清水湊で、鬼瓦と悪代官を叩き斬った搗き米屋の長五郎(竹脇無我)は、老母(村瀬幸子)を連れて剣術の師匠である伊藤政五郎(大木実)と、桶屋の鬼吉(田辺靖雄)、森の石松(あおい輝彦)と一緒に、上州の大前田英五郎を訪ねる。
◇第二話 https://youtu.be/zBHvxKk3VRg
上州路の道中、団子屋🍡のシーンから始まるのだが、団子屋で主要メンバーとゲストが登場する。清水一家では、法印大五郎と追分三五郎の二人だ。
ただし、次郎長と剣術の師匠・伊藤政五郎(後の大政)、次郎長の母・お直と、桶屋ノ鬼吉、森ノ石松の五人は、先行して上州大前田英五郎の屋敷を目指し、
遅れて増川屋を飛び出した姉・お蝶と弟・仙右衛門が跡を追うと言う、二組に分かれての道中で、次郎長組が法印大五郎と出会い、追分三五郎はお蝶と出会うのである。
さて、同じ団子屋茶店で法印と追分は、それぞれ次郎長、お蝶と出会うのだが、この茶店の看板娘役が、悠木千帆時代の樹木希林で、この当時は28歳だからギリ娘か?
そして、法印大五郎役は南利明。『てなもんや三度笠』で名古屋弁を全国区にし、オリエンタルの「スナックカレー」のCM中でのフレーズ「ハヤシもあるでョ〜」は有名である。
更に、追分三五郎役には近藤正臣。29歳の時で既に『柔道一直線』の結城真吾役で人気者に成った直後である。
高校生の役を27歳、二児の父でありながら演じたからか?実に若くて軽い追分三五郎である。そして、笑うとほっぺに笑窪が出るのが、実にアイドルっぽい。
さて、次郎長に親分を斬り殺された鬼瓦一家の代貸・佐吉(郷鍈治)と舎弟分の源太(小笠原弘)が、鬼瓦一家の残党と、甲州の武井安五郎一家、通称・吃安の合力を得て、
次郎長達を清水湊から上州大前田まで付けて来て、親分の仇討ちの機会を狙っている。この鬼瓦一家の残党に、吃安の子分を貸してやったのが、
誰あろう黒駒ノ勝蔵(露口茂)で、勝蔵は武井安五郎・吃一家の代貸であり、佐吉と源太達より一足先に、次郎長達をマークして大前田英五郎の家に草鞋を脱いでいた。
このテレビドラマも、どうやら法印大五郎は、元は吃安の子分だった設定ですが、三代目伯山の原作だと、増川屋の主人、仙右衛門(太田博之)の父親が、継母の間男相手、
神澤ノ小五郎という武家上がりの浪人者が、用心棒として、吃安に養われていますが、同じ甲州の津向ノ文吉と謂う侠客が次郎長の肩を持った事でデカい喧嘩に成ります。
原作の詳しい内容は、下記を参照下さい。
◇神澤ノ小五郎 https://ameblo.jp/mars9241/entry-12650695711.html
◇甲州秋葉山 https://ameblo.jp/mars9241/entry-12650829524.html
◇法印大五郎と小五郎 https://ameblo.jp/mars9241/entry-12651249613.html
◇仙右衛門の仇討ち https://ameblo.jp/mars9241/entry-12651650522.html
◇吃安と次郎長の喧嘩 https://ameblo.jp/mars9241/entry-12652059509.html
さて、その大前田英五郎役は、天知茂。英五郎は寛政五年の生まれで、実際は次郎長より26歳も年上なんだから、竹脇無我と天知茂では釣り合いが取れない。
それこそ、竹脇無我の次郎長なら、大前田は三十歳年上の森繁久彌とかにすべきだが、テレビドラマの都合もあり、一回り年上の天知茂なんだろう。
そして、このドラマの大前田英五郎には妹が居て、おそのと謂う役で、なんと!藤田圭子/悠木圭子が演じています。
藤田圭子時代は、私は殆ど知りませんが、悠木圭子で作詞家に成られてからは、数々のヒット曲で存じております。
このおそのは次郎長に片想いをし、お蝶(梓英子)と言う許嫁が居るとしり、ひっそり柱の影で泣く様な、昭和の娘を演じます。
そして、もう一つ。後に大政となる伊藤政五郎にも妻が、尾張の伊藤家に居て、政五郎を連れ戻しに尾張から上州大前田まで現れます。
その妻、お志乃役は亀井光代。亀井さんは大連生まれの長崎育ちで、純心女子高校卒。花登筐脚本作品で能く見た女優さんでした。
そんな大政となる伊藤政五郎が、完全に尾張の家を捨てる決意をする場面が挟まれ、伊藤政五郎役、大政役の大木実さんの髷が、浪人風の武士の髷から町人髷に変わるシーンが御座います。
そして、最後は追分三五郎を佐吉と源太、黒駒ノ勝蔵が巧みにと謂うより、単純な仕掛けで騙して、お蝶を囮に次郎長を河原に呼び出して、二十人掛かりで斬り殺す算段となります。
まぁ、昔の時代劇に有りがちな、矢文ならぬお蝶の簪を使った『簪文』が庭から次郎長の元に投げ込まれて次郎長は河原へ使い、
又、次郎長は簪と文を居間に置きッ離しで飛び出すから、英五郎の妹・おそのに見付かり、大政、石松、鬼吉が次郎長を助けに河原へ向かい、当然、大前田英五郎も出張ります。
結局、佐吉と源太は返討ちで、助っ人の吃安の子分達は命から柄逃げ出します。無事に、お蝶と三五郎は助け出されて、大前田の計らいで、清水湊に、次郎長一家が誕生し、一の子分には代貸として大政が座り、桶屋ノ鬼吉、森ノ石松、増川ノ仙右衛門、法印大五郎、そして追分三五郎が子分になり、晴れて次郎長とお蝶は夫婦に成ります。
そんな所に、清水の友人役で土屋靖雄が大前田に飛び込んで来て、鬼瓦並びに代官殺しの罪は、次郎長にお咎め無しとの沙汰を傳えます。
是で晴れて次郎長達は清水湊へ凱旋帰国が叶い、お蝶と母のお直も連れて帰ります。
そして、ラストシーンは、この富士山が次郎長傳らしく〆てくれます。