新たなテーマで2022年前半のブログをつないでいこうと考えています。

 

かねてより構想はあったのですが、手つかずだった「日本の博覧会関連の臨時列車」を取り上げます。

 

今回の注目ポイントとしては、

・博覧会会場が埋立地や大都市郊外となったケースが大半でしたので、どの駅が「会場最寄り駅」として設定され、臨時ダイヤが組まれたのか。

・どのような車両が投入されたのか

を、時刻表紙面から追える情報で構成していきます。

 

第2回目は、奈良県で1988年に開催された、なら・シルクロード博覧会での臨時列車を取り上げます。この博覧会での臨時列車ですが、臨時列車自体よりもその運行ルートで話題になったのが特徴ではないでしょうか。

 

 

  博覧会の概要

なら・シルクロード博覧会については、Wikipediaにて詳細がまとまっています。

 

会  期 1988年4月23日 〜 10月23日
来場実績 682万人 ※公式記録より
会場住所 奈良公園・平城京跡
最寄り駅

登大路会場、春日野会場、飛火野会場 JR・近鉄奈良駅

平城京跡会場 オフィシャルでは奈良駅でまとまっていますが、近鉄大和西大寺駅が最寄りなのかしらと思います。

 

最寄り駅奈良駅ですが、JRだけでなく関西の私鉄の雄、近鉄が乗り入れています。当時の近鉄ダイヤを入手できませんでしたので、今回はJR線の臨時列車に絞って取り上げます。
 
JRの設定した臨時列車は、関西本線、桜井線を中心に設定され、特に新大阪からの新幹線乗り継ぎ客のアクセスを意識した快速列車は、定期列車のダイヤを大幅に修正して設定された「渾身のダイヤ(ブログ筆者による命名w)」でした。
 

 

  臨時列車の運転概要

なら・シルクロード博臨時列車 ※大和路線(関西本線)

運転区間

新大阪〜奈良・加茂 

新大阪→奈良(平日13本、休日18本)、奈良→新大阪(平日13本、休日16本)

新大阪→加茂(平日5本、休日5本)、加茂→新大阪(平日5本、休日7本)  ※本数は1988年7月号より

運転時期 会期中毎日
使用車両 関西本線(大和路線)快速列車と共通運用
→当時は113系新快速電車も活躍していた時代でした。ネット上の記録を見る限り103系電車も運用にはいっていたようですね。

 

この列車は、湊町発の定期列車をもとに仕立てたため、会期中は当該定期列車の湊町〜新今宮間は運休となりました。また、新大阪〜西九条間は、これまで運転実績がなかった梅田貨物線経由となるルートを取るわけですが、当時のJR西日本がすすめていた梅田貨物線の旅客列車利用の計画の一環だったようで、この博覧会臨が「露払い」となり、1988年7月からくろしお号の京都・新大阪乗り入れが実現しています。

 

 

なら・シルクロード博号  

運転区間

京都〜奈良(奈良線)、奈良〜天理・桜井(桜井線)

京都→奈良(14本)、奈良→京都(13本)

奈良〜天理(上下9本) ※うち1往復は京都直通

奈良〜(天理)〜桜井(上下7本) ※桜井行き1本は京都始発

  ※本数は1988年4月号より

運転時期

奈良線 4月24日〜5月29日までと、7月24日〜8月28日の休日

桜井線 会期中の休日とそのほかの追加運転日

使用車両 他の列車と共通運用

 

 

直行ならシルクロード博号  

運転区間 御坊(ごぼう)〜奈良 ※旧阪和貨物線経由
運転時期 期間中毎日
使用車両 ネット上で上がっている写真ですと165系3両編成が充当されていたようです。
運行ダイヤ

9321K(和歌山以南は9370M) 御坊発7:13→奈良着10:04

9321M(和歌山以北は9226K) 奈良発16:46→御坊着19:41(休日は御坊着19:23)

途中停車駅(御坊起点) 湯浅、箕島、海南、和歌山、六十谷(むそた)、紀伊、和泉砂川、熊取、東岸和田、和泉府中、鳳、堺市

 

今となれば貴重な「阪和貨物線」または杉本町短絡線経由の旅客列車です。この貨物線は2009年に廃止されましたので、二度と見れないルートの臨時列車となりました。1988年当時はこの阪和貨物線よりも、初めて梅田貨物線経由の旅客列車に話題が集中していたのですが、こちらも記憶に残しておきたいですね。

 

 

快速 シルクロード博号  

運転区間 名古屋〜奈良 ※関西本線経由
運転時期 4月〜6月の休日を中心に運転
使用車両  調査中
運行ダイヤ

9221D 名古屋発8:47 → 奈良着11:50

9222D 奈良発17:08 → 名古屋着20:52

途中停車駅(名古屋起点) 桑名、四日市、亀山、柘植、伊賀上野

 

ゆき帰りともに、急行かすが号出発後に設定されたこの列車、7月以降の時刻表で設定が確認できなかったところから、急行かすが号で吸収できる程度の乗車率だったのかな?と推察します。急行よりも40分程度所要時間がかかる上に、ライバルの近鉄線との競争は、「乗換なし」というJR側のメリットを持ってしても、高頻度運転には太刀打ちできなかったのではないか。そもそも中京エリアでのシルクロード博への期待度が高くなかったことが要因な気がします(JR東海の関心度という言い方もできますw)。

 

 

  実際の紙面から

下記は梅田貨物線経由で運転された快速列車のダイヤです。新大阪〜西九条は貨物線、西九条〜新今宮が大阪環状線、新今宮〜加茂が関西本線(大和路線)というユニークなルートで、同時にJR西日本が社運をかけたダイヤだったと考えます。

交通公社の時刻表 1988年 7月号 より

 

 

下記は、阪和線から紀勢本線上りページですが、直行ならシルクロード博については今の時刻表では見ることができない「阪和貨物線」経由の旅客列車のダイヤ。かつては特急あすか号が2年あまりの短い時期でしたが阪和貨物線経由の特急があったことを思い出します。

 

交通公社の時刻表 1988年 7月号 より

 

 

こちらは関西本線(名古屋口)のシルクロード博号。快速列車ですが、停車駅は同線を走る急行かすが号と同じと俊足ぶりをアピールしましたが、ダイヤ制約からか、所要時間は急行よりも40分ほどかかっていました。

交通公社の時刻表 1988年 7月号 より

 

 

本日は以上です。

 

まとめページはこちらから

 

 

参考資料:交通公社の時刻表1988年7月号、鉄道ダイヤ情報1988年7月号(No.51)

参考ページ 博覧会、なら・シルクロード博覧会(ともにWikipedia)