Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
18回目は、ゲーテ号(Goethe)号です。
列車名の由来は?
なにかしら聞いたことがあるドイツ人の名前ではないでしょうか。18世紀に活躍したドイツの文豪であり、科学者、政治家など多方面で名を残した方にちなんだ列車名となりました。彼の出生地がフランクフルトであることは、初代、二代目ともにフランクフルトを含んだ経路になったことと深い関係があったようですね。
運行されていた国 フランス(初代)、西ドイツ(初代、2代目)
運転時期と区間
【初代】
1970年5月31日〜1975年5月31日
パリ東駅 − メス(またはメッス、メッツ) − ザールブリュッケン − フランクフルト
その後、D-zugに格下げ
【2代目】
1979年5月27日〜
ドルトムント − エッセン − ケルン − フランクフルト
※1980年夏ダイヤまでの一時期、金曜日限定でニュルンベルクまで運転されていたとのこと
1982年9月26日〜1983年5月27日
デュッセルドルフ − ケルン − フランクフルト
その後、インターシティーに格下げ
使用された車両、編成
客車
【初代】
【フランス】
ミストラル56型客車
初代は、ミストラル56型から改装された客車で運転されていた模様。電源車・食堂車も連結した6〜7両編成が中心でした。食堂車はCIWLT(国際寝台車会社、ワゴン・リ社)による運営。下記写真は模型ながらイノックスワゴン(Inox-wagon)、電源車(真っ赤のやつ)、BB-16000と当時の雰囲気がビンビンに伝わる写真です。
【2代目】
【西ドイツ】
ラインゴルト型客車
編成数は食堂車、ミニバー含んで4〜7両。食堂車・バーの運営はDSGでした。写真は、遠巻きながら当時のゲーテ号の写真のようです。
なお、参考文献からのレア情報ですが、1981年2月13日と16日のわずか2日間に限り、このゲーテ号に403型電車列車が使用されたようです。これは後のルフトハンザエアポート・エクスプレスの試運転を兼ねたものなのか詳細は不明です。
牽引機
【初代】
【フランス】
BB-16000型交流電気機関車 ほか
1970年と1971年はBB-16000型でしたが、1972年にBB-15000型が牽引機として活躍。写真はBB−15000型。牽引区間はパリ〜メス間だったようです。
【西ドイツ】
181型複圧交流電気機関車
フランス・メスからフランクフルトの間はドイツ国鉄181型機関車。フランスとドイツは、同じ交流ながら異なる電圧になっており、越境時のシームレスな運行のために複圧対応の機関車が投入されています。
181型は、調べてみると先行型(E 310)と、その後の量産型で分かれるようで、現在でもほそぼそ活躍するのは量産型のようです。そして、先行型が運用に入る数少ない列車のひとつがTEEゲーテ号だったようです。写真は現在コブレンツの博物館で展示されている先行型E310 001号機。
【2代目】
【西ドイツ】
103型交流電気機関車
実際の時刻表紙面
今回は以上です。
すでに取り上げたTEE列車の一覧ページです。こちらもご参考ください!
参考資料:
・ThomasCook Continental Timetable May 1975、ThomasCook International Timetable September 1980
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
参考サイト:TEE、インターシティー(ドイツ)、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(ともにWikipedia)、welt-der-modelleisenbahn.com
ページ内写真:Flickr の各リンク
カバー画像:Deutsche Bahn AG, converted by , Public domain, via Wikimedia Commons