1987年6月のThomasCook Continetal Timetable 日本語解説版(87年夏)の Editorial のまとめです。ブログ筆者の研究用のデータベースの公開という位置づけです。ご興味あればご参照ください。

 

※日本語版からの転記なので、原文ママとなりますが、地名、列車名、都市名については、私のブログで平時使用している表現に修正している箇所があります。あらかじめご承知おきください。

 

 

  日本の読者の皆さんへ

 

本書は、大陸の鉄道では1987年5月31日から9月26日まで、またイギリスとアイルランドでは5月11日から10月4日まで有効です。1987年5月31日日曜日は、ヨーロッパの鉄道にとって、重要な日です。この日、ユーロシティ(Table10参照)という名称をつけた国際特急列車の、新しいネットワークが発足するからです。これらの列車は従来の国際インターシティと、1列車を除くすべてのトランス・ヨーロッパ・エクスプレスTEE(ゴッタルド号のみ引き続き1年間運転)に代わるものです。また同じくこの日から、ラインゴルト号は完全に運行しなくなり、その役割を引き継ぐ2つの新しい列車、フランス・ハルス号(アムステルダム〜ミュンヘン間)、レンブラント号(アムステルダム〜スイス間。従来はアムステルダム〜フランクフルト間を走っていた)はTable10Nに示されています。ユーロシティの路線図は63ページにあります。 

 

また、5月31日から、イタリア国鉄がミラノ〜ローマ間の路線とすべての関連支線(トリノ〜ボローニャ間、ボルツァーノ〜ヴェローナ間、ヴェネツィア〜ボローニャ間、ボローニャ〜アンコナ間など)において、新しく定時隔の時刻表となります。こうした変更の結果、イタリア国内路線のみで運転するすべての列車に新しい列車番号がつけられ、また列車の多くはスピードアップされています。イタリアの駅での停車時間が短くなりましたが、果してこのスピードアップ・ダイヤ通りに運行できるかどうか、今後の成行きにご注目。フィレンツェ〜ローマ間では、現在多くの列車が高速線を利用し、かなり時間が短縮されるようになりました。スイスでは、ジュネーブ・コワントラン空港とジュネーブ・コルナバン駅間を結ぶ新しい鉄道が開通し、これまでローザンヌ方面からの列車でジュネーブ・コルナバン駅止まりだったものが、今では空港まで運転しています。スイス国鉄は、インターシティのいくつかの路線において、1時間毎から30分毎になるよう便数をふやし、ジュネーブ〜ルツェルン間直通列車を新設しました。またフランス国鉄は、パリ〜ニース間を結ぶTGVの運転を開始しました。

 

イギリス国鉄は5月11日に新しい時刻表に変りましたが、その例としてロンドン〜ノリッジ間、ロンドン〜ピーターバラ間で電気機関車けん引列車が新設されています。ロンドン〜エジンバラ間を走る寝台車は、現在、キングズクロス駅ではなくユーストン駅から発車し、またハリッジからグラスゴーに向かうヨーロッパ大陸連絡船接続列車は、以前のノッティンガム、マンチェスター経由から、現在ウォットフォード、バーミンガム、クルー経由に変っています。このほかのイギリス国鉄の路線のうち、ロンドン〜ケンブリッジ間、グラスゴー〜エア間などが電化され、またピーターバラ〜リーズ、ニューカッスル、エジンバラ方面、ボーンマス〜ウェイマス間においても、電化工事が進んでいます。 

 

というわけで、1987年にはヨーロッパの多くの場所で、列車の増発とスピードアップが見られるようになります。中でも最優等列車ユーロシティは、世界中のどの列車と比べてもひけをとりません。この列車を最大限利用するために、時刻表は必携です。ヨーロッパ全体をまとめた時刻表はただ1冊。世界を旅する人と旅行社のためにつくられたトーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表だけなのです。これを持ち、使い方をおぼえましょう。やがてあなたはヨーロッパを鉄道で旅するエキスパートとなることでしょう。

 

J.H. プライス

 

 

  その他の変更事項(英語版からの抜粋)

 

5月31日からのおもな変更事項は、3ページの「ヨーロッパの鉄道最新ニュース」で挙げたとおりですが、そのほかに次のような変更事項があります。

 

Table10 5月31日より、国際インターシティーとトランス・ヨーロッパ・エクスプレスTEEに代わって、ユーロシティ・ネットワークが新設される。詳細については3ページを参照のこと。なお、従来のインターシティで、リーグレ(リギュール)号モンスニ号は、ユーロシティとして格づけるにはスピードが遅いので、ネットワークからはずされたが、ミュンヘン〜チューリッヒ間、ミュンヘン〜ウィーン間、シュトゥットガルト〜チューリッヒ間を含む新路線ができた。またいくつかの列車には、新しい名前がつけられている(モンテベルディ号、ロッシーニ号、レオナルド・ダ・ヴィンチ号、フランス・ハルス号、カルロ・マーニョ〔カルロス大帝を意味するイタリア語〕など)。

