最近の誤綴への赤字など | 英語教育あれこれ:「どれ?」「それ!」

英語教育あれこれ:「どれ?」「それ!」

phonicsや文字指導を中心に
英語教育について
書いています。
入門期のシラバス
(文法事項の導入順序)
にも興味があります。

生徒の手書き文字への赤字(コメント)について、これまで何度も書いてきました。

 

字形に関するものもありましたが、綴りの間違いに関するものもありました。

とりわけ後者に関しては、フォニックスの観点からの「修正法」を提示して来たつもりです。

 

3学期になって行った中2の単語テストから、順不同でご紹介したいと思います。

 

まずは字形に対するコメントです。

 

 

「ま、本人は a のつもりで書いているんだろうから」という「親心」は「仇」となるので、

採点のペースは狂いますが、いちいちコメントします。

 

 

こちらは、u のつもりで書いた可能性も捨てきれないため、このようなコメントにしました。

 

 

statue の u の入りとの違いから a を本人が書いていることは理解できますが、

「この字形では、第三者には区別がつかないよ」とわからせることが必要だと思いました。

 

続いては、フォニックスの視点を入れて綴りの間違いを修正するとどうなるか、という例です。

 

 

フォニックスの視点がないと「a の書き忘れ」と解釈して、a を赤字で加えて済ませてしまう

ところです。

ところが、この生徒は、この単語の発音はできているにもかかわらず(そのはずです!)語中の /e/ 

の音の綴りを間違えたわけなので、ここでは

 「この単語の中の /e/ の音は <e> ではなくて <ea> で表すからね」

というメッセージを書いたつもりです。

 

 

この生徒も「デザート」の発音はちゃんと /ɚː/ の音を入れて正しく発音できているはずです。

ところが、残念ながら、同音を表す別綴の <ir> を書いてしまったために、

 「この単語では <ir> ではなくて <er> だよ」

ということを伝えました。

 

個人的には、<d>の筆順が気に食わないのですが(しかも下が開いているので <h> の鏡像になっている…)今回はスルーしてしまいました。

 

 

少々、消し方が汚くて読みにくいのですが、この生徒も自身の発音は正しいと思われます。

ただ残念ながら同音異綴の <ur> を使ってしまったという次第。

(縦棒を先に書いている <d> の字形と筆順については、こちらもスルー。)

 

ちなみに、上の2人とも <ss> を <s> と書き間違えていますが、授業では、米国人の同僚から昔聞いた

(米国の小学生が習うという)方法で指導はしています(全員に定着、とはなっていませんが):

 「灼熱の砂漠には1度行けば十分だけど、食後のデザートはおかわりして2つめが欲しくなるよね」

 

 

発音は身についている、ということで言えば、上の例もそうです。

ただし、いかんせん、<a[]e> の綴りを使って書けなかったので、この語における[エィ]の音の

表記を示しました。

 

 

complete を compleate と書いたという、言わば「高級な?間違い」です。

[イー]の音をどう表そうかと悩んだ末に、<ea> を使い、おそらく、completeの最後にある <e> 

が視覚的な印象に残っていて、それを添えたものではないかと思われます。

ここでは[イー]の音は <ea> ではなく <e[]e> で表すことを示しました。

 

 

前者については、「<ar> ではなくて <er> の音だよ」ということを示すために、下線は <ar> につけ、

赤字は <er> です。

ともすると、<a> の部分を赤字で <e> に直して終わりにしてしまいがちですが、これでは綴りと

発音の関係、つまり、「この発音なんだからこの綴りなんだよ」ということに意識を向けられない

と思っています。

 

後者は明らかに、間違った発音で覚えている、あるいは、適当な発音をしていることがわかります。

「この語には[オゥ]という発音が含まれている。そして、その音を、ここでは <oa> で

 書いているんだよ」というメッセージです。

 

 

「スタジアム」というカタカナ発音を英語風に(sta- でなく、stu- と)書いてみた結果ではないか、

と推測します。(あるいは、よく似た綴りの study あたりからの類推が入っているのかも

しれません。)

いずれにしても、

 「この語の発音は[ステイディアム]であって、その中に含まれる[エィ]の音を <a> の文字で

  表しているんだよ」

と伝えたものです。

 

 

見かけでは <r> が足りない間違い綴りですが、見かけで判断しないことにしています。

この生徒は /ɚː/ の音を入れずに発音しているのだろうと思います。というわけで、

「<e> ではなくて <er> だよ」と示しました。

 

 

まぁこれは、「英語の綴りのバカヤロー」に属するものです。

「棒切れ」が stick なのに、この語では fantastic というのは余りにも理不尽だからです

 

もっと上の学年であれば、

 「形容詞語尾は -icで、その直前の音節に第一アクセントがある」

というような説明もできるところですが、中2ではここまではできませんから。

 

 

というわけで、久しぶりの、2024年初のブログ更新でした。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。