以前説明しましたが『ひぐらしのなく頃に 奉』。
100年以上に渡り、何度も世界をやり直し、皆が一丸となってようやく乗り越えた昭和58年6月。
更に、鷹野三四をそそのかし、焚き付けた黒幕の存在と目的を、南井巴というキャラをメインに書かれている。
圭一が闇討ちした相手に謝罪に行く話や、レナが茨城でボコボコにした男子生徒の、彼女であり、茨城時代の親友だった渚ちゃんという女の子に会って話をしようとするなど、それぞれが過去の過ちを精算しようとするエピソードもある。
田無美代子が遊びに出かけず、両親と一緒にデパートに出かけ、事故らず無事に帰る話もある。
それでも『ひぐらし』は終わらない。
※以下「賽殺し編」、盛大にネタバレ。注意!!
ようやく乗り越えた昭和58年6月。なのに、はしゃぎすぎた梨花ちゃんが、道路でふざけてあっさり交通事故死する、というまさかのストーリー。
羽入の過去に戻す力はもう最後だったはずだが、梨花ちゃんは生きて目を覚ます。
しかし、羽入はおらず、どこか何かが違う。
雛見沢村には違いないんだが、少ない人口が更に減って、商店街はシャッターの閉まった店だらけ。
なぜなら、皆引っ越しているから。
ここは
ダム建設を受け入れた
世界の、雛見沢村。
過去に戻った訳ではなく、並行世界と言いましょうか。
雛見沢村にダム建設の話が来た時に、御三家は国と話し合った。
貧しい雛見沢村に、多額の保証金、引っ越し先の公団住宅に優先的に入居、雛見沢の地名を残す、古手神社と墓地の移設……等、高待遇の条件を出され「国の決定に、我々だけワガママを言ってられないなぁ〜」と、ダム建設を受け入れ無血開城した、ダム戦争の起きなかった世界なのです。
だって、鷹野三四は!?雛見沢症候群の研究所は!?ダムに沈めていいの!?
と、思うでしょ?
入江診療所なんて、ありませんよ。
入江京介もいない。鷹野三四もいない。
代わりにある診療所は、タカノクリニック。鷹野三四のタカノではありません。
高野一二三です。
高野一二三は一人コツコツ研究していたせいで、人脈も無く協力者がいなかった。というのと違って、この世界の彼はスポンサーを捕まえたらしい。
きちんと雛見沢村に病院を構え、研究しながら治療し、名を残したようだ。
一二三先生は亡くなり、診療所は一時閉鎖されたが、今は違う医者が再開している。
学校に行くと、圭一がいない。
なぜなら圭一は、勉強のストレス発散の為にモデルガンで闇討ちを、しなかったから。勉強のストレスを自分の力で克服したので、雛見沢村に引っ越して来る必要もない。
代わりに、北条悟史がいる。
そもそも、この世界ではダム戦争が起きていないので、園崎家と北条家の確執なども無い。
更に、北条ママはよほどビッチだったのか男運が悪かったのか、離婚再婚を繰り返し、コロコロ父親が代わるので沙都子が父親に懐こうとしない。
という件も、新しい父親は「良い父親であろう」と努力し、沙都子は「良い娘であろう」と努力し、お互い歩み寄り、良い家族関係を築いている。
ダム戦争も無く鷹野三四もいない訳だから、梨花ちゃんの両親も健在です。
なので、古手神社の物置のような家で幼女2人肩寄せあって暮らす、という事もなく、お互いの自宅で生活してます。
つまり、沙都子は村からのいじめも、両親不在も無く、愛する兄もいて、全く辛い思いをしていない。
そんな沙都子は、梨花ちゃんの事を、親友どころか嫌っている。沙都子の喋り方も、例のおかしななんちゃってお嬢様言葉ではなく、普通!しかし、性格は最悪!梨花ちゃんに対して、めっちゃ意地悪!
魅音と礼奈は、いる。レナではありません。礼奈です。
礼奈の家族は、茨城に引っ越しなどしなかった。ずっと雛見沢村にいます。
なので、母親がデザイナーとして大成し、若いツバメをつかまえて不倫の挙げ句離婚、という一連の流れが無いのです。
なので「レイナからイやな事を取って、レナ」という改名もしてません。
妙に魅音がキツイというか、冷たい雰囲気を感じたんだが、それもそのはず。コイツ、魅音じゃない。
いや、正しい魅音と言うべきか、ややこしいけど、わかりやすく言えば、詩音です。
要は、例の園崎家の時期頭首を決める彫り物をする日、2人は入れ替わらなかった。
なので、魅音はそのまま魅音、詩音はそのまま詩音。姉妹仲良くやってるし、雛見沢の学校に通っているのが、わかりやすく言うと詩音で、お嬢様学校に魅音が大人しく通ってます。脱走する事も無く。
あれだけ悟史にメロメロだった詩音だったけど、何もなければ、ここではただのクラスメイトにすぎないのかな。
梨花ちゃんは、学校ではちょっと村八分。
弁当も、ボッチ飯です。
沙都子は仲の良いクラスメイトと食べ、魅音と礼奈は2人仲良く食事。
礼奈は、ボッチの梨花ちゃんに「そのおかず、美味しそう。交換しない?」など、同情みえみえで声をかけてくれるけど、一緒に食べようと誘ってくれる優しさは無い。
魅音(詩音)はいじめる訳じゃないけど、梨花ちゃんがいじめられるのは自業自得、と突き放した言い方。
この世界の梨花ちゃんは、富田くんや岡村くんからチヤホヤされて、お姫様扱いで、調子に乗っていた。
しかし、その仲の良いクラスメイト達が来年に迫ったダム建設を前に、揃って転校してしまった。
残ったのは、天狗になっていた梨花ちゃんを良く思っていなかったクラスメイトばかり……という訳。
梨花ちゃんは宝物殿の、ビー玉のような水晶玉で羽入と会話をする。
羽入がここにいない、力が及ばない理由。
この世界で梨花ちゃんは、オヤシロ様の生まれ変わりでは無い。
古手家の女の子が8代続くと、オヤシロ様の生まれ変わりになる訳だが、この世界での梨花ちゃんは9代目。
つまり、8代目は梨花ちゃんの母親。
この世界は、一言で言えば
何の問題も無い世界
であって、誰も死なない。
誰も傷つかない。
ダム戦争も無く。
圭一は闇討ちせず。
沙都子と悟史は家族円満。
礼奈の両親は離婚せず。
礼奈はクラスメイトをフルボッコにする事も無く。
魅音は魅音のまま、詩音は詩音のまま。
古手夫妻も健在。
ついでに言えば、高野一二三も満足に研究して亡くなったようだ。
これ以上、平和な世界があろうか。
しかし、梨花ちゃんは不満。
何の問題も起きないこの世界ではなく、皆が力を合わせて、問題を乗り越えた世界に戻りたい。
しかし羽入の力がこの世界に及ばないのは、邪魔なカケラがある。そのカケラは、なんと梨花ちゃんの母親の中にあり、取り出す(壊す?)為には、母親を殺…………………
さて、梨花ちゃんは
この、自分がいじめられ、沙都子と仲が悪く、圭一も魅音もおらず、部活も無い世界で我慢して生きるか。
母親を殺し、元の世界に戻るか。
それは、プレイしてご確認ください。
めっちゃ面白いよ!!