BRM608青葉600km天城越え【完走】=SR確定(後編)
「ブルベ戦記」 第241話
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BRM608青葉600km天城越え(中編その2
のつづき)
夕暮れ時の清里を通過し、
さあ、一気に八ヶ岳大橋を下って、、、、と思ったその時、
私の目の前を同走していたAさんの後輪からパン!という音響と火花が見えました。
Aさんは急停車です。
パンクでした。
しかも、タイヤのサイドが裂けています。何が起きたのでしょう?
18:58
いずれにしても、タイヤの裂け目をふさがなくてはなりません。
もちろんチューブ交換も、です。
この作業で30分余り、清里で停止しました。
タイヤの裂け目は、内側からテープを貼り、外側から接着剤を流して固めました。
再びエアが入ると、タイヤの裂け目付近が内側から膨らみましたが、フレームに接触するほどではないようです。
19:28
といった応急措置をして、再び走り出しました。
八ヶ岳大橋などの高速の下りも大丈夫のようでした。
(結局、Aさんはこの状態のまま、ゴールまで無事走り切ったようです)
PC4(244.4km、ローソン山梨白州町店、20:11着)
すっかり日が落ちました。
このPC4ではサンドウィッチやポカリスエットなどを流し込みますが、
口に入れたまま走り出して、すぐ先で急にのどに詰まり、すべて吐き出してしまう、というトラブルはありましたが、それ以外は何事もなく、富士川沿いに入ってゆきました。
Aさん、Bさんとの3人組で、例の、身延線沿いの真っ暗県道(K10)をゆきます。
静まり返ったJR身延駅前で、10分ほど仮眠。
十島駅から先、稲子駅までのちょっとした峠は、時折、クルマが通過するものの。、まさに道路に照明もなく、真っ暗闇。
登坂区間にくると、3人組もペースが違うので、Aさんが先行し、次が私、Bさんが後方、というパターン。事実上、ソロ走行でこの暗闇の道をゆきます。
今回の600kmでは、最も時間的に苦しい区間です。
そろそろ睡魔もくるころ。
300km以上走行してくると、幻覚にも見舞われたりします。
この時は、闇の中でペダルをこいでいると、仕事の幻覚に襲われました。
(あの仕事を今やらなきゃ)という幻覚、しかし、そんな仕事は、ブルべの最中にありえない仕事です。
そう、それは幻覚。
(これは幻覚なんだ)と自分に言い聞かせないと、
次の幻覚に襲われます。これが繰り返し繰り返し、になると、その先、意識が飛びます。
つまり、幻覚は睡魔に移行しているのです。
こうなるともう走れません。
命の危険につながるので、一瞬でもいいので、仮眠したほうがいいです。
真っ暗闇の稲子駅近くの曲がり角で、先行していたAさんが待ってました。
Bさんを待つ間、私は道路わきで横たわり、一瞬でも仮眠しました。
数分間でも寝ると、かなり復活します。
また3人で合流し、
そうこうしながら未明の静岡・清水着まで、ナイトランが続きました。
PC5(349km、ローソン清水興津中町店、6/9 1:34着)
ようやく静岡まで来ました。
5時間近い貯金もあり、この後、すぐ近くの駿河健康ランドで休憩へ。
私は入浴はせず、とにかく3時間、仮眠室でぐっすり寝ることができました。
夜が明けました。PC5近くの健康ランドを出発です。
太平洋で朝日、です。
由比。すっかりなじみの国道1号沿いの遊歩道。
もう少しだ、と気持ちも軽くなります。
富士川沿いからも富士山がはっきりと見えました。
これまた、ブルべではよく通過する富士川の鉄橋。
沼津市街へ
ここでAさんが一時停止するとのことで、私がソロで先行します。
6:28
これまたよくブルべではよく行き来する田子の浦の県道360
沼津市役所を右折した先のセブンイレブンで、AさんBさんを待っていると、
ちょうどPC間の距離があるためか、参加者が次々とここに寄って朝食を買ったりしてます。
再び3人組となり、いよいよ天城越えへ。
しかし、下田街道を峠へ徐々に登ってゆくうちに、3人はまたそれぞれソロ走行に。
道路わきで仮眠する参加者の姿も。
8:55
徐々に暑さも感じてきます。
沿道では、保養林からの湧水を利用してわさびの栽培も盛ん。
道路わきのその湧水があまりに美味しそうだったので、二度三度と坂の途中で停まっては、手を差し伸べて口に入れます。冷たくて、おいしかった。
そうこうしているうちに天城トンネルへ。無事峠を越えます。
河津への下り、ループ橋は猛然と飛ばします。
途中でAさんが道路脇に見えた気がしましたが、そのまま重力にまかせて下ります。
