10月に行われた中間試験の答案の採点で、生徒の手書き文字をめぐって、今回もまた悩まされました。
小テストなどでも日々、経験していることなのですが、定期試験となると、
「この問題のテスティングポイントは何ぞや」
ということも絡むので、躊躇してしまいます。
というのは、
「生徒本人は正しい綴りを正しい文字で書いているつもりでいながら、傍目からは誤字に見え、
厳しい目で見ればバツだが、テスティングポイントを勘案して、情状酌量すればマルを
つけられる」
というケースです。
最初の語は、How でその下は would のつもりで書かれたもの。
こちらは、looked のつもり。
上部が閉じられていないため、ギリシャ文字の υ (ウプシロン)のようで、英語という環境の中では、
"u" にしか見えません。
本人は υ を書いたあとの縦画の有無で "o" と "u" の区別をしているようですが、それは通りません。
これまでも小テストで目にするたびに、赤字は入れていたのですが、改善には繋がってはいません
でした。
今回もこんな赤字は入れましたが…。
実はこの生徒、こんな文字も書いています。
答えを知っていない限り、「解読」すら難しいのですが、正解は born。
(b o r n です。b o m に見えた方は老眼です!)
b が h になってしまうように、とにかく閉じるのが苦手な生徒です。
最後の n は、n と u の境界線上にあって、ロシア文字の ᴎ (イー)のようです。
こちらには、こんな赤字や、
こんな赤字を添えてみました。
さらには、こんなコメントも添えました。
こ
実は、この生徒、左利きです。
"o" が "u" に見える字形になってしまう点については、先に書いたように、これまでの赤字が
功を奏していないことが明確です。
標準的な書き順ではないのですが、
「この際、時計回りで書いてみたら?」
あるいは、右利きの生徒には絶対に発しない
「下から書いてみたら?」
などとアドバイスして、書かせてみたりもしました。
ところが本人はどうもしっくり来ない感じ。
そこで、左利きの同僚に相談してみました。
この同僚は、「標準的」に反時計回りで "o" を書いていたのですが、「時計回りではどうですか?」
と訊くと、初めて試したようで「お、圧倒的に描きやすいですね!」と驚嘆。
(と同時に、私は「やっぱり(少なくとも)英語の文字は右利き用にできていることを改めて確認。)
「でも、生徒はどうもしっくり来ないようで…」と伝えると、この同僚。この答案を精査したあとで
"大発見”して一言。
「"a" は閉じてますよね!」。そして「閉じられないわけではないんじゃないですか?」
確かに!
そこで、この発見を生かすべく、多少いびつにはなるものの、完全に閉じられることを優先した方がよい、と判断。
早速、この生徒には「"a" を書こうと思って、縦棒をやめてみたらどう?」と提案しました。
"r" の分岐が早過ぎで "v" に近づく生徒に出している指示は、
「"n" を書くつもりで書き始めて、最後の縦棒は書かない!」
なのですから、このバリエーションとして、今後、同様の(左利きの?)生徒に使える助言を
得られたように思っています。