2020年暮れから個人的キャンペーンとして、私の時刻表コレクションを元にスキー列車の歴史を、実物の時刻表とあわせて、紐解いています。


現在【5】全国各地のスキー列車についてまとめております。

今回は、その第7章として、鳥取県の大山(だいせん)の麓にあるスキー場にむけて運行されていたスキー列車で、特に「伯備線(経由)」のスキー列車の歴史を紐解いてみたいと思います。

 

比較的歴史は新しいのですが、思ったよりも多数の列車名が存在しています。

 


■伯備線とその沿線のスキー場は?

今回取り上げるスキー列車ですが、
・伯備線を経由して、鳥取県大山にあるスキー場を目指す列車
・伯備線沿線にあるスキー場へのアクセス列車
となります。
 
鳥取の大山スキー場は、伯備線終点の伯耆大山駅の東にあります。電車でのアクセスだと、米子駅から大山スキー場のそばにある「大山寺(だいせんじ)」まで路線バスが運行されています。かつては、シュプール号からのアクセスバスも運行されていました。

 

伯備線沿線のスキー場ですが、現在存在しているのはこちらかな?岡山県新見市にあるスキー場。新見駅、根雨駅からの送迎があるとのことです。

 

 

なお、現在は存在しませんが、このあとの列車名で登場する「花見山スキー場」はこちら。いぶきの里のご近所にあったようですね。ここは住所上では鳥取県日南町に存在していたようです。

ちなみにこのスキー場は2020年3月末で閉鎖されています。

 

 


■伯備線にあったスキー列車名

以下、手元の時刻表(1966年以降)を元にまとめた、それぞれの列車名のプロファイルです。
伯備線のスキー列車の歴史は比較的新しいようで、1974年以降で断続的に運行されていたようです。
ここでは時系列で運行された列車名を並べております。
 

 

やえがき銀嶺号

【運転されたシーズン】1974年のみ
【列車種別】急行、快速(米子発の米子〜岡山間)
【運転区間】下関〜米子 間
【使用列車、編成】客車列車(座席車、B寝台車)
【特徴など】私が確認する限り、この年の1月と2月に上り下り各1日のみの運転だった、かなりレアな「銀嶺」シリーズのスキー列車です。
ダイヤですが、伯備線内は、下関発は無停車、米子発は生山までの主要な駅に停車。
交通公社の時刻表 1974年1月号より
 
 

ジャンプ大山号

【運転されたシーズン】1975年〜1978年
【列車種別】快速、急行(急行は1975年の米子発のみ)
【運転区間】糸崎〜米子間(1975年のみ)、岡山→米子間など
【使用列車、編成】客車列車(座席車のみ)
【特徴など】岡山発米子行の「片道」スキー列車でしたが、
運転初年の1975年に限っては往復での設定がありました。
行きの糸崎→米子間は快速運転、帰りは、運転日によって急行で米子→岡山止まりと、岡山以降糸崎までは快速という変速的なダイヤが組まれていたこともあります。
交通公社の時刻表 1975年1月号より
 
 

伯耆(ほうき)銀嶺号

【運転されたシーズン】1976年〜1978年
【列車種別】急行
【運転区間】米子 → 岡山 
【使用列車、編成】客車列車(座席車のみ)
【特徴など】前述のジャンプ大山号が岡山発と対(つい)となるスキー列車として、米子発岡山行きのスキー列車として3シーズン運転されています。
交通公社の時刻表 1976年1月号より
 
 

DAISENスキートレイン号

【運転されたシーズン】1987年のみ
【列車種別】快速
【運転区間】下関→米子、米子→広島
【使用列車、編成】客車(座席車のみ)
【特徴など】かつての「やえがき銀嶺号」を彷彿とさせるダイヤで運転されています。指定席ではないものの、乗車整理券が必要な「定員制」で運転されていたようです。
 
紙面に移ります。推察ですが、下関発は倉敷駅から伯備線に入らず、岡山駅経由していますね。運転停車でしょうか?
 
