長者の萬灯より貧者の一燈
(ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう)
略して貧者の一燈、ともいう。
たとえわずかでも貧者の心のこもった寄付は金持ちや権力者が見栄や自己保身の気持ちから、あるに任せてする寄付よりもはるかに勝っているということ。
その昔、阿闍(あじゃ)世主がお釈迦様にお願いして供養してもらった後、宮殿から祇園精舎までの道筋にたくさんの油でいくつもの燈籠をともした。
その時、貧しい一人の老婆がなけなしの財布をはたいて油を買い、たった一つだけ燈籠をともした。
ところが、王の上げた燈火はすぐに風で火が消えたり、油が切れたりしたが、老婆の火だけは一晩中消えず、目連というお坊さんが三回も消そうとしたが、ますます明るく光を放っていた、という言い伝えから。