Trans Europ Express(TEE)を、当時のトーマス・クック鉄道時刻表の紙面から振り返る企画です。
60回目は、このTEEシリーズの「大トリ」となるのは、西ドイツのルフトハンザ・エアポートエクスプレスです。この列車をTEEのひとつとして扱うことにしたのは、参考にした書籍の影響であります。1等車のみで構成された電車としてとても有名な列車ではありますので、このシリーズの最後、60本目は「高度ゼロのフライト(当時のルフトハンザ航空の宣伝コピー)」を実現した西ドイツ国鉄の特急電車をご紹介します。
列車名の由来は?
運行されていた国 西ドイツ
運転時期と区間
※LAE試運転として、1981年2月13日と16日の2日のみ、TEEゲーテ号として5両編成で運転された実績あり
【デュッセルドルフ線】
1982年3月28日 〜 1983年3月31日
デュッセルドルフ中央駅 − フランクフルト空港
1983年4月1日 〜 1993年5月22日
デュッセルドルフ空港 − デュッセルドルフ中央駅 − フランクフルト空港
デュッセルドルフ線の運行は打ち切り
【シュトゥットガルト線】
1990年夏ダイヤ 〜 1993年5月22日
フランクフルト空港 − シュトゥットガルト中央駅
※なお、1等車のみ編成は1991年6月1日までと推察されます。
シュトゥットガルト線の運行は打ち切り
使用された車両、編成
403形電車 ※デュッセルドルフ線
詳しい車両仕様はWikipediaページも御覧ください。
ちなみにLAE専用の403形電車ですが、1編成4連を1ユニットとして、1日の運用には基本2本が入り、予備として1編成が存在する、合計3本のローテーション運用でした。しかし多客時には、中間車の増結をおこなって5連での運行もあったようで、3本がフル稼働することも珍しくなかったようです。
機関車 103形、111形交流電気機関車 ※シュトゥットガルト線
運転開始当初は111形が担当しますが、その後1991年6月のマンハイム−シュトゥットガルト間の高速新線開業にともない、在来線から高速新線経由となるLAEの牽引機が高速化対応の103形機関車にバトンタッチした経緯があります。
客車 ※シュトゥットガルト線
ともにこちらのページを参考にさせていただきました。
運転開始当初の編成はAvmz 206形のコンパートメントカーのみの3連だったようですが、1年後にはBpmz 296形の2等座席車が加わり、1等車(Avmz 106形)1両、2等車2両の3連を基本編成とし、多客時4連で運行されたようです。
実際の時刻表紙面
デュッセルドルフ線の運行開始当時の詳しいダイヤ情報については、過去のブログでも取り上げています。
1990年夏ダイヤ
下記はデュッセルドルフ線とシュトゥットガルト線の両方が掲載された珍しい紙面です。シュトゥットガルト線では在来線経由のため所要時間2時間を要していた時代です。
ThomasCook European Timetable 1990 September 1-29 より
1992年夏ダイヤ
前項同様に2路線同時掲載の紙面ですが、シュトゥットガルト線が高速新線経由となったことで、本数も従来の2倍の4本、かつ所要時間を1時間30分程度に短縮されています。
ThomasCook European Timetable 1992夏 日本語解説版 より
↓私が参考にしたドイツ語書籍。貴重な写真が多数。資料価値高いです。
参考資料:
・Cook Continental Timetable、Thomascook International Timetable
・Das Grosse TEE-Buch 40 Jahre Trans-Europ-Express /Jörg Hajt/HEEL 1997年
・Die Geschhichte Des Trans Europe Express /Maurice Mertens、Jean-Pierre Malaspina 2009
参考サイト:TEE、ルフトハンザエアポートエクスプレス(ともにWikipedia)
ページ内写真:Flickr の各リンク