2020年暮れから個人的キャンペーンとして、私の時刻表コレクションを元にスキー列車の歴史を、実物の時刻表とあわせて、紐解いています。


現在【5】全国各地のスキー列車についてまとめております。

今回は、その第4章として、山形県・蔵王エリアに向けて運行されてスキー列車を取り上げます。

なお、蔵王エリアにはシュプール号黎明期から「シュプール蔵王号」が設定されていますが、すでに別ブログで取り上げておりますので対象外としています。

 

 

 


■そもそも蔵王とは?

山形蔵王温泉スキー場について、Wikipediaには下記の通りの情報が記載されていました。

 

山形蔵王温泉スキー場(やまがたざおうおんせんスキーじょう)は、山形県山形市蔵王温泉に位置するスキー場。蔵王温泉の温泉街と共に発展してきた。単独のスキー場としては日本で最大の面積を誇り、変化に富むコースが数多くあり、日本スキーのメッカである。安比高原と共に東北を代表するスキー場でもある。1925年(大正14年)開場(ただし、最初のリフト架設は1951年)。

 

■過去運行されたスキー列車名

下記表は、1966年から1987年までの奥羽本線のスキー列車の変遷を簡単に一覧にしたもの。列車の各時代の数字は本数(号数)。列車名の変遷とともに、本数や様態からスキー列車のピーク期や時代がもとめるニーズも見えてくるようです。この一覧でもでてくる各列車の特徴などを紹介していきます。

※上記表の補足:ブログ筆者の持っている最古の資料が1966年。1987年は、ざおう銀嶺号運転の最終シーズン

 

奥羽スキー号

【運転されたシーズン】運転開始調査中〜1966年か1967年(調査中)
【列車種別】準急
【運転区間】上野〜山形 
【使用列車、編成】ディーゼル列車
【特徴など】時刻表紙面に記載されている通り、他の銀嶺シリーズとは異なり、交通公社が販売するクーポンとセットで座席を販売した列車だったようです。今回の奥羽スキーについて下り3/6,7,8は一般客向けにもチケットが回ってきたようです。
交通公社の時刻表 1966年2月号より
 
 

奥羽雪国号

【運転されたシーズン】1968年(1967年不明)のみ
【列車種別】急行
【運転区間】上野〜山形 
【使用列車、編成】ディーゼル列車
【特徴など】私が確認する限り1シーズン?で消えていると思われる「雪国シリーズ」のスキー列車。この列車の存在で「座席お約束票」の存在を知った列車です。指定席予約システムが十分でない時期に考えられた仕組みなのですね。ちなみにこの「座席お約束票」はこの列車名が消滅し、「ざおう銀嶺号」に引き継がれた1969年シーズンでも確認されたものの、1970年シーズン以降は、少なくとも時刻表紙面には登場していません。
交通公社の時刻表 1968年3月号より
 
 

ざおう銀嶺号

【運転されたシーズン】1968年(1967年不明)〜1987年
【列車種別】急行
【運転区間】上野〜山形 
【使用列車、編成】客車列車、ディーゼル列車
【特徴など】
・シュプール号含めて比較したとき、最も長い期間で設定された列車名です。1970年代中頃までは上り下りとも夜行設定(客車列車)が存在しており、1968年〜1973年の6シーズンでは座席車に加え、2等寝台(1970年シーズン以降はB寝台)も連結されていました。
・年度によっては兄弟列車「ばんだい銀嶺号」(会津若松発着)と上野〜郡山間で併結運転していたこともあります。
・1977年シーズンから上り(山形発)は、首都圏日着列車のみとなるなど、時代の流れにあわせてなのか、ゆるやかながら、少しずつ確実に列車に帯びる性格が変わっていきました。
 

ざおうスキー号

【運転されたシーズン】1972年〜1976年(1974年のみ実績なし)
【列車種別】急行
【運転区間】上野〜山形 
【使用列車、編成】客車列車
【特徴など】
・スキー列車のピーク期の銀嶺号補完列車として設定されていました。1974年は「ざおうスキー号」の名義での時刻表紙面には登場していませんが、ざおうスキーのスジには「ざおう銀嶺」の名前で運転されていました。なぜこんなことがおきたのかは謎です。
・年度によっては兄弟列車「ばんだいスキー号」(会津若松発着)と上野〜郡山間で併結運転していたこともあります。
 
下記は1975年の奥羽本線・青函航路下り(福島〜函館)の一部。スキー列車でざおう銀嶺号、ざおうスキー号の名前もありますが、年末年始には電車特急やまばと52号、ざおう3号といった形で夜行急行があったことも確認できます。
交通公社の時刻表 1975年1月号より
 

やまばと銀嶺号

【運転期間】1975年〜1978年の2月(数日)

【列車種別】特急

【運転区間】上野〜山形 

【使用列車、編成】客車列車(14系座席車)

【特徴など】スキー列車ピーク期頂点で設定されたのがこの列車。やまばと号と聞いて485系での特急電車編成を期待したのですが、実際は14系特急形客車(座席)だったようです。運転日も2月の数日(例:1975年だと2/8〜11の4日間)というピンポイントな需要に対応した臨時スキー特急でした。

交通公社の時刻表 1975年1月号より

 

 


 

その他、蔵王エリア向けのスキー列車です。

ひたち蔵王銀嶺号

【運転されたシーズン】1972年のみ

【列車種別】普通

【運転区間】水戸〜山形 ※1972年1月号の時刻表情報

【使用列車、編成】客車列車

【特徴、ダイヤなど】珍しい常磐線からのスキー列車です。水戸から常磐線を北上し、仙台から仙山線を経て山形に至るルートで運行。

水戸    21:25    → 山形    6:27    所要時間 9時間02分   運転日 2/11,18

山形    13:10    → 水戸    20:40    所要時間 7時間30分    運転日2/13,20

運転日はスキーシーズンの最盛期のみ往路復路とも2日のみ設定というレアな列車となりました。

交通公社の時刻表 1972年1月号より

 

 

ゲレンデ蔵王号

【運転されたシーズン】2004年〜2011年(?) 

【列車種別】快速

【運転区間】大船→山形 ※2003年12月号の時刻表情報

【使用列車、編成】583系、ゴロンとシート、全席指定の快速列車。

【特徴、ダイヤなど】シュプール蔵王号なき後にさりげなく設定された快速夜行列車

。私が確認できたのダイヤは下記の通り。いずれも下りのみ設定。

2004年 大船    22:01    山形    8:26    所要時間10時間25分

2005年 大船    22:23    山形    8:51    所要時間10時間28分

2006年 大船    22:23    山形    7:50    所要時間9時間27分

・・2011年2月まで運転され、JRのスキー列車としては唯一残っていたスキー列車だったようです。

 
下記は仙山線内のゲレンデ蔵王号の時刻。蔵王への送客以外にも、山形の面白山高原駅にも停車していますね。駅前にあったスキー場への便宜を図っていたよう。
2点ともJTB時刻表 2005年 1月号より
 
※私のコレクションで追えるもので構成していますので、一部抜け漏れございましたら、ぜひご指摘ください。
 
今回は以上となります。

 

参考資料:交通公社(JTB)の時刻表 1966〜2006 主に1月号を参照。なお1967年のみ冊子なし