2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の11回目は、フェリックス・ティンマーマンズ号を取り上げます。

EC Felix Timmermans

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

フランドルの作家、画家(1886~1947)

 

1993年5月23日から、ケルン中央駅〜ブリュッセル南間に、アレクサンダー・フォン・フンボルト号と同時に、ユーロシティ EC36/37 フェリックス・ティンマーマンズ号が追加で新設され、特にビジネスや観光利用でベルギーの首都ブリュッセルでの1日の滞在時間が大幅に増えた。両列車は1997年5月31日まで2列車で一組として共通運用された。EC36はケルン中央駅発6:30で、アーヘン、ヴェルヴィエ、リエージュ、ブリュッセル北駅に途中停車し、終点のブリュッセル南駅着9:01。

 

対向列車であるEC37はブリュッセル南発20:03→ケルン着22:42(ヴェルヴィエは通過)。つまり、ケルン〜ブリュッセル間の総走行距離235kmを2時間31分または2時間35分(表定速度はぞれぞれ93km/hと89km/h)で結んだ。これは1980年代のインターシティ列車サフィール号の運行データとほぼ同等だった。通常DB(ドイツ鉄道)客車による11両という長編成は、SNCB(ベルギー国鉄)の複電圧電気機関車(16型と18型)が牽引した。1997年夏ダイヤから、フェリックス・ティンマーマンズ号は6両編成と減車され、ケルン〜アムステルダム間のユーロシティと共同運用された(共通運用に加入後も運転区間は引き続きケルン〜ブリュッセル)。

 

EC36/37は、その運行期間中の運行ダイヤの変更まったく行われていないのは注目に値する。そのフェリックス・ティンマーマンズ号の歴史は非常に短く、運行開始からわずか4年半となる1997年12月14日に廃止され、ケルン〜ブリュッセル〜パリ間を結ぶタリスに取って代わられた。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

1997年夏ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等)、オープン座席車(2等)、1等・ビストロ合造車

ドイツの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)