2022年も残り2ヶ月あまりのタイミングですが、これまた長期企画を立ち上げます。その名も「日本のイベントと臨時列車(80、90年代)」です。
手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。
第8回目は、秋田県大仙市で毎年開催されている、全国花火競技大会に関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。この大会の通称、大曲花火大会と聞くとピンと来る方も多いのではないでしょうか。
このシリーズで取り上げた花火大会では、熊野大花火大会 がありましたが、臨時列車の種類はこちらの方が「百花繚乱」といったところです。
お祭り、催事の概要
全国花火競技大会(通称:大曲花火大会)
会 期 |
毎年8月最終土曜日 |
会 場 | 秋田県大仙市・雄物川河川敷運動公園 |
お祭り、催事の概要 |
「大曲の花火」は、1910年(明治43年)に諏訪神社の祭典の余興として開催された「奥羽六県煙火共進会」から始まり、100年以上の歴史を誇ります。 2000年(平成12年)には、内閣総理大臣賞が夜花火の部の最優秀賞として加わり、今現在では、経済産業大臣賞・中小企業庁官賞・文部科学大臣賞・観光庁長官賞も授与されております。毎年70万人以上が集まり、日本最高峰の花火競技大会となりました。
公式サイト「大曲の花火について」より一部抜粋 |
臨時列車の運行概要
全国花火競技大会(大曲花火大会)関連の臨時列車(1980〜99年)
大曲花火大会の臨時列車について、企画の性格上’80年、’90年の20年に限って取り上げましたが、2022年現在でも多様な臨時列車が設定されています。歴史を簡単に振り返っておくと、大曲花火臨は民営化直後の1987年に遡れます。
1988年には秋田市街からの観客向けの特急列車が設定され、その後も急行が青森県の野辺地から遠路はるばる設定された時代もあります。そして普通列車の花火臨時についても多様であり、とくに1993年以降は「花火号(大曲以北の奥羽本線)」、「ナイアガラ号(大曲以南の奥羽本線)」、「スターマイン号(田沢湖線)」と名称が運転方面の区分に使われるようになります。
そしてハイライトとは、秋田新幹線開業前の田沢湖線、奥羽本線の改軌工事の影響をうけた北上線経由「ファンタジー号」が誕生。その後の秋田新幹線こまち号による新幹線花火臨と、多種多様な臨時列車を確認することができます。
【凡例、備考】
「 」は前後年との違いがある箇所
・運転日は時刻表に掲載されたものを転記しておりますが、実際は1995年のみ延期実施となっているようです。
・臨時の普通列車には、一部区間定期列車のスジをつかうことで設定されたものもありました。
1980 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
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1981 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1982 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1983 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1984 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1985 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1986 | 時刻表からは運転履歴は確認できず |
1987 | 以下、8月22日運転 快速 スターマイン号 ※時刻表記載の種別は普通 盛岡〜大曲 1往復 9843M 盛岡発15:58 → 大曲着17:37 9850M 大曲発22:30 → 盛岡着23:56 使用車両:電車列車であること以外は不明 |
1988 | 以下、8月27日運転 特急 大曲花火号 八郎潟〜大曲 1往復 9042M 八郎潟発16:42 → 大曲着17:53 9041M 大曲発22:00 → 八郎潟着23:26 ※全車普通車指定席 普通列車 ※列車名なし 【ゆ き】秋田→大曲 1本、院内→大曲 1本、田沢湖→大曲 1本 【かえり】大曲→秋田 2本、秋田→(大曲)→院内 1本、大曲→横手 1本、大曲→田沢湖 2本、大曲→盛岡 1本(大曲〜赤渕間は無停車) |
1989 | 以下、8月26日運転 特急 大曲花火号 八郎潟〜大曲 1往復 9042M 八郎潟発16:42 → 大曲着17:53 9041M 大曲発22:20 → 八郎潟着23:37 ※グリーン車連結・全車指定席、大会の割引きっぷ保有者のみ乗車可 普通 花火号 1〜12号(9、11号は欠番) 【ゆ き】秋田→大曲 1本、院内→大曲 1本、田沢湖→大曲 1本 【かえり】大曲→秋田 2本、秋田→(大曲)→院内 1本、大曲→横手 1本、大曲→田沢湖 2本、大曲→盛岡 1本(大曲〜赤渕間は無停車) 快速 スターマイン号 大曲→土崎 1本 9431M 大曲発21:22 → 土崎着22:21 |
1990 | 以下、8月25日(一部、日付を越えて26日)運転 特急 大曲花火号 八郎潟〜大曲 1往復 9042M 八郎潟発16:42 → 大曲着17:53 9041M 大曲発22:20 → 八郎潟着23:32 ※グリーン車連結・全車指定席、大会の割引きっぷ保有者のみ乗車可 普通 花火号 1〜9号 【ゆ き】大館→大曲 1本、院内→大曲 1本 【かえり】大曲→大館 1本、大曲→秋田 3本、秋田→(大曲)→院内 1本、大曲→院内 1本、大曲→横手 1本 ※大館発着は秋田〜大館間主要駅のみ停車 普通 スターマイン号 1、2、4、6、8号 【ゆ き】田沢湖→大曲 1本 【かえり】大曲→田沢湖 3本、大曲→盛岡 1本(大曲〜田沢湖間は主要駅のみ停車) |
1991 |
以下、8月24日(一部、日付を越えて25日)運転
