マリモ博士の研究日記

  マリモ博士の研究日記

      - Research Notes of Dr. MARIMO -
  釧路国際ウェットランドセンターを拠点に、特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」と周辺湖沼の調査研究に取り組んでいます

去る5月26日、特別天然記念物に指定されている「アポイ岳高山植物群落」の回復試験現場を、調査のお手伝いがてら見学してきました。

 

ユネスコ世界ジオパークのアポイ岳では、アポイ固有種のエゾコウゾリナやアポイクワガタなどの高山植物が、ハイマツの増加によって分布域を狭められ、将来、絶滅する可能性が指摘されていました。そこで、2019年にハイマツを試験的に除去する事業が行われ、モニタリングが続けられていました。

 

このハイマツと高山植物の関係は、現在、阿寒湖で起こっている水草の増加によるマリモの衰退とよく似ています。そこで今回、調査を主導する佐藤謙先生(北海学園大学名誉教授)にお願いして現場にご案内いただき、2024年までの5年間で目標に近いレベルまで回復した高山植物の様子を見ることができました

 

すべき対策をきちんと実行すれば目指す植物の復活はできる・・・この体験を衰退著しいマリモの保全活動にもしっかり活かして行きたいと思います。

 

アポイクワガタ.

 

試験地の様子.伐採されたハイマツの基部と調査のための方形枠.

【釧路新聞,2025年5月20日】

 

水草の増加によってマリモの生育が阻まれていると分かってから十数年。大型マリモ集団が消失状態になって、ようやく対策にこぎ着けました。皆で力を合わせ、マリモを復活させましょう!! ちなみに、記事は1面トップでしたウインク

 

 

【釧路新聞,2025年5月1日】

 

阿寒湖のマリモの生育状況と対策の概要に関する住民説明会が開かれました。

 

チュウルイ湾の大型マリモが消失状態にある現状は、観察会などを通じて地元の人々にとって周知の事実となっています。しかしながら、対策されることなく、事態は刻々と悪化しています。

 

関係者が正しい情報を共有して、何をしなければならないかを考え、そして行動することが必要です。

 

 

【読売新聞,2025年4月24日】

 

阿寒湖の大型マリモ集団が壊滅状態になっている案件で、文化庁の担当課長らが4月22~23日に現地を訪れ、関係者や地元住民と意見交換しました。2022年に異変が確認されながら対策は講じられず、今では両手で抱える大きさのマリモはすっかり姿を消して泥を被った小さく軟らかいマリモばかりとなっています(写真は2024年9月3日)。記事はこちら