 

Table11 当分の間、トランス・ヨーロッパ・エクスプレスの名は、フランスでパリ〜リール間、パリ〜ナント間、パリ〜ストラスブール間を走る4往復のビジネス列車にそのまま使われる。TEEラインゴルトは廃止され、TEEゴッタルドは、来年ユーロシティーになる可能性があるので、66ページにユーロシティー列車とともに示されている。

 

Table21 夜行急行列車バイキング・エクスプレス(パリ〜コペンハーゲン〜ヘルシンオア間)は、今年は例年より長期にわたって5月31日から9月25日まで運転し、パリ〜ストックホルム間直通のクシェットを再び併結する。

 

Table25 リスボン〜マドリッド間を結ぶ昼間の列車は現在40分遅れて運転し、マドリッド発パリ行タルゴ列車に連絡しない。ただし逆方向(パリ〜マドリッド〜リスボン)は連絡が可能。

 

Table32 パリ〜ブカレスト間の寝台車は5月31日から廃止され、パリ〜ブカレスト間の直通車両は2等座席車のみとなった。ただし、ウィーン〜ブカレスト間を結ぶルーマニアの寝台車は、現在毎日運転している。Table31の列車には、ウィーンより東に向かう車両はない。

 

Table40 オスロ〜ハンブルク間、ストックホルム〜ハンブルク間の夜行列車は、アルフレッド・ノーベル号という名称でユーロシティに格付けされた。

 

Table50 パリ〜ブローニュ間の列車(列車番号405)は、時刻変更でパリ発14:20ロンドン到着20:36となり、フランスのほとんどの都市からロンドンに同日中に着くことが可能になった。また、ドーバー・ウエスタン・ドックの列車フェリー用橋新設工事のため、7月13日から8月24日まで、8:05パリ発ロンドン行き列車は、ブローニュ〜フォークストン経由にかわる。

 

Table54 5月31日より、パリ〜マルセイユ〜トゥーロン間において、パリ・リヨン駅10:13発のTGVを追加運転し、復路はマルセイユ発8:40となる。4月に新設されたパリ〜ニース間毎日運転のTGVに、6月28日から9月6日まで、毎日1往復増便される。

 

Table56本号から(従来はTable54だった)パリとジュネーブ、パリとサヴォワ地方を結ぶTGV増発便を組み入れるため、スペースが倍増された。また、従来ウィンタースポーツのシーズン中のみ運行していたカレー〜サン・ジフェルベ間のクシェットが、真夏にも週1往復運転するが、昨年夏運転したパリ〜ブール・サン・モーリス間の寝台車は今年は運転しない。 

 

Table58 南急行シュド・エクスプレス)のパリ発車時刻は従来冬8:53発、夏9:00発だったものが、現在は8:42と少し早まっている。現在、最高時速200kmで運転するパリ〜イルン間の昼間列車は"コラーユ200”と格付けられ、列車番号も121~129に書きかえられた。また、真夏の金曜にカレー〜アンダイエ間の直通列車(アキテーヌ・エクスプレス)が再び運行する。フランス国鉄の公式時刻表の制作が遅れたため、本書におけるフランスの時刻表のいくつかは、部内作業用時刻表から編集された。そのためローカル列車と追加事項については完全に改訂されていない。改訂が必要の際は、次号に掲載する。 

 

Table150a フラーヌ〜バロルプ間の工事のため、パリ〜ローザンヌ間を結ぶTGVの朝の便は、月曜から金曜まではジ ュネーブ経由にかわり、パリを7:14ではなく6:55に発車す る。また7:14発ブザンソン行きは引き続き運転し、ドールでベルン行きに連絡する。 

 

Table412~442 スペインでは、最近公共企業活動が不安定なので、夏の時刻表を発刊するのが遅れている。そのた め本書の時刻表も不完全なものとなった。スペインの夜行列車は大半5月31日よりスピードアップされる。さらに必要な時刻表の改訂は次号に掲載する。 

 

Table445~450 ポルトガル鉄道は、フランスのコラーユ客車と同型の冷暖房完備客車を58両新造した。これらはリスボン~ポルト間の特急列車、(現在すべて1等車と2等車) とリスボン〜アルガルベ地方(ポルトガルの最南部地方) 間の2往復の特急列車に連結されている。 

 

以上