1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。

 

ユーロシティは2022年現在でも現役の列車種別(コンセプト)であり、集大成の資料が存在しているわけではありません。そのためドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

(いつかはユーロシティの辞書的なものを作りたい野望はありますが。。。)

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、8回目は、コロッセウム号を取り上げます。ちなみにTEE時代のコロッセウム号は、過去の私のブログ内でもまとめております。ご興味あればご覧ください。

 

EC Colosseum

(この写真が参考文献に掲載されているわけではありません)

 

(以下原文訳、一部短縮名称等をブログ筆者で補足)

アンフィテアトラム・ノヴムまたはアンフィテアトリック・フラヴィウム(紀元72年から80年にかけて建設)は、世界最大の円形闘技場である。

 

ローマ最大の円形競技場のラテン語名は、EC70/71の発着地であるローマ市を完璧に象徴している。1989年5月28日から、EC70/71 コロッセウム号はイタリアの首都とドイツの商業・金融都市であるフランクフルト・アム・マイン(以下、フランクフルトと略)をゴッタルド線経由で結んだ。ユーロシティ以前は、TEE76/77が1984年6月3日から1987年5月30日まで、IC516/533が1987年5月31日から1989年5月27日までいづれもローマ〜ミラノ線で「コロッセウム」の愛称で運行されていた。

 

コロッセウム号の編成担当はドイツ国鉄(以下、DB)。北行EC70は世界的に有名なローマ・テルミニ駅を8:00発で、フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅(10:10着/10:19発)で機関車交換と方向転換し、ボローニャ中央駅に途中停車後、ミラノ中央駅13:10着。ミラノ中央駅(13:30発)以北のコロッセウム号は、旧252急行列車の運行時刻を踏襲し、途中停車駅のコモ・サン・ジョバンニ駅とキアッソでは、スイス国鉄(以下、SBB)機関車との機関車交換を行った。ルガーノ、ベリンツォーナ、ルツェルン(17:39着/17:46発)、オルテンを経由して、バーゼルSBB駅着18:52。ここでフィレンツェ、ミラノ、ルツェルンについで4度目の機関車交換と方向転換が行われた。DB-103型電気機関車に交換した後、バーゼルSBB駅19:17発でIC 672 ハンス・ホルベイン号を先行するダイヤで、フライブルク、オッフェンブルク、カールスルーエ中央駅、マンハイム中央駅を経てフランクフルト中央駅着22:16。対向南行EC71はフランクフルト中央駅発6:41で、EC70と同じ途中停車駅と4回の方向転換と機関車交換(バーゼルSBB駅9:43着/10:08発、ルツェルン11:12着/11:19発、ミラノ中央駅15:25着/15:55発、フィレンツェ駅18:46着/18:55発)を経てローマ着21:05。所要時間は14時間24分、1980年代において最長所要時間のユーロシティであり、なお、同じ走行距離1,326kmのEC70は8分短い所要時間だった。しかし、表定速度は95km/hに達し、特に直線が多い高速運行が容易なローマ〜ミラノ間、バーゼル〜フランクフルト間に限れば122km/h、120km/hまで向上している。

 

1990年5月27日にはローマ〜フィレンツェ間のダイヤ修正が行われ、EC70はローマ発時刻が10分繰り上げられ、ローマ・テルミニ駅発8:10となり、一方のEC71は5分スピードアップが図られてローマ着21:00となった。

 

1991年6月2日のダイヤ改正は国際列車のコロッセウム号にも影響した。運転区間がローマ〜バーゼルSBB駅間に縮小されたものの、バーゼル以南の運行ダイヤ自体に変更は生じていない。使用する客車は、従来DBだったが、ドイツへの乗り入れがなくなったためイタリア国鉄編成に変更された。1992年5月31日からは列車番号EC52/53に変更され、ETR500型電車(エウロスター・イタリア)の運行開始に伴い、1997年6月1日ローマ〜ミラノ間で最後の運行が行われた。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

​​​​​​​1989年夏ダイヤ 

食堂車連結、1等、2等コンパートメント車、オープン座席車がそれぞれ連結、途中での増解結なし。ドイツの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

 

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)