しかし、振動からか、途中でカランコロン、との音。
停まって、せっかく下ってきた坂を上りかえすと、路上に黒い点。
見れば、自分のハンドルに付いていたバックミラーでした。
(なんだ、これを落としたのか)とクルマが通過する前に急いで拾い、つけ直したりします。
で、また河津の町へ下ります。
PC6(444.0km、ファミリーマート伊豆河津店、6/9 10:01着)
今から40年前の小学生のころ、夏休みによく来ていた河津。
あの頃と変わらず、海と山に囲まれた、静かな町です。
ここでまた3人組を編成しますが、
3人の走行ペースが違うので、また途中からそれぞれソロ走行に転じたりします。
10:51 有名な看板ですが、スルーします。
眺めはいいんですが、やっぱり暑くなってきました。
冷たい飲料水を求めて、確か、途中のコンビニへ避難した記憶が。
考えることは同じで、ここにも参加者の方がいました。
Aさん、Bさんはそれぞれ前後にいるはずですが、
暑さと疲労で、このあたりでペースは落ちました。
PC7(513.2km、ローソン真鶴塔ノ入店の跡、6/9 14:40ごろ着)
どうもPC7のあの真鶴のローソンが閉店しているらしい、というのは、ここに着く直前のツイッター情報で判明してましたが、実際に到着してみて、ローソンが無い、というのは驚きでした。
その代わり、スタッフの信ちゃんさんらが来ていてくれたので、楽しいひと時となり、疲れも飛びました。
600kmの最後のPCがこういうのって、これはこれでいいですね。
ここで再びAさん、Bさんとの3人組を編成し、
いよいよゴールを目指します。
この後、ここまで常に先行していたAさんが電話着信?か何かで遅れだし、
Bさんやほかの参加者と連ねて進みましたが、大磯過ぎで、ちょっと先行していた私ひとりが、国道134号との枝分かれ箇所で、誤って国道1号へ直進して入ってしまうミスコース。
(ここ、この罠にはまりやすいんですよね)。
平塚の市街地に入っていったところで気づいて、戻りました。
実は、ガーミンedge800へのモバイルブースターからの給電がなぜかうまくいかなくなり、夜明け以降はGPSが電源切れになっていたこともありました。
ここから飛ばして飛ばして、Bさんに追いつきます。
あとで振り返って思ったのですが、600km2日目にしてはこの終盤は妙に脚の調子がよく、35km/h巡航を普通にこなしてました。仮眠時間がとれていたから、でしょうか。
17:23 藤沢市内も混んでていて、ペースは上がらず、この通り。
17:44
混んでいても、ちょっと急いでいたのには訳がありました。
そう、藤沢の飯田牧場のソフトクリーム。
Bさんを誘って食べました。
これ抜きには、今回のブルべは完遂とはなりませんw
さあ、もう一息です。
Bさんはさすがにお疲れの様子。
健脚のはずのAさんもなかなか追いついてきません。
この後、新百合ヶ丘を抜けた先の坂で、気づくとBさんは後方に下がっていました。
ソロで最後のよみうりランド近くの坂を越え、鶴川街道へ下ります。
そして日曜も日が暮れて、稲城・矢野口へ戻ってきました。
土曜の朝から走り続けた600kmのゴールです。
ゴール(601.8km、ローソン稲城鶴川街道店、6/9 19:52着)
ゴール近くのジョナサンへ行き、ゴール手続き。
(まこたさん提供)600km走破分の日焼け+くたびれきってます。
今回、道中で大変お世話になったAさん、Bさん、
そしてスタッフのみなさんともゆっくり語り合いたかったのですが、
「ゴールしたのなら用があるので急ぎ帰宅せよ」との命が家人から下りていたので、先に失礼いたしました。
そして無事、帰宅。
こうして600km完走、今年のSR確定とあいなったのでした。
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「ブルベはフランス語で『認定』を意味します。ブルベには様々なものがありますが、オダックス・ジャパン(AJ)が統括する日本でのブルベはBRMといいます。BRMは規定の距離を規定の条件で完走すると認定される長距離サイクリングです」
「同じ年に200km、300km、400km、600kmを認定された人はシューペル・ランドヌール (SR。英語ではスーパーランドナー)として讃えられます」
「BRMの最高峰として位置づけられているのが4年に1度、ACP(オダックス・クラブ・パリジャン) が開催するパリ~ブレスト~パリ ランドヌール(PBP)=1200km」
いずれもAudaxJapan(オダックスジャパン)HP より






















