面接官は腹の底で何を考えているか! | 何でもアル牢屋

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多くの人がそうだと思うが、就いた職の数より面接の数の方が多い。中々、ピンポイントで「これ!」と決めた職場にすんなり就けるケースが少ない為、必然的に面接の数の方が多くなる。私なんかは正にそのケースで、結構な数の面接を受けてきた。個性的な面接もあれば、悔しかった面接や嬉しかった面接もり、自分で書くのもなんだが、その辺の経験値は並よりはあると思っている
経験則で書かせて貰うと、面接では<返答に困る様な質問>をされる事がある。面接もある程度こなしてくると自分なりのパターンを構築し、こう来たらこう答えるみたいな答え合わせをする様になってくる。つまり面接官に対する警戒度が熟練され、表面上に出さなくても「さあ、どっからでも来い!」みたいに心の中で構える様になる。無防備な状態では面接を受けたくないと言う人達が近年増え、一昔前みたいに「当たって砕けろ」みたいなタイプは居なくなった様な気がする。では、面接で困る状況について幾つか挙げてみよう。

1:何故、前の仕事を辞めたのか?

この質問は、ほぼ当然の如く来る。どうやら面接官は、前職をどうやって辞めたのかが気になる様である。上司と喧嘩して辞めたのか、何らかの社内トラブルに巻き込まれたのか、給料に不満なのか、異性との恋愛関係がこじれて居ずらくなったのか。数え上げたらキリがない。そして、この質問が面接で無駄なのは、応募者は本当の事を言わないと言う点。

無難な所では「現在、務めている会社では収入が足りない。もう少し増やしたいと思ったのでアルバイトを志望しました」。面接官からすれば、この答こそが至極真っ当な答えと受け取る。
この質問で一番アウトな答えが「やりたい事が見つからないからアルバイトを選びました」とか、或いは逆に「やりたい事があるので、正社員ではなくアルバイトを選びました」とか、いわゆる曖昧さを漂わせる返答。この二つの答えは、ある程度年齢が経過してしまうほど辛くなってくる。逆に10代、20代くらいだと、面接官もそれほど深追いしてこない。多感な時期であるし、進むべき道を決めるにも猶予があると、流石に思うのだろう。面接官もそこまで鬼ではない。

2:空白の期間について

前の仕事を何らかの理由で辞めて、すぐに就職と言うパターンは意外に少ない。心身の疲労もあるし、精神的な安定もしたいから、暫く身を潜めて居たいと思うのは正常だと思う。しかし、この身を潜めるパターンも自分なりに期限を設けた方が良い。うっかりするとノンビリし過ぎて数か月や半年が経過するパターンも多い。私の基準では無職の期間は三ヵ月が妥当だと思う。それ以上長いと面接で「この開いている期間、何をなさってたんですか?」と聞かれた時、応え辛くなる。
とにかく面接官は空白の期間について、くどい程突っ込んでくる時がある。私は過去に、このパターンに陥り、面接の筈が事情聴取みたいになった事がある。面接官が取り調べの刑事さんみたいで、私自身は応募者と言うよりは店で万引きでもした犯人みたいで、ヘトヘトになった経験がある。
このケースの場合、嘘もありだと思う。実際、嘘を盛り込まないと乗り切れる見込みがないとさえ思う。例えば前の仕事を辞めて三ヵ月どころか三年が経過したとしよう。だが履歴書には職歴の欄に三ヵ月くらいの空白を設定する。と言うのも、三年が経過しようと、前の職の仕事内容は頭に入っている事が多いので、何を聞かれてもせっせと答えられるパターンが多い。その嘘の精密さは自分でも呆れるくらい細かく語る事が出来て、真実味と言うベールで覆う事が出来る。
面接官は刑事ではないので、裏を取るなんて事まではしない訳で、応募者は、そこまで神経質になる事は無い。嘘も方便と割り切り、悪い嘘を突いている訳ではないのだから、長いブランクであっても無難に三ヵ月と書いておこう。

3:何故、アルバイトなのか?

