Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。

 

19回目は、西ドイツ国内TEE列車、フリードリヒ・シラー号(Friedrich Schiller)号です。1972〜73年冬ダイヤでインターシティー列車として登場したあと、1979年にTEE化され、その後一旦廃止されつつも、1985年に再度インターシティー列車として復活しているという、TEEとしては短命だったものの、ドイツ国内ではそれなりの知名度があったと思われる列車でした。

 

列車名の由来は?

18世紀後半に活躍した、ドイツの詩人、歴史学者、劇作家、思想家です。文豪ゲーテと並ぶドイツ古典主義の代表者とのことです。

 

運行されていた国 西ドイツ

 

運転時期と区間

 

1972年冬ダイヤから、西ドイツのインターシティーとして運転開始

 

1979年5月27日〜? 

※1980、81年は夏期間中は運休だったことは文献に明記されているが、下記ルートでの最終運転日まで特定できず。

ドルトムント − エッセン − ケルン − シュトゥットガルト

 

1981年9月27日〜1982年5月19日

ドルトムント − ゲルゼンキルヒェン − エッセン − ケルン − シュトゥットガルト

 

 

使用された車両、編成

客車

【西ドイツ】

ラインゴルト型客車

 編成両数運転開始当初は6両編成(コンパートメント車4両、オープン座席車1両、 1等車と食堂車の合造車1両、食堂車運営会社はDSG)でしたが、その後、コンパートメント車が、1979〜80年と、80〜81年の各ダイヤ改正で1両づつ減車されたため、末期には4両編成での運行でした。

 写真はインターシティー時代のフリードリヒ・シラー号ですが、雰囲気が伝わりますか?

 

 

牽引機

【西ドイツ】

103型交流電気機関車

 

 

実際の時刻表紙面

1980年秋ダイヤ
インターシティ時代からビジネス客向けに人気のあったこのフリードヒリ・シラー号は、他のゲーテ号アルベルト・シュバイツァー号ハインリッヒ・ハイネ号とあわせて、ルール地方からライン川沿い都市間を結ぶTEE列車の一つとして設定されました。
 
これらのTEE列車は月〜金のみ運転(=週末運休)というダイヤが特徴でしたが、今回紹介しているフリードリヒ・シラー号のみ、1980年からは週末のみ運休から、夏のバカンスシーズン、クリスマス、年始も運休とその幅が拡大され、よりビジネス客の利用に的を絞ったダイヤが敷かれていたようです。
17列車 ドルトムント発14:33 →シュトットガルト着19:30
16列車 シュトットガルト発6:20 →ドルトムント着11:21
 
最後に、フリードリヒ・シラー号は同時期に運転されていたハインリッヒ・ハイネ号と共通の車両運用だったことも付記しておきます(TEE 16 - TEE 29 - TEE 28 - TEE 17)。
ThomasCook International Timetable September 1980 より
 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・ThomasCook Continental Timetable May 1975、ThomasCook International Timetable September 1980

・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年

Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009

参考サイト:TEE、インターシティー(ドイツ)、フリードリヒ・フォン・シラー(ともにWikipedia)、welt-der-modelleisenbahn.com

ページ内写真:Flickr の各リンク

カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by  , Public domain, via Wikimedia Commons