European Rail Timetable のNewsLetter (ヨーロッパ鉄道時刻表、以下ERTと略)THE FRIDAY FLYER 31.May.2024 の日本語抄訳です。
この記事内の指摘で注目しておく点は下記。
しかし、車で行くのと同じように、海岸沿いを一直線に直行するわけではない。その代わり、マドリード経由で迂回することになり、車よりも30分長くかかる。しかし、スペインの首都で下車したり乗り換えたりする必要はなくなる。
地中海沿いの2都市を、直接結ぶのではなく、一度イベリア半島内陸の首都、マドリードを経由するルートなのです。そのため、高速列車とはいえ、直接2地点を結ぶ車移動よりは時間がかかるよってこと。
このマラガ〜ムルシア間の直通列車ダイヤはERT夏号にも掲載済ですが、運転時刻を抜粋しておくと、
5913列車 マラガ発8:05→ムルシア着14:37
(マドリード・アトーチャ駅 10:49着/11:00発)
5862列車 ムルシア発15:32→マラガ着22:36
(マドリード・アトーチャ駅 19:08着/19:35発)
趣味的な観点では大変興味深い列車なので、他にも指摘しておくと、
・マラガ発便のみ、マラガ〜マドリード間は無停車となります。
・日曜日のみマラガ発のマラガ〜マドリード間は運休、ムルシア発は毎日運転となります。
この記事から改めて実感したのは、世界第2位の高速鉄道網を誇るスペインだが、その実態はマドリードを中心に放射状であるため、末端の都市同士(この場合、マラガとムルシア)の移動に高速列車を利用する場合マドリード経由が最短となってしまうこと。これはフランスのTGVがパリ経由で移動するほうが早い街が存在するのと同様であり、大した話ではないのかもしれません。
そもそもこの2都市を直通させなければならない理由はなんでしょうか?
個人の見解ながら、ローコスト高速列車の存在、具体的なOuigoへの牽制なのかなと思います。スペインの高速列車はAVEはじめ列車の運行本数を入札によって割り振けられるなかで、AVE以外に存在感が高まりつつあるのが、フランス国鉄による高速列車ブランドOuigo。既存のマドリード〜アリカンテ間3往復に加えて、マドリード〜ムルシア間を2024年9月に1往復、加えてマドリード〜マラガ間も時期未定ながら3往復の運行を計画しているようです。
運行ダイヤ次第ではAVEからの乗客が流れる、大げさにいえば「スペインがフランスに負ける」ことが無きよう、2都市間の直通ニーズが存在している前提で、現在はマドリードでの乗り換え必須のOuigoに対して、スペインは直通列車を走らせることで、存在感を確保しようと「躍起に」なっているところだと推察するわけです。
AVEはじめ、ローコスト高速列車の開業履歴をまとめておりますので、この機会にご興味がわいた方は下記もご覧ください。
本日は以上です。
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参考文献 European Rail Timetable Summer Edition 2024
写真はFrickrのリンクより