1の質問と似ている所があるが、微妙に違う。怖いもの知らずで正直に答えるならば、「正社員になって責任を持ちたくないからです」となる。流石にコレを言うと面接が終わると言う直感が脳裏を巡るので、殆どの人が言わない。
実の所、この質問って単純明快ながらも、かなり返答が難しい。「やりたい事が見つからないからです」と言う答えも拙い気がするし、かと言って「自分は芸術の道を目指しているので会社務めをする気はありません」と言うのも世捨て人みたいで気が引ける。面接官が求めているのは自己主張や自己弁護ではなく、アルバイトの正当な動機なのである。
例えば、職人の道を目指してますと答え、その職人の内訳が大工、料理人、工芸職人と言った場合、面接官は関心を持ってくれるパターンが多い。だが、芸能方面や執筆活動、創作活動と言った類には冷ややかな態度を取る事が多い。面接官は一様の反応として「ほ~・・・なるほど」とか薄ら笑いを浮かべながら言ってくれるが、内心は明らかに馬鹿にしている事が判る。内心では「お前みたいな奴がなれる訳ねえだろう」と思ってるかもしれない。

しかもアルバイト人生が長ければ長い程、次のバイト探しは難易度を増す。それでも頑なに「私の夢なので諦めません」と言い張り、当の面接官は目も合わせず伏し目がちに心の籠ってない「頑張って下さい」と言う言葉を返す。この時点で面接官はコイツは落とそうと決心をしている訳であり、採用はおおむね絶望となる。
コレって、どんな答えなら正解なんだろう?と考え込む訳であり、未だに私も答えが見つからない。誰かに教えて欲しいほどである。面接官との相性も絡むだろうし、タイミングや運もあると思われる。ズバリ本音を言って、面接官が冗談の通じる相手であり、「面白い奴だな」と思わせれば勝ちはみえてくるのだが。

4:特技や自己PRを、どう答えるか

聞いた話では、最近の面接では<特技>を聞いてくるそうだ。自己PRについては、一昔前から場所によっては聞かれる程度であったと認識している。
履歴書には特技の欄が設けてあるが、大体の人が読書、旅行、ゲームと書き、少し気取ってくると、歴史研究とか海外旅行とかウォッチングとか、いかにも自然に溶け込んでます的な答えを用意する。海外旅行と旅行は似ている様でニュアンスが違う。旅行って書くと山とか海とか連想する訳で、海外と書くだけで随分とゴージャスな感じを連想させる。由緒ある建造物であったり、歴史ある名所であったり。正直、此処の所を面接官に突っ込まれた場合を想定してるのかどうかに興味がある。

面接官も無知なくせに、意地悪く聞いてくる可能性もある。例えば特技に下ネタを混ぜ込んだ場合、どうなるのか。男の場合、SEXにおける前戯が並外れて得意と書き、女の場合は、フェラチオで速攻で起たせる事にかけては誰にも負けませんと書く。面接官は、どんな顔をするのか。これって全然悪い事でもないし犯罪でも何でもない。正真正銘の特技なのである。はしたないだの、下品だの、言われる筋合いはなく、それどころか日本は多様性と言うキーワードが浸透しつつある。クンニだろうがフェラチオだろうが特技は特技なのである。
選んだ職場が違うのではないか?と来たら、それこそ偏見と差別だと言ってやればいい。貴方は差別主義者なんですか?と。こういったやり取りの果てに面接の終了が潜んでいるが、それこそ思うツボ。今時の応募者は手ぶらでは来ない。何か傷付く事を言われた時に備え、スマホの録音機能を駆使したり、録音装置を忍ばせているかもしれないのである。

5:容姿に突っ込みを入れてくる面接官

これは思い出話をしてみたい。二回ほど印象深い面接が過去にあった。
20代の頃、地元の食品スーパーに品出しの募集があったので応募した。電話をすると店長らしき人が出た。店長は「面接をするから、今直ぐ来れる?」と私に聞いた。私は「え?今すぐですか?」と返した。すると店長は「履歴書に簡単にサラッと書いて持ってきて」と言う。「わかりました」と私は言って電話を切った。
御要望の通り、履歴書にサラッと書き、私服を着て自転車で店に行き、店長らしき人に声を掛けた。

「電話した〇〇です」
「あー、じゃあこっちに来て」


店の奥にある事務室で面接が始まった。

「前は何をやってたの?」
「プラスチック工場で働いてました」
「ふーん・・・」


すると店長は私の顔をマジマジと見て突然、「あ、髭伸びてるよ」と言った。
そりゃ~ないだろうと私は思う訳で、今すぐ来いと言ったのはそっちだろう?と。その<今すぐ>には髭剃りなんて余裕は無い訳で、そのくらい察していいと思うし、その程度見逃すのが人の情だろうと思うのである。しかも髭なんて言ったってボーボーに伸びてる訳じゃないし、薄っすらとあるくらいだったが、それすら許さない店長は、どうかと思ったのである。

その時点で雲行きは怪しかったし面接は終わったと思ったが、御丁寧に結果は郵送で送るからと来た。出すまでもなく結果は不合格なんだから、随分と勿体付けるモンだと当時思った。このやり取りは20数年前だが、この配慮って今時は結構普通になった。何故、その場で結果を言い渡さないのか?と言うと、トラブル防止の為である。

