しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズン列車」の運転の歴史を振りかえります。

 

かにシーズン列車の「本丸」である、味めぐりシリーズに入っていますが、味めぐり但馬カニスキ号に続き、今回は味めぐり但馬号にスポットライトをあてます。今後も同様のパターンで「カニスキ」の名称がありなしの兄弟列車?が度々登場するのですが、列車名以外に大きな差異がないため、なにが理由で切り替えられたのかはこれまだ謎です。少なくともこのブログを執筆している段階ではそこは解明されていないので、分かり次第まとめることにします。

 

さて、綿々とまとめてきた播但線経由のかにシーズン列車ですが、振り返りを兼ねてこれまでの系譜を簡単にまとめました(テストにでるやつ)。

 

という流れで現在に至ります。国鉄時代から遡ると空白期間を加えて50年近くの歴史を有するすごい伝統列車ですね。特に但馬カニスキ号から味めぐり但馬号までの「変態期間」は、時刻表上は味めぐり但馬号として運転されていた時代でも残っているネット上の写真に写るヘッドマークを見ると、味めぐり但馬カニスキ号と明記されているなど、捻じれ(またはヘンテコ)状態が生じています。私のスタンスとして、当時の時刻表に記載された情報でまとめておりますので、「そのような時代が存在していた」という体で確認いただけると幸いです。

 

味めぐり但馬号

 味めぐり但馬号は、味めぐり但馬カニスキ号を踏襲して運転されていますが、運転時刻や使用車両が時代が下るにつれて変更が生じていますので、下記ではそのディティールに着目してまとめてました。

 

  シーズンごとの運転状況

全シーズン共通

播但線経由、全車指定席

 

 列車種別と運転区間 

味めぐり但馬カニスキ号時代から変わらない運転区間ですが、違いを挙げれば、1996〜97年の4号を除き、全シーズン、始発から終点まで急行運転されている点でしょうか。

運行シーズン 列車種別
1995〜96年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由
1996〜97年 急行 1,2,4号 大阪〜浜坂 ※播但線経由
4号は浜坂→城崎間は普通列車
1997〜98年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由
1998〜99年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由

 

 

 往復の始発・終着駅発時刻と所要時間

味めぐり但馬カニスキ号時代から引き継いだ運転時刻ですが、4シーズン目は大阪発午前、浜坂発正午過ぎと従来と逆転していますが、これは味めぐり浜坂号と運行時刻(スジ)を交換した結果でしたが、それに至った交換理由は不明です。

運行シーズン 始発・終着駅発時刻と所要時間
1995〜96年

大阪発12:37 → 浜坂着17:07(4:30)●

浜坂発9:49 → 大阪着14:39(4:50)★

1996〜97年

1号 大阪発12:37 → 浜坂着17:19(4:42)●

2号 浜坂発9:08 → 大阪着14:08(5:00)★

4号 浜坂→大阪 ※詳細不明 こちらのサイトを参考にしました

1997〜98年

大阪発12:37 → 浜坂着17:10(4:33)●

浜坂発9:10 → 大阪着14:12(5:02)★

1998〜99年

大阪発9:37 → 浜坂着14:15(4:38)●

浜坂発12:34 → 大阪着17:08(4:34)★

●:土曜日運転(一部日曜日も運転)、★:日曜・休日運転(連休中の日曜は運転なし)

 

 

 使用車両・編成: 

 味めぐり但馬カニスキ号時代から、引き続き冬季運休中のSLやまぐち号のレトロ客車を使用しているのですが、1998〜99年シーズンからは14系客車に切り替わっています。前述の通り味めぐり浜坂号と時刻表位置を交換したタイミングと合致するので、味めぐり浜坂号がレトロ客車で運行されたか?と勘ぐって調べてみましたが、そんなことはなく、車両の切り替え理由は不明なままです。

 牽引機は、非電化区間のDD51形ディーゼル機関車はもとより、電化区間は電気機関車が牽引した模様で、おそらく通常はEF65電気機関車が担当し、一部日程ではEF58形電気機関車も牽引した模様です。

運行シーズン 使用車両
1995〜96年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
1996〜97年 1,2号 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
4号 ディーゼル列車(形式、両数は不明)
1997〜98年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
1998〜99年 14系4〜6両
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察

※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。

※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。

 

本日は、以上です。

 

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング、カニという道楽: ズワイガニと日本人の物語 広尾克子著 西日本出版社