ダイヤ改正前後で並べて眺める(そして愛でる)

 

 このテーマでは、ブログ筆者の琴線に引っかかった印象的なダイヤ改正について、当時の時刻表紙面の「改正前号」と「改正号」を両方引用し、シンプルに並べて、眺めてみる、というもの。あわせて当時の各線でのダイヤ改正された背景もコメントしましたので、当時を知らない方の一助になれば幸いです。

 

 今回は1999年12月4日に行われたダイヤ改正について、JR東海、高山本線の紙面を取り上げてみます。

 

 

 1999年12月4日ダイヤ改正の意義とは?

 

1999年12月4日、JRグループではダイヤ改正が実施されました。改正の対象は主にJR東日本、JR東海、JR西日本であり、これに関連してJR九州方面の寝台特急にも運転形態の変更が生じています。今回の改正では、山形新幹線新庄延伸や各エリア輸送の改善、特急列車体系の見直しなど、各地域でさまざまな変化が見られました。

 

こうした各地域の動きと並行して、JR東海エリアでも在来線輸送体系の見直しが行われています。

 

名古屋都市圏では東海道本線を中心に快速体系の整理が進められ、新たに「特別快速」が設定されました。これにより列車種別は 特別快速、新快速、快速、区間快速の4種類となり、速達列車の運転体系が整えられています。また新型の313系車両が投入され、快速列車などに使用されることでスピードアップと快適性の向上が図られました。

 

中央本線(西線)では、名古屋〜中津川間に座席定員制快速列車「セントラルライナー」が登場しました。313系8000番台を使用したこの列車は、昼間時間帯にも運転される定員制快速として設定され、速達性と車内サービスの向上を目的とした新しいタイプの列車でした。

 

さらに東海道本線では、武豊線や飯田線との直通運転の拡大も行われました。名古屋〜武豊間の直通列車は大幅に増え、飯田線方面から名古屋への直通列車も拡大するなど、名古屋都市圏の通勤輸送の利便性向上が図られました。

 

こうしたJR東海の在来線輸送再編の流れの中で、優等列車の体系にも変化が見られました。その代表的な例が、高山本線の列車体系の見直しです。

 

この改正では、大阪〜飛騨古川間を結んでいた急行たかやま号が特急(ワイドビュー)ひだ号に統合されました。キハ58系で運転されていた急行列車は姿を消し、代わってキハ85系による特急列車へと再編されます。これにより高山本線の特急ひだ号は従来の8往復から10往復へ増発され、大阪方面と名古屋方面の双方から飛騨地方への特急輸送が強化されます。

 

 

 眺めてみてコメント(ブログ筆者より)

 

  • 急行たかやま号の特急格上げは、この改正で一番触れておきたいポイントです。飛騨古川を夕刻前に出発し、大阪に夜到着するダイヤとなっており、高山〜岐阜間では特急北アルプス号を除いて小規模の駅にも丁寧に停車していきます。途中駅での対向列車待ち合わせの都合もあったと思いますが、このような地域密着型のダイヤを見ていると、なんだかほっこりします(実際の利用率などは一旦脇に置きます)。なお格上げ後は(ワイドビュー)ひだ34号(大阪行)となり、岐阜で名古屋行(14号)と分割されて運行されます。大阪からの利用者にとっては、特急格上げによる所要時間短縮という点で歓迎されたことでしょう。
  • (ワイドビュー)ひだ14号のグリーン車についても触れておきます。改正前は富山→名古屋の通しで連結されていましたが、改正後は高山からの連結に変更されました。もっとも、改正前も高山から増結する対応をしていました。ただし富山編成と高山編成の両方にグリーン車が連結されていたため、時刻表紙面上では特に注釈が必要ありませんでした。改正後は富山編成にモノクラス3両編成が充当されたため、この変更が注釈として表れる形になったと考えられます。
  • 北アルプス号について。改正前は次頁に掲載されているため、この紙面では見切れていますが、北アルプス号自体は存在しています。北アルプス号とバディーを組むひだ号(下記紙面では18号)の停車駅を見ると、北アルプス号の停車駅に合わせる形で沿線の駅にこまめに停車している様子がわかります。これは改正前のたかやま号を彷彿とさせますね。
  • 季節列車である(ワイドビュー)ひだ84号にも注目してみます。改正後は停車駅が減っているにもかかわらず、所要時間が1時間56分から2時間9分へと増えています。これは定期列車を優先したダイヤ設定の影響と見てよいのでしょうか。
  • 普通列車についても見逃せない変化があります。美濃太田発の列車が、今回のダイヤ改正をもって30分毎のパターンダイヤに整理されました。太多線からの乗り入れ列車もそれに準じて調整されています。また改正前には存在しなかった1722Dが新設され、高山13:42発→岐阜17:32着という長駆のローカル列車も登場しています。

ワイドビューひだ 高山本線 キハ85系

キハ85系、高山駅、2020年筆者撮影

 

 

 ダイヤ改正前 1999年11月号

 

この改正で消滅したたかやま号の車両についてフォーカスしてみます。使用車両は向日町運転所所属のキハ58形・キハ28形を中心に、グリーン車のキロ28形を連結した編成で、通常は4両編成で運転され、多客期には予備車増結も行われ、観光シーズンには編成が長くなる姿も見られました。JR発足後は車体がJR西日本カラーとなり、車号6000番台の車両が使用されるなど、国鉄時代とは異なる装いでした。内装については、1990年12月からはアコモデーション改善が施され、シュプール車改造の際に14系客車から発生した簡易リクライニングシートが設置されるなど、車内設備の向上も図られました。

1999年ダイヤ改正 高山本線 急行たかやま号

JTB時刻表1999年11月号より引用

 

 

 ダイヤ改正後 1999年12月号

 

たかやま号につづいて、北アルプス号についても触れておきましょう。

北アルプス号には、当時の名古屋鉄道が保有していたキハ8500系気動車が使われていました。新鵜沼付近に設けられていた連絡線を通り、名鉄線からJR高山本線へそのまま乗り入れる運転が行われていたのが特徴です。

このキハ8500系は、名鉄線内の俊敏な走りと、JR東海キハ85系との連結運転の両立を意識して設計されており、走行機器もキハ85系と同等の仕様になっていました

高山本線ダイヤ改正1999年キハ85系ひだ号

JTB時刻表1991年12月号より引用

 

本日は以上です。

 

参考資料:JTB時刻表1999年11月、同年12月号、年鑑日本の鉄道2000/鉄道ジャーナル別冊/鉄道ジャーナル社、時刻表が刻んだあの瞬間〜JR30年の軌跡/JTBのMOOK/JTBパブリッシング、鉄道ファン各号

参考サイト:名鉄キハ8500系気動車(Wikipedia)