カスハラはサービス産業の自業自得! | 何でもアル牢屋

何でもアル牢屋

趣味丸出しの個人コラムです。フラっと立ち寄れる感じの喫茶店的なブログを目指してます。御気軽にどうぞ!

ドナルド・トランプがアメリカ大統領であった時、彼が面白い事を言っていた。

「日本は小さい島国なのに、プライドだけはデカい」

これを聞いた時、素晴らしいブラックジョークだなと感じたものだが、これって今の日本で問題になっているカスタマー・ハラスメント(略してカスハラ)と直結してるなと思った。
通称、王様病、お姫様病と言って、一種の我がまま症候群の事。何でも思い通りじゃなきゃ嫌だ、こうじゃなきゃ嫌だ、あれが欲しい、これが欲しい、ああしてくれ、こうしてくれ・・・国王クラスなら分かりそうなモノだが、日本は厄介な事に、庶民が王様、お姫様を気取ってしまっている。

カスハラ問題は、日本の行き過ぎたサービス産業が生み出した怪物だと私は思う。
日本のサービス産業は世界でも有数のトップクラスだが、メリットとデメリットはあった。メリットとは行き届いたサービスと厳しい教育で世界のトップに躍り出た事で、デメリットとは社員や従業員に苦しんで貰う事。日本のサービス業の教育方針の基本的概念に、客に逆らうなと言うのがある。頭を下げろ、笑顔で対応しろ、何を言われても謝れと言う教育。
カスハラは意外に身近にあったりする。例えばコンビニ。店に入って「いらっしゃいませ」の声が聞こえてこないだけでイラつく客って普通に居たりする。或いは会計の時に無表情でレジ対応する店員に微かな苛立ちを感じたりする事も日常茶飯事。今の日本人は、この程度の事でさえ不快感を感じてしまうほど脆くなってしまった。何かと国際基準と言う言葉が好きな日本だが、日本人の神経質は世界的に見て異常。

個人的な経験談を書かせて貰うと、100円ショップでバイトをして居た頃、100円の商品を買うのに万札を出してきた客が居た。9900円の釣りを出せばいいだけの事だが、レジから金を出している作業に苛立ったらしく、その客は「9900円だろ!」と不機嫌な言い方で凄んできた。「今、やってますよ」と私は返した。今度は、その返しに対して不機嫌になった。その場の会計は終わったが、その後にドラマがあった。一日明けて店から私に呼び出しが掛かった。私個人に苦情が来たらしい。その時点で何の苦情かピンと来る訳だが、苦情の主は店に直接、苦情を申し立てたのではなく、わざわざ本社に電話したらしい。クレーマーと言うのは本人の前で苦情を言うのではなく、意図的に大事にしようと言う腹積もりで本社に電話するのである。
サービスを提供する側としては、客が何に対して怒っているのか?不満なのか?まず話を聞く事が大事で、その上で、客の言い分に矛盾点がないか、難癖がないか、こちらに非があるのか無いのか、こう言った事を、その場で分析する対応力を鍛えなければならない。この辺を日本のサービス業は、どう考えてるのか?
現状では、客が怒り出したら大火事になると言う恐怖と警戒心しかなく、社員や従業員からすれば、明らかに対応する為の手持ちのカードが不足している。だから困る。戦々恐々の現場であり、快適な職場の提供とは程遠いのが実情では無いのか?この実情があるにも拘らず、日本のサービス産業は世界に誇っていいのか?と言う疑問がある。

現時点でカスハラに対してどうしたらいいのか?と言う問題を、サービス産業は取り合えずメディアを通して世間に訴えてみようと言う布教活動をしている。その心は、自主的にそう言った事を辞めて貰いたいと言う御願いである。それって他力本願であって、根本的な解決には程遠い。例えば、犯罪は悪い事だから皆さん辞めましょうと訴えて無くなったのかどうか?って事と同じではないのか?
サービス産業がやらなければならないのは教育と方針の見直しだと思う。だが容易な事ではない。サービスの水準を変えるって事は、挑戦であり、冒険であり、博打に値する。サービスは今まで通り。客とのやり取りに変化を加える。具体的には社員や従業員に<抗う術>と言うカードを持たせなければならないと言う事。それは喧嘩の道具であってはならない。相手を傷つけず自分も傷つかないと言う高難度の接客術を誰がどういう風に教えていくのか。
カスハラ対策の究極って、そう言う事なんじゃないの?