツ、フランス、ベルギー方面への長距離列車設定の動きを感じさせるニュースが出ていましたが、運行時刻・予約開始といった具体的な情報までセットで出てきたのは今回が初めてかもしれません。
- レオ・エクスプレス社について、チェコのプラハにオフィスを構えるオープンアクセス運営会社ですが、この会社の資本にスペインの鉄道会社レンフェ(旧スペイン国鉄)が50%の株主取得として参加しています。この結果、ドイツをはじめ、スペインとは離れたエリアの路線への実質的な影響力を持つための橋頭堡(きょうとうほ)を築いた点では大変大きなニュースです。
- 消息筋(要はファン)の情報ですと、ベルギーのオーステンデ起点でチェコ、ポーランド方面への長距離列車も計画しているとのことですので、他のオープンアクセス会社同様、見逃せない動きの一つです。
Petr Štefek, CC BY-SA 3.0 CZ <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/cz/deed.en>, via Wikimedia Commons
本日は以上です。
参考文献 European Rail Timetable November 2025 Digital Edition