熊野大花火大会 日本のイベントと臨時列車（８０、９０年代）【４】

１９８０年代、９０年代の２０年の間に運転された日本のイベントと臨時列車について、手元の時刻表はもとより、当時の鉄道ダイヤ情報やインターネット上の情報を参照しつつまとめてみました。

第４回目は、三重県の熊野市で毎年開催されている熊野大花火大会に関する臨時列車の運転履歴を追っていきます。

今後も花火大会臨を追っていく予定ですが、この熊野大花火大会においては、交通の便が決してよいとはいえないエリアにこの１日について三重県中からの来場客をさばくために臨時列車が設定されていますが、紀勢線にかつて定期の客車列車が存在していたことをほのめかすように増発列車には客車列車が投入されているあたり、注目ポイントです。

  お祭り、催事の概要

会　期	毎年８月１７日（雨天時は翌日１８日）
会　場	鬼ヶ城周辺の七里御浜海岸　（最寄駅：紀勢本線　熊野市駅）
お祭り、催事の概要	観光協会サイトによると、 三百余年の伝統を誇る、熊野大花火大会の起源は、お盆の初精霊供養に簡単な花火を打ち上げ、その花火の火の粉で灯籠焼を行ったのが始まりといわれています。 とのことでした。

熊野大花火大会 | KUMANO CITY VR

  臨時列車の運行概要

熊野大花火大会の臨時列車（１９８０〜９９年）

毎年同じ日程で開催されているようですが、雨天時には翌日開催というスケジュールでしたので、実際はどちらで運転されたのかははっきりしていない点、何卒ご了承ください。

’８０年代初期には、熊野市始発の天王寺行の臨時快速列車も存在していました。これも今回調査してはじめて存在を知ることができました。

’８０年中頃まで紀勢本線には旧型、１２系、５０系をはじめ客車による普通列車が運転されてきました。それをほのめかすように、今回取り上げた花火大会臨時列車にも客車列車が多数運用に入っていることポイントです。客車であることは時刻表内の列車番号情報から判明していますが、詳しい使用車両などは調査中です。なかなか出てこないでしょうね。。

９０年代中頃になると、利用客の利便性と急行券、特急券による増収を狙ってか、優等列車による増発対応が確認できます。なかには参宮線に乗り入れた伊勢市着の急行列車など見どころ満載です。

