しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズン列車」の運転の歴史を振りかえります。

 

今回から、いよいよかにシーズン列車の「本丸」とも言うべき、味めぐりシリーズに入ります。要は味めぐり●●号という一連の列車を取り上げるのですが、このあたりがJR化後の勢いを最も感じることができ、多種多様な車種が投入されています。そして、この味めぐりシリーズにも、「味めぐり●●号」と「味めぐり●●カニスキ号」という兄弟列車が存在しますので、そのあたりも丁寧に歴史を辿っていきます。

 

まずは、かにカニはまかぜ号の流れにあり、但馬カニスキ号からバトンを受け取った列車、播但線経由の味めぐり但馬カニスキ号を深堀りします。

 

味めぐり但馬カニスキ号

 味めぐり但馬カニスキ号は、但馬カニスキ号の運転区間、ダイヤを踏襲しつつ、通常SLやまぐち号で使用されているレトロ客車が投入され、かにシーズン列車のブランド化を図るJR西日本の意気込みを感じることができます。

 

下記の写真は別列車の運用ながらEF58+レトロ客車というイメージがありましたので、掲載します(繰り返しますが当時の写真ではありません)。当時はヘッドマーク付きでの運行だったようです。

 

 

  シーズンごとの運転状況

全シーズン共通

播但線経由、全車指定席(普通列車区間は除く)

 列車種別と運転区間 

かにシーズンの臨時列車の運行区間として「鉄板」となった大阪〜浜坂間という運転区間はそのまま、城崎〜浜坂間の普通列車は1992〜93年まで継続実施されました。

運行シーズン 列車種別
1991〜92年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由、城崎〜浜坂間は普通列車
1992〜93年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由、城崎〜浜坂間は普通列車
1993〜94年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由
1994〜95年 急行 大阪〜浜坂 ※播但線経由

※阪神大震災のあった1995年については1月21日(土)以降は運休だった模様

 

 

 往復の始発・終着駅発時刻と所要時間

最初の1991〜92年は大阪発10時台、浜坂発14時台という、但馬カニスキ号時代の83、86号のダイヤを踏襲。その翌シーズンからは、従来の急行但馬81、80号のスジをそのまま利用することで大阪発12時台、浜坂発9時台と運行時間帯を大幅に変更しました。4シーズン通して大阪発は土曜、浜坂発は日曜・休日というパターンは変わりません。

運行シーズン 始発・終着駅発時刻と所要時間
1991〜92年

大阪発10:20 → 浜坂着15:30(5:10)●

浜坂発14:36 → 大阪着19:37(5:01)★

1992〜93年

大阪発12:46 → 浜坂着17:39(4:53)●

浜坂発9:45 → 大阪着14:39(4:54)★

1993〜94年

大阪発12:46 → 浜坂着17:39(4:53)●

浜坂発9:45 → 大阪着14:39(4:54)★

1994〜95年

大阪発12:37 → 浜坂着17:07(4:30)●

浜坂発9:49 → 大阪着14:39(4:50)★

●:土曜日運転(一部日曜日も運転)、★:日曜・休日運転(連休中の日曜は運転なし)

※阪神大震災のあった1995年については1月21日(土)以降は運休だった模様

 

 

 使用車両・編成: 

当時の鉄道ダイヤ情報誌やインターネット上の情報を総合したものが下記となります。

 客車については、冬季運休中のSLやまぐち号のレトロ客車を活用するという、所有するイベント客車の稼働率を高める有効な使用先となりました。また、レトロ客車が使用できない場合には14系客車も使用されていたようです。

 牽引機は、非電化区間のDD51形ディーゼル機関車はもとより、電化区間は電気機関車が牽引した模様で、おそらく通常はEF65電気機関車が担当し、一部日程ではEF58形電気機関車も牽引した模様です。

運行シーズン 使用車両
1991〜92年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
※(1992年1月11,12日のみ)大阪〜姫路の牽引機EF58
1992〜93年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
1993〜94年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察
1994〜95年 12系5両(SLやまぐち号用レトロ客車)
牽引機:大阪〜姫路間 EF65、姫路〜浜坂間DD51 いづれも単機と推察

※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。

※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。

 

本日は、以上です。

 

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング、カニという道楽: ズワイガニと日本人の物語 広尾克子著 西日本出版社