関西の鉄道ファンには有名なのでしょうか?短命ながら、なかなかインパクトのある特徴をもった特急あすか号についてまとめてみました。

 

今回は手元にある交通公社の時刻表1966年(昭和41年)4月号を元にまとめております。このあすか号の運転に関する略歴ですが、

1965年 3月 運転開始

1967年10月 廃止 

と約2年半の短命特急でした。

 

 

 待望の関西本線を走る特急として誕生

あすか号は1965年3月1日に実施されたダイヤ改正から運転開始。同じタイミングで、現在も紀勢本線の雄として活躍しているくろしお号が運転開始します。

 
同タイミングで登場したのですが、主従関係でいえば、くろしお号の間合い運用の形であすか号が運転されていた、といえます。同じ特急であるくろしお号、あすか号はともに名古屋を目指すのですが、くろしお号が天王寺発で紀勢本線経由のところ、あすか号は関西本線経由で結びました。運転距離で単純に比較すればあすか号に便利さを感じてしまいます。
 

あすか号の運用、編成について。前述のとおりくろしお号の間合いということで、キハ80系7両編成がついており、運転開始当初は食堂車連結されていたのですが、翌年1966年春には食堂車営業を休止しています。間合い編成なので、本来なら不要な食堂車ですが「とりあえず営業してみようか」という様子見だったのかもしれません。

1966年4月時刻表内の編成表より引用

 

 

 貨物線を経由するのがミソ

特急あすか号が東和歌山駅から関西本線に渡るために、杉本町〜八尾を結ぶ「阪和貨物線」を経由しました。この時刻表、索引地図にもかかわらず、索引対象ではない貨物線も律儀に描かれています。
 

運転経路を整理すると、

東和歌山〜(阪和線)〜杉本町〜(阪和貨物線)〜八尾〜(関西本線)〜名古屋

でした。

交通公社の時刻表 1966年4月時刻表索引地図より

 

ちなみにこの列車名の元になった明日香(飛鳥)は関西本線の法隆寺周辺の地域を指しています。

 

 

 特急あすか号の運転ダイヤ

4D 東和歌山発 7:00  → 名古屋 着10:55

3D 名古屋 発18:40  → 東和歌山着22:37

途中停車駅(東和歌山起点):堺市、王寺、奈良、伊賀上野、亀山、四日市

 

下記は当時の時刻表紙面より。あすか号の注釈には、「この列車は阪和線杉本町から関西本線八尾へ抜けるため天王寺は経由しません」と明記されています。

大阪に用事のある方による「誤乗」が想定されたのでしょうか。気持ちはわかりますw

交通公社の時刻表 1969年10月号より

 

 

 利用率低迷がつづいた結果・・・

阪和エリアから中京地区に出張、観光には、名古屋での滞在時間を最大に使えるダイヤだったんですが、そもそもこのダイヤでは顧客のニーズは低かったんでしょう。大阪の中心地を通過していたことも大きかったと思われます。

 

なお、当時同じ関西本線を走破していた急行かすが号ですが、

  • 湊町(現JR難波駅)、天王寺〜名古屋と、名阪をダイレクトに結んでいた
  • 特急よりも料金が安い
  • 利用しやすい時間帯の設定になっていた

上記が揃ったことが急行かすが号に利用客が流れ、その結果あすか号の利用率低迷に至ったと見るのが自然でしょうか。その結果、1967年10月ダイヤ改正では運転取りやめに。その後あすか号のスジを利用した優等列車は確認できませんでした。

 

本日は以上です。

 

参考資料:交通公社の時刻表 1966年4月号、1969年10月号

参考サイト https://www.tetsudo.com/kakenuke/113/ 、https://ja.wikipedia.org/wiki/かすが_(列車)