　　　は前後年との違いがある箇所

1980	普通　紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、新宮、天王寺※１ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　紀伊勝浦〜天王寺間快速運転、途中停車駅：串本、周参見、白浜、紀伊田辺、南部、御坊、湯浅、箕島、海南、和歌山
1981	普通　紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、新宮、天王寺※１ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　串本〜天王寺間快速運転、途中停車駅：周参見、白浜、紀伊田辺、南部、御坊、湯浅、箕島、海南、和歌山
1982	普通　紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、新宮、紀伊勝浦 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点　 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車
1983	普通　紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、新宮、紀伊勝浦 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車
1984	普通　紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、新宮、紀伊勝浦 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車
1985	普通　亀山、尾鷲、新宮、紀伊勝浦→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号新宮〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1986	普通　亀山、紀伊長島、尾鷲、新宮→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　熊野市をまたぐ便：松阪→新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1987	普通　亀山、新宮→熊野市 　　　　熊野市→九鬼、紀伊長島、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　熊野市をまたぐ便：松阪→新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1988	普通　亀山、新宮→熊野市 　　　　熊野市→九鬼、紀伊長島、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　熊野市をまたぐ便：松阪→新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1989	普通　亀山、紀伊長島、新宮→熊野市 　　　　熊野市→賀田、紀伊長島、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　熊野市をまたぐ便：松阪→新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀９号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1990	普通　亀山、九鬼、新宮、紀伊勝浦→熊野市 　　　　熊野市→賀田、紀伊長島、多気、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1991	普通　亀山、九鬼、新宮、紀伊勝浦→熊野市 　　　　熊野市→尾鷲、紀伊長島、多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮、紀伊勝浦※１ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車 ※１　この日のみ特急南紀７号熊野市〜紀伊勝浦間が普通列車となり、各駅停車として運転
1992	快速　※列車名なし　 　　　　　９１２７レ　亀山発１２：０５　→　熊野市着１７：１６ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲、九鬼、三木里、賀田、二木島、新鹿、波田須、大泊 　　　　使用編成　牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　普通　亀山、紀伊長島、尾鷲、新宮→熊野市 　　　　熊野市→賀田、尾鷲、亀山、新宮 　　　　熊野市をまたぐ便：亀山→新宮、新宮→伊勢市 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車
1993	普通　亀山、多気、尾鷲、新宮→熊野市 　　　　熊野市→九鬼、多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮（紀伊勝浦への接続あり） 　　　　熊野市をまたぐ便：新宮→多気 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車、客車列車
1994	急行　熊野市花火号　 　　　　　９１０１レ　亀山発１２：１６　→　熊野市着１５：２３ 　　　　９１０２レ　熊野市発２２：４７　→　亀山着１：４０ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲 　　　　使用編成　牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　普通　亀山、松阪、多気、尾鷲、新宮→熊野市、熊野市→九鬼、多気、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車
1995	特急　南紀９２号 　　　　９００２Ｄ　熊野市発２２：２７　→　名古屋着１：１６　 　　　　運転日：８月１７日（※始発駅起点） 　　　　停車駅：紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪、津、四日市、桑名 　　　　使用編成　キハ８５（ワイドビュー）と推察      　急行　熊野市花火号　（１〜４号） 　　　　　９１０１レ　１号　亀山発１２：１８　→　熊野市着１５：０２ 　　　　　９１０３レ　３号　亀山発１４：１７　→　熊野市着１７：１９ 　　　　　９１０２レ　２号　熊野市発２２：５０　→　亀山着１：３６ 　　　　　９１０４レ　４号　熊野市発２３：１５　→　亀山着２：００ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲 　　　　使用編成　牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　普通　亀山、多気、尾鷲、新宮→熊野市 　　　　　熊野市→九鬼、多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車　※後半にリンクしたYoutube動画からはキハ５８系など６連など（快速みえ号編成など）が判明できます
1996	特急　南紀９２、９４号 　　　　９０１２Ｄ　９２号　熊野市発２２：３１　→　亀山着０：４６ 　　　　９０１４Ｄ　９４号　熊野市発２３：０６　→　名古屋着１：５３ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪、津、四日市、桑名 　　　　使用編成　キハ８５（ワイドビュー）と推察、？連。     　急行　熊野市花火号　（１〜７号） 　　　　　９１０１Ｄ　１号　伊勢市発１２：０４　→　熊野市着１４：２３ 　　　　　９１０３レ　３号　亀山発　１２：０２　→　熊野市着１５：０２ 　　　　　９１０５Ｄ　５号　尾鷲発　１６：００　→　熊野市着１６：３１ 　　　　　９１０７Ｄ　７号　紀伊長島発１８：３２→　熊野市着１９：２５ 　　　　　９１０２Ｄ　２号　熊野市発２２：１０　→　紀伊長島着２３：０２ 　　　　　９１０４レ　４号　熊野市発２３：２３　→　亀山着２：１３ 　　　　　９１０６Ｄ　６号　熊野市発　０：２５　→　伊勢市着２：２０ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲（４号は通過） 　　　　使用編成　客車：牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　　　　　　　　　ディーゼル列車　情報なし、キハ８０系も運用に入った？ 　普通　亀山、多気、船津、新鹿、新宮→熊野市 　　　　　熊野市→多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車　情報なし
1997	特急　南紀９２、９４号 　　　　９０１２Ｄ　９２号　熊野市発２２：３３　→　亀山着０：４８ 　　　　９０１４Ｄ　９４号　熊野市発２３：１１　→　名古屋着１：５８ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪、津、四日市、桑名 　　　　使用編成　キハ８５（ワイドビュー）と推察、？連。     　急行　熊野市花火号　（１〜８号） 　　　　　９１０１Ｄ　１号　伊勢市発１２：０４　→　熊野市着１４：２３ 　　　　　９１０３レ　３号　亀山発　１１：２９　→　熊野市着１５：０２ 　　　　　９１０５レ　５号　亀山発　１２：３９　→　熊野市着１６：３７ 　　　　　９１０７Ｄ　７号　尾鷲発　１８：５２　→　熊野市着１９：２５ 　　　　　９１０２Ｄ　２号　熊野市発２２：１１　→　紀伊長島着２３：０４ 　　　　　９１０４レ　４号　熊野市発２３：２８　→　亀山着　２：１９ 　　　　　９１０６Ｄ　６号　熊野市発　０：３５　→　伊勢市着２：２９ 　　　　　９１０８レ　８号　熊野市発　０：４６　→　亀山着　３：３６ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲（４号は通過） 　　　　使用編成　客車：牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　　　　　　　　　ディーゼル列車　情報なし 　普通　亀山、多気、九鬼、新鹿、新宮→熊野市 　　　　　熊野市→多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車　情報なし
1998	特急　南紀９２、９４号 　　　　９０１２Ｄ　９２号　熊野市発２２：３３　→　亀山着０：４８ 　　　　９０１４Ｄ　９４号　熊野市発２３：１７　→　名古屋着２：０５ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪、津、四日市、桑名 　　　　使用編成　キハ８５（ワイドビュー）と推察、？連。     　急行　熊野市花火号　（１〜８号、７号は欠番） 　　　　　９１０１Ｄ　１号　伊勢市発１２：０４　→　熊野市着１４：２３ 　　　　　９１０３レ　３号　亀山発　１１：２９　→　熊野市着１５：０２ 　　　　　９１０５レ　５号　亀山発　１２：３９　→　熊野市着１６：３７ 　　　　　９１０２Ｄ　２号　熊野市発２２：１１　→　紀伊長島着２３：０４ 　　　　　９１０４レ　４号　熊野市発２３：４７　→　亀山着　２：３９ 　　　　　９１０６Ｄ　６号　熊野市発　０：３５　→　伊勢市着２：３４ 　　　　　９１０８レ　８号　熊野市発　０：４３　→　亀山着　３：３８ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲 　　　　使用編成　客車：牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　　　　　　　　　ディーゼル列車　情報なし 　普通　亀山、尾鷲（直通のみ）、賀田、新鹿、新宮→熊野市 　　　　　熊野市→多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車　情報なし
1999	特急　南紀９２、９４号 　　　　９０１２Ｄ　９２号　熊野市発２２：３８　→　亀山着０：５４ 　　　　９０１４Ｄ　９４号　熊野市発２３：２１　→　名古屋着２：０９ 　　　　運転日：８月１７日　※始発駅起点 　　　　停車駅：紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪、津、四日市、桑名 　　　　使用編成　キハ８５（ワイドビュー）と推察、？連。     　急行　熊野市花火号　（１〜８号、７号は欠番） 　　　　　９１０１Ｄ　１号　伊勢市発１２：０４　→　熊野市着１４：２３ 　　　　　９１０３レ　３号　亀山発　１１：２９　→　熊野市着１５：０２ 　　　　　９１０５レ　５号　亀山発　１２：３９　→　熊野市着１６：３７ 　　　　　９１０２Ｄ　２号　熊野市発２２：１６　→　紀伊長島着２３：１３ 　　　　　９１０４レ　４号　熊野市発２３：５０　→　亀山着　２：４３　 　　　　　９１０６Ｄ　６号　熊野市発　０：３９　→　伊勢市着２：３８ 　　　　　９１０８レ　８号　熊野市発　０：４７　→　亀山着　３：４２ 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　停車駅：津、松阪、多気、三瀬谷、紀伊長島、尾鷲 　　　　使用編成　客車：牽引機：DD51、客車１２系客車（？連）と推察 　　　　　　　　　ディーゼル列車　情報なし 　普通　亀山、尾鷲（直通のみ）、賀田、新鹿、新宮→熊野市 　　　　　熊野市→多気（伊勢市への接続あり）、亀山、新宮 　　　　運転日：８月１７日、１８日（＝１７日深夜）　※始発駅起点 　　　　使用列車：ディーゼル列車　情報なし