不合格を突き付けられ、落ち込んで帰る人が殆どだが、中にはキレる人も居ると言う事だろう。不合格に対し「何でですか!」と食って掛かり、場合によっては精神不安定で殴り掛かって来るかもしれない。そこを想定しての郵送なのである。間接的に断ると言うやり方を会社は学習した訳で、もっと用心深いのは書類選考と言うやり方。写真付きの履歴書を見て、予め応募者の雰囲気を知っておく。会社は無難だと思ってるのだろうけど、これって募集以前に偏見と差別を漂わせてる事に気付いてるんだろうか?まず外見と履歴だけで判断させて頂きますと言うやり方に応募者は嫌悪感を覚えるのである。何を見て判断してるんですか?と聞いてみたい。

もう一つ。30代前半の頃、これも隣町の食品スーパーでの思い出。又しても品出しのバイトである。
その頃、私は引き籠っていた。陽を浴びる事も少なかったし、運動不足もあってか血色と言うか顔色が悪い。このままじゃヤバいと言う危機感からなのか、バイトをしようと思った訳だ。

それで、いざ面接。

他人と接していない時間が多かったせいか、言葉が滑らかに出てこない。なので言い間違えたり、焦ったりする。すると店長は不思議そうな顔をして私に言った。

「〇〇さん、薬やってるでしょう?」

これには嘗てない程、仰天した。薬って要するに麻薬や覚醒剤の類の事を指しているのだろう事は察しが付く。

「え?薬?やってないですよ」
「いや、やってるよ。やってるでしょ?」
「いえ、やってないです」
「・・・あ~、そう」


このやり取りの後、この店長は店内の忙しさを大袈裟に語り、重い米をしょったり大変だよとか、大学生あたりが向いてる云々と語り、体よく終わらせようとしている雰囲気を満々に出していた。
この二つの経験談から伺える事が二つある。一つは、2店とも大手チェーン・スーパーだった事と、もう一つは店長の選り好みである。私は個人経営のスーパーに勤めた事があるが、大手と個人では随分と面接の具合が違う。個人の場合、気負いや、しがらみがないせいなのか、非常に気さくな面接をするのが特徴である。世間話で終始し、すぐに職場を紹介して「明日からお願いしますね」ってな感じで、あっさり決まるケースが多い。これに比べると大手は、かなり神経質である。
歳を取った今となっては判らなくもない。チェーンの店長は例えれば大名から選ばれた<城主>であり、城主には、任された以上、絶対に落城は許されないと言う責任を背負わされる。当然、自分に合った優秀な家来を配置しなければならない。侍大将、組頭、こう言った人材配置に常日頃、奔走しているのである。

結果、ふさわしい人材を求めざるを得ない。当然、見極めも厳しくなる。だが、そんな職場に限って募集欄を見ると決まって<未経験歓迎>とか<ブランクOK>とか書いてあったりする。厳しい見定めをするのであれば、いっその事、募集要項を厳しくした方が良いと思う。つまり、経験者優遇ではなく、経験者募集で良いと言う事。ブランクOKなんてしないで、ブランクお断りの方が応募者は安心するのではないか?

募集を厳しくする事は悪い事ではないと私は思う。そうする事で募集側が期待外れに合わなくても良い訳だし、応募側も絞ってくれた方が行きやすい。ハッキリさせた方が、お互いにメリットが多いのではなかろうか?

6:余計な念を押してくる人

アルバイトは歳を取れば取るほど応募し辛くなり、上手く入社出来たとしても嫌な事を経験しやすい。望む望まぬに限らず、それは向こうから勝手にやってくる。
これは地元の100円ショップでの経験談。この100円ショップ、現在は大手企業のイオングループに吸収され、ライバルのダイソーと競争してたのは一昔前の時代だろう。要は少々、落ち目の中小企業。この100円ショップについて、ちょっとした知識を披露しておこう。

