ブログ筆者の研究資料のひとつとして、手元にある書籍や記事をもとに、当時の鉄道の動きを年鑑風にまとめて紹介するシリーズです。
今回は、2000年のヨーロッパでの鉄道関連のニュース、動きです。
イタリア ミラノ〜ボローニャ高速線の建設が始まる
イタリアの高速鉄道建設公団TAVはミラノ〜ボローニャ間高速線計画に関し、地方官庁の了解を得られたため、1月末に担当コンソーシアムに建設工事を総額8兆9,950億リラ(約6,300億円)で仮発注し、建設工事が着工された。この路線はイタリアの二大都市であるローマとミラノを結ぶ高速線の一部で、その最後の未着工区間となっていた。開業目標は2006年。
スイス 振子電車ICNがデビュー
スイス国鉄(SBB)は5月28日のヨーロッパ夏のダイヤ改正で、アドトランツ社製の振子電車ICN(InterCity Neitech)の営業を開始した。4M3Tの7両編成で、交流15kVの単一電源から給電、編成出力5,200kW、最高速度200km/hの性能をもつ。振子装置はイタリアのペンドリーノ方式を改良したもので、曲線走行時に車体を最大8度傾斜させる。
導入された区間は北部回廊のローザンヌ〜チューリヒ〜ザンクトガレン間で、うちローザンヌ〜オルテン間は北回りのルートを通る。首都ベルンは通らず、ヌーシャテル、ビエンヌなどに停車。所要時間は4時間6〜9分。編成は両端から各2両が2等車、中間3両が1等車で、1等車のシート生地は高級な革製。車端部には優雅なコンパートメントが設けられた。1等車1両は半室ビストロ車である。ICNは24編成が発注されており、2001年春にはそのすべてが運用につく予定。
ドイツ 高速列車ICE3が営業を開始
最高速度330km/hをめざすドイツの新世代高速列車ICE3が5月末から営業運転を始めた。ICE3はハノーファーで開催された万国博覧会の最寄り駅・メッセラーツェン駅とケルン、フランクフルトなどを結ぶ全車指定の観客輸送列車「EXE(エキスポエクスプレス)」に充当され、万博期間中は走るパビリオンとして好評を博した。最高速度330km/hでの営業運転は2002年末のケルン〜フランクフルト高速線の開業時からの予定で、それまでは280km/hで運転する。
デンマーク/スウェーデン オーレスン海峡リンクが開通
7月1日、デンマークとスウェーデンを隔てるオーレスン海峡(幅16km)を鉄道と道路で結ぶ橋梁・トンネルの開通式が行われた。これによりコペンハーゲンとスウェーデンのマルメは30分で結ばれるようになった。
この施設は海峡中央の人工島ペブルホルム島を境に、デンマーク側は4kmの潜函トンネル、スウェーデン側は7.8kmの斜張橋で構成されている。両国鉄による営業運転は7月2日に開始された。電化方式は、西側が交流25kV 50Hz、東側が交流15kV 16 2/3Hzのため、基幹サービス(ヘルシンゲル〜コペンハーゲン〜マルメ間、20分間隔)には交流二電源式の電車が使用される。
車両の外観はデンマーク国鉄(DSB)の高速気動車IC3に準じ、3両編成で定員は237人。DSBは17編成、スウェーデン国鉄(SJ)は10編成を1996年に発注している。長距離輸送ではコペンハーゲン〜イースタッド間にインターシティ〈ボルンホルム〉が登場。また、ハンブルク〜コペンハーゲン間だったユーロシティ(ドイツ〜デンマーク国境は航送)が10月22日からマルメまで延長された。これらはIC3で運転されている。
スウェーデン側からは二電気式に改造された高速列車X2000が8月14日から乗り入れ、ストックホルム〜コペンハーゲン直通運転を開始した。
ドイツ ケルン〜フランクフルト新線は2002年末開業
ドイツ鉄道(DB)4番目の高速新線・ケルン〜ライン・マインNBS(通称ケルン〜フランクフルト高速線、本線177kmおよび支線45km)は1995年12月から工事が行われているが、土地の取得や地質に関する問題で遅れが生じ、開業予定は当初見込みの2000年から2002年5月へ、さらに今年になって2002年末へと修正された。
また、着工当時77億5,000万マルク(約5,120億円)とされていたインフラ工事費は100億マルク(約6,600億円)に跳ね上がった。このほかケルン・ボン空港アクセス線18kmの建設に10億5,000万マルク(約700億円)を要するが、これは地元の州、連邦政府、空港公団が分担する。ケルン〜フランクフルト新線の南端の区間はすでに完成しており、ルート上にあるフランクフルト空港長距離駅には、1999年5月から既存系統のICEとICが乗り入れている。
参考資料:年鑑日本の鉄道'01 鉄道ジャーナル2001年4月号別冊 紙面内の「海外情報(渥見昇光著)」