普通 花火号 1〜10号
普通 スターマイン号 1、2、4、6、8、10号 |
1992 |
以下、8月22日(一部、日付を越えて23日)運転
普通 花火号 1〜3、5〜11号(奇数のみ)、12〜20号(偶数のみ)
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1993 | 以下、8月28日(一部、日付を越えて29日)運転 急行 大曲花火号 八郎潟〜大曲 1往復 9612M 八郎潟発16:55 → 大曲着18:02 9611M 大曲発22:25 → 八郎潟着23:39 ※全車自由席 普通 花火号 1、3、5、7、9、11、13、2号 【ゆ き】大館→大曲 1本 【かえり】大曲→秋田 6本、大曲→大館 1本 普通 スターマイン号 1、2、4、6、8、10、12号 【ゆ き】田沢湖→大曲 1本 【かえり】大曲→田沢湖 2本、大曲→盛岡 4本 普通 ナイアガラ号 1、2、4、6、8、10、12、14号 【ゆ き】院内→大曲 1本 【かえり】秋田→(大曲)→院内 3本、大曲→院内 4本 |
1994 |
以下、8月27日(一部、日付を越えて28日)運転
急行 大曲花火号
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1995 |
こちらのサイト情報ですと、この年の花火大会は延期された模様で、下記列車は全て運転されていないと思われます。
特急 辰子姫号 (号数は普通スターマイン号と通し) 9060M 8号 大曲発22:26 → 盛岡着0:05 ※予定では485系
急行 大曲花火号
急行 花火号 (号数は普通花火号と通し)
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1996 |
以下、8月24日(一部、日付を越えて25日)運転
特急 スターマイン号
特急 たざわ4号
急行 大曲花火号
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1997 |
以下、8月23日(一部、日付を越えて24日)運転 866号 大曲発22:00 → 盛岡着23:04 868号 大曲発22:58 → 盛岡着23:56 ※グリーン車連結・一部指定席
特急 こまくさ 833、836号 9033M 大曲発21:56 → 秋田着22:37
【かえり】大曲→秋田 6本(うち1本は途中駅無停車)、大曲→大館 1本
普通 ナイアガラ号 1〜10号(9号は欠番)
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1998 |
以下、8月22日(一部、日付を越えて23日)運転 865号 大曲発22:30 → 秋田着23:04 868号 大曲発22:50 → 盛岡着23:49 870号 大曲発23:30 → 盛岡着0:29 ※グリーン車連結・一部指定席
【かえり】大曲→秋田 5本、大曲→東能代 1本、大曲→大館 1本
普通 ナイアガラ号 1〜10号
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1999 |
以下、8月28日(一部、日付を越えて29日)運転 272号 大曲発22:00 → 仙台着23:46 860号 大曲発22:30 → 盛岡着23:40 862号 大曲発23:11 → 盛岡着0:13 864号 大曲発23:39 → 盛岡着0:39 ※グリーン車連結・一部指定席
【かえり】大曲→秋田 4本、大曲→東能代 1本、大曲→大館 1本
普通 ナイアガラ号 1〜10号
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使用された車両について(推察含む)
大曲花火の臨時列車だけを収録しているものはほぼ皆無でしたが、当時の秋田エリアの車両運用を垣間見ることで「妄想」できるかなと思いました。ひとつめは1993年秋田郊外で撮影された動画。特急こまくさ号、たざわ号をはじめ、ディーゼル列車、客車列車も。時刻表の列車番号から、臨時普通列車にはディーゼル、電車、客車がそれぞれ運用にはいっていたことは間違いなく、この動画内のような車種、編成両数で運転されていたと思います。
ふたつめは1996年の田沢湖線。田沢湖線は電化されていたもの、普通列車はディーゼル列車だった時代であり、秋田新幹線改軌工事開始前の懐かしい動画ですが、ここに映っている車両も定期運用の間合いで大曲花火臨についたものと思われます。花火大会臨時列車とはにつかわしくない冬の動画ですが、動画自体は素晴らしく、選んだブログ筆者のセンスを疑ってくださいw
Sintosya様Youtubeチャンネルより
当時の時刻表紙面での臨時列車
1996年時刻表の付録ページより。毎年のように付録ページ1ページをまるまる大曲花火大会臨時列車に割くほどの量が運転されていました。この年のハイライトは、秋田新幹線改軌工事中である点で、かつての田沢湖線特急「たざわ号」が期間限定で青森〜秋田間の定期列車として活躍しており、その臨時延長で大曲まで運転されていました。特急こまくさ号も横手以北に延長運転されたのもこの年が最後です。急行大曲花火号は野辺地発着であり、大曲発列車は夜行列車として運転されていたという、なかなか味わい深いダイヤが確認できます。
JTB時刻表 1996年8月号より
最後は、1995年8月号の誌面より。本文にも明記しましたが、この年の花火大会は大雨の影響で延期開催されており、おそらく掲載列車はいっさい(?)運転されていないと思われます。その中で、レア中のレアが特急辰子姫号でしょうか。他年度での運転実績もなく、全席自由席という編成ながら田沢湖線内の臨時特急として堂々設定されていました。
JTB時刻表 1995年8月号より
本日は以上です。
まとめページはこちらから
参考資料 1980年〜1999年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表