BBC NEWS JAPAN より
中国、台湾の次期総統を祝福するのは「大きい間違い」と アメリカをけん制
中国政府は14日、アメリカが13日の台湾総統選を受けて、台湾の独立を求める人々に「大きく間違ったシグナル」を送っていると非難した。
総統選では、台湾の自治権を主張する民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が大きな票差を付けて勝利。各国から祝福の言葉が届いた。
中国はその中のアントニー・ブリンケン米国務長官のメッセージについて、台湾とは非公式な関係しか維持しないというワシントンの約束に違反するものだと批判した。
ブリンケン長官はメッセージの中で、民主主義的価値観に根差した米台関係を強調。「頼氏や台湾の全政党幹部と共に、共通の利益と価値観を推進することを楽しみにしている」と述べた。また、アメリカが「台湾海峡両岸の平和と安定の維持に努めていく」とした。
一方で、こうした協力は「かねて続く非公式の関係を前進させる」もので、「アメリカの『一つの中国』方針と一致するもの」だと述べた。
「一つの中国」方針のもと、アメリカは台湾ではなく中国と正式な国交を結んでいる。中国は台湾を自国の一地域と位置づけ、統一を目指している。
そうした中で中国は、今回のブリンケン長官声明に激しく反発。中国外交部は、ブリンケン氏の祝福は、台湾とは「文化的、商業的、その他の非公式の関係のみ」を維持するとしてきたアメリカの約束に違反していると批判した。
また、台湾問題は「米中関係において越えてはならない最初の一線だ」と強調し、外交ルートで正式に抗議したと述べた。
「中国は、アメリカがいかなる形やいかなる前提でも、台湾と公式に交流し、台湾問題に干渉することに断固反対する」と、外交部は述べた。
中国はかねて、台湾を支持する声明はすべて、台湾独立を狙う分離主義者と中国が見なす候補者や政党に正当性を持たせるものだと非難し続けている。
台湾にとって、アメリカはきわめて重要な同盟国のひとつ。
アメリカは、元政府高官からなる非公式代表団を派遣し、頼氏の勝利が決まった数時間後に、台湾の有力政治家と会談を持った。中国の声明は、これに対する警告の可能性が高い。
自らも選挙結果を歓迎したジョー・バイデン氏が送った代表団には、元国家安全保障顧問や元国務副長官が含まれていた。
頼氏は13日の勝利演説で、「中国からの継続的な脅威や脅迫から台湾を守る決意がある」と述べている。一方で、台湾海峡の平和と安定を維持することは重要な責任であり、中国との交流において「対立に代わる対話を用いる」と付け加えた。
(英語記事 China says US 'gravely wrong' to congratulate Taiwan leader)