2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の10回目は、EC 390/391列車を取り上げます。

EC 390/391

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

2008年12月14日から、リンツ〜フランクフルト(マイン)間に、4番目のユーロシティ EC390/391が新設された。なお、この列車番号は、15年前にユーロシティ・ナイト アルフレッド・ノーベル号が使用していたものだ。制御客車を連結したプッシュプル対応のDB編成のEC390は、人口約20.5万人のオーストリア第3の都市リンツを6:26に出発、ÖBB内ののヴェルス、アットナング・プッフハイム、フェクラブリュック、シュタインドルフ・ベイ・シュトラーシュヴァルヒェン、ザルツブルク中央駅、その後DB内に入り、フライラッシング、トラウンシュタイン、プリーン・アム・キームゼー、ローゼンハイム、ミュンヘン東駅に途中停車し、方向転換を行うミュンヘン中央駅に9:35到着。わずか5分の停車後、アウグスブルク中央駅、ウルム中央駅に停車し、2回目の方向転換を行うシュトゥットガルト中央駅に停車(12:00着/12:05発)その後、ハイデルベルク中央駅、ヴァインハイム、ベンスハイム、ダルムシュタット中央駅に途中停車し、終点フランクフルト中央駅に到着。つまり、EC390はEC318(グラーツ→フランクフルト)より3時間先にザルツブルク〜フランクフルト間を走ることになる。EC390は共通運用として、EC117としてフランクフルト中央駅発14:20でクラーゲンフルトにむけて出発。

対向列車となるEC391はグラーツ発のEC318(フランクフルト着15:40)の折り返しとして、フランクフルト中央駅発16:20(EC319より4時間遅い時刻)、EC390と同じ途中停車駅を経由し、シュトゥットガルト中央駅(17:53着/17:58発)とミュンヘン中央駅(20:16着/20:24発)でそれぞれ方向転換後、リンツ着23:42。リンツ〜フランクフルト間の走行距離698kmを所要時間それぞれ7時間14分、7時間22分で結ぶ(表定速度97km/h、96km/h)。

 

所要時間の若干の変更を繰り返しつつ、2012年12月9日(2013年ダイヤ)の新ダイヤ施行を迎え、EC391がシュトラーシュヴァルヒェンが通過することになり、ザルツブルク~リンツ間での所要時間が12分スピードアップした。そのため、リンツ中央駅着23:30となり、7時間10分に短縮、表定速度は97km/hに向上した。翌年2013年12月15日(2014年ダイヤ)にはさらに3分の所要時間短縮が実現。2015年12月13日(2016年ダイヤ)以降、EC391の始発駅がフランクフルトからカールスルーエ中央駅に変更された時期もある(16:05発→リンツ発23:28着、他のデータベースを参照したところ、カールスルーエ発だったのは2016年7月31日〜9月11日の月〜金と日に限定されていた様子)。対向列車EC390の終着駅は変更なく、フランクフルト行として運行された(リンツ中央駅発6:32発→フランクフルト着13:46)。

 

2016年12月11日より、両列車とも運行区間の見直しが行われ、オーストリア側の始終着駅が ザルツブルグに変更され、オーストリア国内を走る距離はわずか5キロとなった。とはいえ、EC390の時刻表位置は維持され、ザルツブルク中央駅発8:00で、ミュンヘン中央駅(9:41着/9:47発)、シュトゥットガルト中央駅(11:49着/12:04発)と経由し、終着フランクフルト中央駅に13:30に到着。EC391もフランクフルト発16:20は変わらず、ザルツブルク着22:02で終着。2017年4月14日〜6月16日、および2018年5月16日〜8月5日で、段階的に行われた大規模な軌道工事の影響を受けてEC390/391はミュンヘン中央駅を始発・終着となったこともある。ちなみにフランクフルト~ザルツブルク間(走行距離573km)を実際に「走り抜ける」場合、所要時間は5時間40分または5時間42分(表定速度101km/h)となる。

 

また、工事のため、EC390最後のダイヤ期間(2018年12月9日2019年12月14日)の2019年4月11日~6月13日にミュンヘン東駅が、2018年12月29日~2019年8月10日の土日のみダルムシュタット中央駅がそれぞれ終着駅となった。一方でEC391は、2019年3月15日〜7月28日の土に、ダルムシュタット中央駅始発(従来と同時刻)ミュンヘン東駅終着として運行された。なお、EC390/391は2019年12月14日が最後の運行だった。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

2018〜19年冬ダイヤ

コンパートメント客車(1等)、オープン座席車(1等、2等)※制御客車含む、1等・ビストロ合造車

ドイツの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)