物価高の日本で大活躍の安売り商売だが、売られている商品は何処から来るのか御存じだろうか?この大安売りの商品は、各地で倒産した企業から安く買い取られ、リサイクルされて100円ショップに並ぶ。倒産した企業からすれば、捨てるよりは1円でも10円でも金に換えて終わりにしたい。100円ショップは、そこに付け込んだ商売とも言える。
実際に働いてみて感じた事が幾つかある。一番目についたのは客の態度である。まともな客が大半ではあるが、極少数で嫌な客がやってくる。仕方ねえから買ってやるんだ的な態度をしてくる客が居る。明らかに安売り商売を馬鹿にしているのである。100円の物を買うのに態々1万円札を出してきたり、カードを使えるか?とか聞いてきたり、店員の態度がああだこうだと訴えてきたり、家電製品はあるか?とか無茶な事を聞いてきたり、挙句の果ては、クレーム対応した客が表に出て罵詈雑言を吐き散らし、通りかかる赤の他人に「あの店ね、〇〇なのよ。酷いでしょ~」とか同情を求めたり。こう言った面倒臭さは安売り店ならではの出来事であり、他の普通の店では起きた事が無かった。
そこで、こんな事が脳裏を過った。

「もしかして、この店は標的にされているのではないか?」

どうして、こんな厄介事ばかり起きるのかと不思議で仕方がなかった。そんな最中、とうとう私にも災難が襲ってきた。のんびりと寝転がっていた休日、店長から電話が掛かってきた。緊急の用だからすぐに来てくれと言う。私は急いで着替えて店に向かった。事務所には店長が待っていた。店長は言った。

「あのさ、ちょっと拙い事になったんだ。客から、あんたにクレームがきたらしいんだ。駄目だな、あんたは。こういう事は前にもあったんだけど、クレームって言うのは直接、店に来ないんだよ。本社に行っちゃうんだよ。これを放置しちゃうと俺が此処で仕事出来なくなっちゃうんだ」

此処まで聞いて店長が私に何を期待してるのか判ったので、こう言った。

「あ、そう言う事なら辞めます。今この場で辞めます。だって、私にクレームが来たんなら、店内に居ちゃ拙いですよね。1か月契約で契約満期まで5日残ってますが、月末だし、キリが良いから此処で終わりにします」

私自身、このパターンは初めてであった。私の方から辞める事を告げるパターンがあっても、職場の方から辞めてくれと半ば御願いされたのは今の所、最初で最後である。
この展開はいささか急で不自然だ。クレームが来た場合、まず、どう言った類のクレームだったのか、そういう場合、どう対応するのか、こう言った事を教えて次に活かす事をする筈で、「クレームが来たから、お前辞めろ」では余りにも救いが無い。この店長は、そう言った段取りを取らなかった。店員よりも自分の身を案じた訳だ。
この店長の面接は、そもそも気に入らなかった。雇用契約書の項目をクドクドと私に聞かせ、その殆どが金に対する注意ばかりで、コッソリ取ったらどうなるかをネチネチと念を押した。それだけでなく、当時、新人のアルバイトとして入った私はバイト連中の中で一番の年長者だった。店長が言うには、「あんた一番年長だけど、此処では一番下だからね。年下の人から命令されても聞くんだからね」と言う事だそうだ。子供じゃあるまいし、大の大人を捕まえて「金を盗むな」だとか「年下の先輩の命令を聞け」だとか、そんな事を言わなくたって判る訳で、要は常識ある勤務態度を心掛けるって事が全てだろう。
こんな感じで、押さなくてもイイ、余計な念を最初に押し付けてくる無礼な面接も現実に在るのである。この話には後日談がある。2023年夏、この店は潰れた。これを知った時、思わずガッツポーズをした。思うに、この店の店長は、私にだけでなく多くの従業員に<似た事>をしてきたのではないか?多くの従業員を傷付け泣かしてきたのではないか?
その後、この店長がどうなったのかは知らない。何処かで転職を果たしたのか、それとも無職でしょぼついてるのか、或いは人知れず死んだのか。もっと深く勘ぐれば、過去の罪を告発され、吸収したイオングループから何らかの仕置きを受けたのか。展開が展開だけに、随分と呪わしい閉店があるモンだなと思わざるを得ないのである。

と言う事で以上である。凄く長い長文になってしまった。前編、後編に分けた方が良いかなと考えたが、思い切って長文にさせて頂いた。此処まで飽きずに読んでくれた方に感謝。
面接は一種の砦である。希望する職場に立ち塞がる最初の難関と言うか、どうしても越えなければならない山なのである。それだけに憂鬱になる。気構えとして、どんな面接の展開が待っているのかを楽しむのも手だろう。良い面接を敢えて期待しない事。聞かれて嫌な事は前もって「答えたくない事はスルーしていいですか?」と面接官に先手を打つのも手だろう。雇手だから何でも聞いてイイ事にはならないし、言いたくない事は嫌だと言う権利を応募者は持ってイイ筈である。
そんな私はどうか?と言えば、嫌な経験も今は笑い話として此処で披露できるほど、懐かしい思い出になっているのである。