※１９７９年以前、ならびに２０００年以降の調査は行っておりません。

こちら旅一郎さんのYoutubeチャンネルより。１９９５年のもののようで、画像内テロップからだと、亀山行の普通列車の様子です。

  当時の時刻表紙面での臨時列車

１９９６年８月時刻表の付録ページより。大型時刻表丸々１頁を使ってたった１日の臨時列車を掲載していました。どれだけのインパクトのあったイベントだったのか推して知るべしです。見ていても飽きない列車種別とその始発・終着のバラエティーさ。片道のみながら、熊野市発亀山行きの特急列車はとてもレアですね。

JTB時刻表　1996年8月号より

こちらは１９９２年８月号付録ページより。この当時は特急、急行の設定は一切ない時期ですが、試験的なのか、快速列車を片道１本のみ設定されています。列車番号から９１２７レなので客車列車ですね。どんな車両が運用に入ったかは大変興味がありますが、DD51牽引であることはほぼ間違いはなさそうですが、客車は定かではなく、推察ながら１２系一般色（青）か、１４系ユーロライナー増結編成（俗にユーロピアと呼ぶ）が運用にはいったのかもしれません。

JTB時刻表　1992年8月号より

本日は以上です。

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参考資料　１９８０年〜１９９９年の交通公社時刻表、JTB時刻表、JR時刻表

参考ページ：熊野市観光協会サイト