米子発広島行ですが、紙面から倉敷〜岡山間から「⇓」がないので、岡山未経由で広島に向かっているようですね。
 
上記の「岡山未経由」の件ですが、山陽本線下り紙面でも岡山〜倉敷間は「‖」(非経由)となっています。
3点とも、交通公社の時刻表 1987年2月号より
 
 

花見山スキー号

【運転されたシーズン】1988年〜1991年
【列車種別】普通
【運転区間】新見〜上石見(かみいわみ)間(定期列車の延長運転)
【使用列車、編成】115系と推察
【特徴など】これまで見てきた伯備線のスキー列車は、大山スキー場を目的地としたダイヤ設定が中心でしたが、民営化をうけた流れで、定期列車の延伸運転という形で伯備線内完結のスキー列車が登場。しかも運転日も従来より大幅に増えています。
上石見行は、岡山発943Mが新見から9943Mに変更され、岡山行は上石見から新見まで9948M、新見以南は定期948Mで岡山へ向かうというダイヤ。往復とも新見〜上石見間はノンストップです。
 
2点とも、JR時刻表 1987年12月号より
 
 

大山スキーゆめじ号

【運転されたシーズン】1989年のみ
【列車種別】快速
【運転区間】高松〜米子間
【使用列車、編成】電車、全席グリーン車指定席。展望車。
あくまでも推察なのですが、全車グリーン車指定席展望席という注釈と、名称に「ゆめじ」が入っていることで、おそらくスーパーサルーン「ゆめじ」が運用に入ったのではないかと。。情報お持ちの方がおりましたらご連絡お願いいたします!

JR EC Msc211-1

永尾信幸, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

 

時刻表紙面を見てみます。
列車名で「大山スキー」と銘打っているますが、伯備線沿線のスキー場利用客へ配慮した停車駅とダイヤで運転されていたようです。珍しい紙面なので、運転全区間のダイヤがわかるように3枚の写真で紹介します。私が全国のスキー列車を追っていますが、四国発着のスキー列車は、後にも先にもこの「大山スキーゆめじ号」だけではないでしょうか。

3点とも、JTB時刻表 1989年1月号より

 
 

スキーライナー大山号

【運転されたシーズン】1991年〜1993年
【列車種別】快速
【運転区間】岡山〜米子間
【使用列車、編成】電車、使用車両・編成は引き続き調査中。
【特徴など】岡山を早朝に出発、帰りは米子発19:05という時刻設定と、往復とも同じ運転日での設定であることから「大山スキー場の日帰りスキー客」向けだとわかります。とはいえ、伯備線内のスキー場最寄り駅である新見駅、上石見駅にも停車しています。
JTB時刻表 1990年 12月号より
 
 

新郷(にいざと)スキー号

【運転されたシーズン】1997年、1998年のみ
【列車種別】快速
【運転区間】岡山〜新郷間
【使用列車、編成】電車、使用車両・編成は引き続き調査中。
【特徴など】前述のスキーライナー大山号のスジを受け継いでいるような列車。とはいえ、米子までは足を延ばすことなく、スキー場の最寄り駅であろう「新郷(にいざと)」までの運転。
JTB時刻表 1998年 1月号より
 
1970年代から1990年代まで時代を下ってきましたが、伯備線内に設定されたスキー列車の系譜の最後は、この「新郷スキー号」ではないかと思います。とはいえ、私のコレクションで追えるもので構成していますので、一部抜け漏れございましたら、ぜひご指摘ください。
 
これまでまとめ分は下記リンクからご覧になれます。
 
今回は以上となります。

 

参考資料:1966年〜 の交通公社の時刻表、JTB時刻表 

参考サイト:国鉄211系電車(Wikipedia)

サイト内画像:ゆめじ号:永尾信幸, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons